技術的に最高のミツバチは育てられても、
基本的にお天道様まかせのハチミツづくり 

藤井養蜂場

(福岡県朝倉市)

海・島・里からの便り
2016年
『life130号』

 


藤井会長(左)とスタッフ

 私たち藤井養蜂場は今年で創業107年。創業当時より専業養蜂家の中心的な役割を担い、養蜂家の育成も行い、現在も国内最大規模で、鹿児島から北海道まで季節の花を求めて大転地養蜂を行っています。
 はちみつの生産を構成する要素はいくつかありますが、天候とミツバチが最も重要です。集蜜力のあるミツバチの養成は技術的なものも大きく左右しますが、天候だけはお天道様まかせです。
 私たちの大転地養蜂とは、概ね次のような1年です。

@

1月後半から3月にかけては、春の生産に向けて蜂づくり。女王蜂が春先に産卵を開始し、越冬期間中に少なくなった働き蜂の数を増やします。

A

4月中旬からレンゲの採蜜が始まりますが、国内のレンゲ草は激減してしまい、現在は養蜂家がレンゲの種を播いて花を咲かせ、生産しているのが実情です。従って国産レンゲはちみつは大変貴重品です。

B

九州のレンゲが終わりを告げるころ、大型トラックに分散して、一路青森のリンゴの花を求めて北上します。津軽平野を中心としてミツバチを分散します。リンゴの花が10日ほどで終わると、山間部のトチ、アカシアの花を求めて巣箱を移動させます。この作業がミツバチが巣箱に戻る夕方に巣箱の巣門を閉め〜移動のためのロープ掛け〜トラックへの積み込み〜移動〜新しい場所へ巣箱の配置〜巣門の開放というようなもので大変な重労働です。巣箱は重たい時は40s以上、これを数百群と動かします。忙しい時期の青森は、午前4時起きで採蜜作業を行い、夕方近くまで採蜜した後、移動作業で宿に戻るのは10時過ぎ。数時間睡眠をとって、再び採蜜作業となります。本当に体力勝負の時期です。

C

6月末に北海道の釧路の北にある標茶町に移動し、クローバー、アカシア、菩提樹、シコロ、ソバの花、数年に一度月見草を生産します。そして、8月中旬に主な花が終了し生産も終わり、越冬の準備です。


蜜の収集作業

 最近ミツバチが農薬の影響でいなくなっているとの報道があります。確かに農薬の影響は皆無ではありませんが、藤井養蜂場のグループではその影響はほとんど無いようです。これは長年の経験と養蜂技術、細やかな対応(ミツバチの移動など)をおこなうことで、被害を最小限に止めることができているのだと思います。
 ただ、技術的に最高のミツバチ群を育てても、気温が上がらず、花が少なければハチミツは採れません。昨シーズンは、生産量の多い九州と北海道では共に雨が多く、気温が上がらず、特に九州の百花蜜はほとんど生産できませんでした。また北海道も、樹木系の花付きが裏年という事情も重なったため、かなりの不作でした。こうした天候不順による不作は特別なことではなく、最低でも5年に一度は訪れるものだということも経験から学んでいます。

(藤井養蜂場「ビジービーズ」 藤井徹三)




味わい
まろやか
藤井養蜂場
国産百花蜂蜜

国内のいろいろな花から集めた蜂蜜です。
まろやかな味わいで料理などにも使いやすい。
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