味の一醸造(埼玉県狭山市) 実直なもの作りこそが使命 |
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発酵調味料「味の母」のルーツは戦前、日本統治時代の台湾にさかのぼります。お米を原料に発酵させる手法は日本酒造りと共通なのですが、気温の高い台湾では発酵が進みすぎることから、それを抑制するために、食塩を加えてコントロールする方法が編み出されました。
時がすすんで1952年、酒類には該当しないが、もろみの製造免許が必要な発酵調味料ということで認可を受け、現在の味の一醸造が設立されました。
製法は、まず原料米を蒸して、麹菌とあわせることで米麹を作り、それをタンクに仕込んでもろみを作ります。その後、二段仕込み製法と呼んでいるオリジナルの製法で、もろみを糖化(原料米のデンプン質を糖に変える)させ、途中で食塩を加え、およそ半年の熟成期間を経ることで完成します。麹を作って仕込むところは日本酒と共通で、糖化熟成させるところは本みりんと共通したところがあります。“みりんと料理酒のよさを併せ持つ”とよく言うのですが、作り方も含めて、どちらの要素も併せ持つのが特徴です。
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このような発酵調味料のメーカーは全国で30 社ほどはあろうかと推測されますが、製造免許が必要なことから酒類との兼業メーカーがほとんどで、私たちのような発酵調味料専門のメーカーは珍しい存在です。
私たちは新商品をどんどん出して行くようなタイプのメーカーではありません。これまでどおり、実直にごまかしのないものを作り続けていくことが使命だと考えています。それが「味の母」をこれまで支えてくださった方々に対する誠意だと思っています。
(味の一醸造 高橋)
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