海鮮フーズ

(福島県相馬市)


大震災をきっかけに新たな
出会いから、新たな商品が誕生   

海・島・里からの便り
2015年
『life110号』




 


左端が青田さん。昨年末に福島の4つの企業が集まり「伝承味と技企業組合」を設立。個々の企業の発展はもとより、県内各地の地域おこしや、50年100年と伝えられるような楽しい物づくり、文化づくりに挑戦していきます。

 海鮮フーズは、福島県相馬の生産物を県外の皆さんに広く知っていただきたく立ち上げた会社です。もともと私は農家の生まれで、海産物のことについて知識はありませんでした。ある時、海産物の運送の仕事をすることになり、相馬の魚介類に触れる機会が多くなって、その種類の多さと美味しさに驚きました。相馬の市民でありながら、それまで知らなかったのです。実は農業でも同様に、相馬のお米の美味しさが、全国的に見ても最上のものであることも知りませんでした。知らなかったことに恥ずかしさを感じると同時に、何故だろうと疑問も出てきました。農業・漁業ともに最高の美味しさを持っていながら、地元の人たちが内外に向かって発信していなかったことが、その原因ではないかと思いました。
 東日本大震災は大きな衝撃でしたが、私の気持ちの中では“自分が生きている間に大地震や大津波、原発事故はいつか来る”という予感が漠然とありました。だから“やっぱり来てしまった”という思いがして、正直なところ驚きではありませんでした。もちろん、家の一部が崩れ、土蔵が全壊するなど被害はありましたが、生き抜くためには心の切り替えが必要だと考え、冷蔵庫内の食品は福祉施設などで使用していただき、新たな仕事に取りかかり始めました。今まで思い描いていた商品をこの機に仕上げて完成させようと考えたのです。
 「温故知新」、私たちが会社設立に当たって心に刻んだ言葉です。先人が伝えてくれた食の技術を学び、更に発展させて新しく創りあげ、そしてそれを次の世代に伝えていくことを自分に課しています。今、私自身は、震災後に多くの人々と知り合い、多方面の技術を学ぶことができて、職人として一番楽しいときと思えています。確かに原発事故のさまざまな被害は厳しいですが、励ましてくださる皆さんに応えるためにも、ワクワク感を忘れずに、進んでいきたいと思います。
 しばらくは県外の食材の活用が中心となりますが、これも新しい人たちとの出会いと思えて楽しく感じています。
 今回、原料となる活〆めアナゴは、岩手県宮古市の丸友しまかさんから提供していただくことになりました。アナゴの質の良さだけでなく、その温かい人柄も含めてこれからのお付き合いが楽しみです。     

( 海鮮フーズ 青田 茂)


海鮮フーズ
あなご旨飯の素
宮古産煮穴子ときんぴらごぼう、タレのセット。自然解凍後炊いたご飯に混ぜてどうぞ。3合用。

 

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