地元能勢町の山辺では今、田植えの真っ最中。あちらこちらで田植機が田んぼの中を走り回り、田んぼに鏡をいくつも並べたように水が張られた風景は春の里山の風物詩の一つです。今年の4月下旬から5月いっぱいまでは、いつもの年より雨が少なく、晴天の日がつづき、田植も順調といったところですが、稲作農家さんからは「5月に雨が少ないと6月の梅雨の時期に雨量が多くなるのとちゃうか、水がほしい時に雨降らんといらん時に降りよるからなー」とやや不安げな表情。そんな田んぼに囲まれた北摂協同農場の畑で今年も恒例のいちご狩りが始まっています。ことしはやや遅めのスタートですが、雨も少なく晴天にも恵まれ、いちごの実のつき具合も上々ですが、もう一つ味が乗っていない。農場だけかと思いきや他も同じような状況でこれまでの経験値では図れない違和感を感じています。ここ数年続いている天候不順は年を追うごとに予測しづらく、昨年の稲ワラ回収も10年目を迎えましたが、これまでになく天候に阻まれてしまいました。
この地域の稲作農家と協同して取り組んできた稲ワラの粗飼料化事業は、よつばの会員さんにお届けしているお米「一年一作」の原料米を生産している地元能勢町山辺を中心にした稲作農家の圃場から稲ワラを粗飼料として回収し、お礼に農場の有機堆肥を還元するという循環を事業の枠組みとして取り組んできました。しかしここ数年、秋の長雨や台風などの天候不順が年々悪化しており、昨年は9月から今年の4月下旬までとおよそ8ヶ月もかかり、回収量はいつもの半分程度。回収作業も延べ240日間でたったの23日しか圃場に入れないほど悪条件での稲ワラ回収となりました。一方昨年、1年間に全国で屠殺された和牛の頭数が過去最低となり、一昨年から和牛の仔牛価格が高騰し始めたことを裏付ける結果となりました。このことは震災とそれに伴う原発事故、宮崎での口蹄疫、安愚楽牧場の倒産などの出来事が畜産業界に大きな影響を与えたことにより、全国の酪農、畜産の飼養頭数が激減していることを意味しているわけで、牛の価格が上がって景気がよくなったというよりもむしろ畜産業界全体が徐々に衰退していると言わざるを得ません。第一次産業の衰退が著しい昨今、分断された農業や酪農・畜産がもう一度、それぞれの関係を取り結び連携や協同を取り戻すことがこれからの時代に必要だと考えています。
しかし政府はこうした情勢を尻目に財界の意向に擦り寄りすぐにカネになりそうな五輪や万博、カジノといった巨大プロジェクトに力を注ぎ、果ては米国抜きのTPPを主導し原発再稼働や戦争法案など「今だけ、カネだけ、自分だけ」を地で行く暴挙に邁進し、私たちの日常と余りにもかけ離れた今の政治のあり様に日本の未来の姿はまったく見えてきません。
今後100年間の間に日本の人口が5000万人以上減るといわれている人口減少の問題と超高齢化社会を向かえようとしている時代にあって、バブル時代以降、低迷している経済がこの先、飛躍的に回復、成長することはすでに希薄化し、加えて気候変動による環境の問題やこれに伴う食料主権などこれからの未来社会に対する課題を長期的な視野で国益をどう展望するのか考えなくてはならない時期だと思うのですが、今の政治のあり様はこうした課題に目を向けようとしていません。
能勢農場は昨年瀬戸田農場と事業統合をしたことでこれまでにない規模となり、飼養頭数が増えたことでこれまでの自給飼料の枠組みを再構築していかなくてはなりません。放牧・繁殖も新たな取り組みがスタートします(前号で掲載)がまだまだ試験段階です。
畜産業界の衰退が顕在化する中、能勢農場の畜産の営みもこうした情勢からけっして自由ではありません。だからこそこれまで培ってきた農業・酪農・畜産に従事する多くの人たちとの協同+連携を通してこの地域で将来を展望できる第一産業の恒久的な営みを共に創造していきたいと思います。
(能勢農場 寺本 陽一郎)
蒸し暑くなってきました。今年も能勢の夏祭りで、またあなたと会えるのを楽しみにしてます。
●日 時:8月5日(土)午後7時開場~9時まで(開場時間は繰り上げません)
●場 所:能勢農場 広場
●参加費:おとな 2,000円、こども 1,000円(4才から中学生まで)
●飲 食:ビール飲み放題、麦茶、牛モモ丸焼き、焼きそば、コーン焼き、カキ氷、ウィンナー、ポップコーン、その他盛りだくさん
●出し物:花火大会、金魚すくい、ヨーヨーつり
●送迎バス:午後6時30分→能勢電「日生中央」駅前出発、午後9時30分→農場発「日生中央」駅前行き
能勢農場の林間学校が、今年も始まります! 暑い夏に、子どもたちがたくさん集まり、自然の中で、農場でしかできないことをやり、みんなで一緒に夏のいい思い出づくりをしましょう。今年のテーマは、「かみワザ体験!? 牛乳パックが大変身!!」です。
スタッフと一緒に、子どもたちのお世話をしてくれるリーダーを募集します。やる気のある方、興味のある方、ぜひ参加してください!
●対 象:中学1年生以上 経験回数は問いません。
●期 間:7月24日(月)~7月28日(金)
8月7日(月)~8月11日(金)
8月14日(月)~8月18日(金)
8月21日(月)~8月25日(金)
●協力費:1期・10,000円を支給します。
●研 修:7月15日(土)~16日(日)、1泊2日でスタッフ・リーダーの研修を行います
※質問・疑問など、お問い合わせは直接能勢農場にご連絡ください。(19:00~21:00)
▼能勢農場…電話・(072)734-1797
5/14(日)能勢浄るりシアターの館内と屋外を一面に「のせピースマーケット2017」が開催されました。この催しは今回が第2回目で、里山に抱かれた緑豊かな能勢で平和を願うひとびとが集い、「心と物と夢が行き交う市場! 大阪のてっぺんから平和を世界に!」をテーマに行われました。フリーマーケットや多様なフードマーケット、ライブパフォーマンス、国際平和・環境・人権NGO活動の紹介展示やワークショップなど一日中楽しめる内容で、私はスタッフとして参加しました。
昨年は会場準備に加え、来場する車の誘導、50人分のまかない食の用意、ハム工場からカリーブルストの出店と駆けずり回っていましたが、今年はまかない食作りのみで、会場をゆったり回ったり、久々の再会に喜んだりしていました。当日は風が少なく蒸し暑く感じられ、屋外の屋台ブースには堪える気候でしたが、私はライブパフォーマンスに聞き入っていました。朝鮮舞踊が華やかに舞われ、地元おじさんバンドが軽快にフォーク熱唱した後、フィナーレに完全オリジナルの「ピースマーケット音頭」が初披露された。♪核抑止力より仲良くし力(りょく)♪で始まる音頭で、♪のせからのせのせのせまくれ~♪と振り付けもあり、完成度の高さに驚かされました。興味ある方は検索してみてください。
マーケットがひらけることは、個人が尊重され、表現・言論・宗教などの自由である基本的人権が保障されたある意味、平和の象徴だとこの催しを通して感じました。国会で憲法改正が議論されていますが、このままがいいのではないでしょうか。
(ハム工場 上西 達也)
美味肉家能勢では、「お好みに応じて選んでください」であったり「食べ比べを楽しんでください」であったりの意味もあり、自社の能勢牛と外部から仕入れたお肉と併用して焼肉を楽しんでいただいています。そんな中、4月一カ月間を「能勢牛フェア」と銘打って、ほぼ全メニューを能勢牛のみで提供させていただきました。普段能勢牛を食べたことのない方々、お味・食感は如何でしたでしょうか?
本来なら食肉センターの焼肉店としては、能勢牛オンリーで提供するのが筋なのかもしれません。でも週3頭の牛で、『ライフ』会員の方々の注文に対応している中では原料的に無理が出てきてしまいます。でも今回のフェアで能勢牛を気に入ってくださった方、おいしさを再認識してくださった方。社内の都合など気にせずご遠慮なくどんどん召し上がってください。キッチンの中で慌てふためく柴田店長の姿を見ながら食べる焼肉は、オツなものですよ(笑)
(能勢食肉センター 笹川 まや子)
今年もいちごの季節です。例年通り宝交早生の路地栽培。今年は試験的に苗の定植段階から黒マルチをかけた畝を用意し、通例となっている春先にマルチがけをする畝との生育の差を検証してみました。結果は一目瞭然、定植時にマルチをかけておいた畝が圧倒的に元気でした。この原稿を書いている時点でも、生育具合に一週間ほどの開きが出てきています。秋マルチは実の大きさや成り具合も良いのに対し、春マルチはまだ、株あたり2、3個赤い実を付けている程度です。ちなみに、よそのいちご畑の生育状況は話を聞く限り、この春マルチに近い様子で育っているらしいです。冬場暖かったことが苗の根の張り方に影響を与えたこともあろうかと思いますが、マルチによる畑への影響をまざまざとみせつけられました。とはいえ全体の三分の一しか秋マルチは実施していませんし、花も一斉に咲き切ってしまったので、今年は相当短命に終わりそうです。
そんな周りの気持ちもお構いなく実を赤く色付かせて、いちご狩りは本番を迎えます。今年も楽しみにしてたよと言ってくれる人、練乳なしでも食べられると感動しているご新規の人、いちごも採らずに延々とカエルを追いかけている子ども、家族サービスで来て普段の疲れから車の中で寝ているお父さんと、実にいろんな人間模様が繰り広げられる畑にあって感じるのは、明らかに採算の合わないこのイベントが培ってきた場所の位置付けです。
春の穏やかな天気の中、都会の建物だらけのせわしない世界から抜け出して、ゆっくり田舎の空気を味わいに来る。そんな日が一年に一日くらいあってもいいじゃないかと息抜きをすることのできる場所として存続してきたのでしょう。そんな場所であっていいんだと思います。
長々と書いてきましたが、伝えたいのは、こういう場所は一部の人間の努力だけで維持できるものではないので、参加される人全員に協力を願いたいということです。
いちごの数には限りがあるから、熟してない青い実は後の人のために置いておくとか、採る前にしっかり赤くなっているか確認するといった、自分以外にもこの場所でのいちご狩りを楽しみにしている誰かがいるという気持ちを持って帰ってもらえれば、能勢のいちご畑は憩いの場として毎年成立することと思います。よろしくお願いします。
(能勢農場 阿部 真澄)
いちご狩りの風景
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