能勢農場 研修レポート

種子島
これからの農場や自分について考えるきっかけにと以前農場に勤めていた種子島の古市さんのもとへ1週間研修に行ってきました。7月の頭ですが種子島はお米の収穫期。のんびりとした島生活を想像していましたが、長雨の影響で水がはけていない田んぼでの手狩り収穫や安納芋・加工用芋畑の除草など、強い日差しの元毎日滝のような汗をかき、農作業は思ったよりハードでした。しかし、そんな作業の合間に感じるどこからともなく吹く風、冷たい山の水、広い空、休憩の時に皆で味わうスイカ、夜は満点の星空。この、のどかさが良いなあ。と感じました。
また、通りがかりに声をかけあったり、休憩中にいただいたスイカやコーヒーゼリーはご近所さんのご好意だったり。これも古市さんたちが作ってきた、つながりあってのものだと思いました。農業を続けていく大変さのなかにこうした人とのつながりがあり、維持されているものがあるのだなと感じました。また毎日採れたての野菜を食べ(生のピーマンとにんにくと塩昆布をからめたもの、ゴーヤジュース、モロヘイヤ最高においしい!)、畑に出て汗をかき、海では貝を採る。そんなシンプルな日々を通し、働くことが生きることであり生活するということ、そしてその幸せを実感しました。また、古市家で食住を共にし、自分の気持ちを伝えること、受け取ることの大切さ。まだまだ自分が未熟で、周りの人に支えてもらいながら生活しているのだということを帰ってきて改めて感じました。
家族と暮らす、誰かと暮らす、“生活とは”ということを考え直すきっかけにもなったと思います。これから自分が大切にしたいもの、守りたいものは何なのか、すぐに答えはでませんが種子島で見つけた種をこれからも考えながら少しずつ播いていけたらと思います。
最後にこんな状況下でしたが研修を引き受けていただいた古市家の皆さん、現場を支えて送り出してくれた皆さん、ありがとうございました。
(能勢農場 髙橋明子)

北海道「えりもなかの牧場」
8月28日から9月5日にかけて、北海道の「えりもなかの牧場」に研修に行ってきました。飛行機で新千歳空港に着き、牧場へ向かう時の車内から見える風景に思わず「北海道はでっかいどー!!」の一言。またテレビで見たり、本などで見ていた牧場にある単色の色鮮やかな建物や広大な牧草地を実際に見て、これぞ北海道という風景が延々と続きました。それと牧場の多さにも、さすが北海道と思いました。南側は和牛より馬の牧場が多く、牛にしても馬にしても、のどかに優雅に牧草を食べている姿を見ました。
車を走らせ約4時間、「えりもなかの牧場」に着いて、まず何カ所かの牛舎を見学しました。各牛舎への移動に車を使うほど広大な土地の中に点在してあり、それぞれの牛舎に放牧地が隣接していて牛たちが牧草を食べている姿を見ると、ストレス無く育っている感じがとても伝わってきました。
研修が始まり、まずは朝のエサやりからです。なかの牧場でのエサやりは機械を使ってしているものと勝手に思い込んでいましたが、実際は農場と同じで手やりでおこないます。エサの内容としても粗飼料・配合・バガス・キューブ・ビタミン剤を与えており、ビタミン剤を与えている以外は基本同じです。毎年、3,000ロールから4,000ロール採れる牧草(農場より一回り大きいサイズ)を不断給餌で与え、また、寝(床)ワラとして惜しみなく使用しています。
毎夕のエサとして与えた牧草を寝(床)ワラとして使っていることには少し抵抗感がありましたが、草の不断給餌だと農場の牛のように人が近づくとすぐに寄ってくることもなく落ち着いて、ストレスなくいることがとても感じられました。北海道の広大な土地と大自然の中でストレスなく育っている牛の姿を見て、これが本来の牛の飼い方なのだと感じ、この飼い方で牛を育ててみたいと正直思いました。エサやり以外で削蹄・出産の補助・日本で最大規模の市場の見学など、多くの未経験なことが経験できました。
受精卵移植や出産までの管理と最新の技術を取り入れているのですが、牛に対しての世話(目で牛の状態を見るなど)は基本人的でおこなっています。このスタンスは僕自身も変えずにいきたいと思います。
(能勢農場 中原恵一)
高知室戸
2020年の7月の末から約1カ月間、高知の室戸市で松本拓也さんが赤牛の繁殖、放牧を行っている赤牛の丘牧場へ研修を受けに行かせてもらいました。
この研修を通じて繁殖牛の体調管理、発情兆候の見分け方を教えていただくことで牛に対しての視野と考え方を広めること。そして能勢農場以外の企業を経営されている方と仕事を行える貴重な機会のため、仕事に対しての考え方を教えてもらい、今後自分は仕事に対してどのように向き合っていくべきなのかを改めて見直していきたいと思いました。
作業はまず朝の7時に放牧場にいる赤牛たちのエサやりから始まります。常に放牧場で自由に歩き回っている赤牛たちですが、餌の時間はおよそ決まっているため、エサやりを始める時には牛舎へ戻ってきており、決められた順番にエサを与えていきます。牛たちがエサを食べている間に牛舎内の床掃除を行います。
エサの時以外で牛舎にいることがほとんどないため、牛糞はほとんどなく、二十数頭いますが1度の掃除で一輪車約2台分、時間も10分程で終わります。エサやりが終わると、次は赤牛たちのエサの準備をします。牧草の発注はほとんどしておらず、近場の畑で牧草を育てており、それらの回収に向かいます。一年中牧草を確保する必要があるため1度しか刈れない牧草、3番刈りまで可能な牧草、など複数の種類を時期、気温によって使い分けることで常に牧草を確保できるように工夫がされていました。
作業の合間に放牧場を案内してもらいました。まだ芝生が生えていない所があり、木も大量に残っている状態でした。松本さんの思い描く放牧場を築き上げるには途方もない時間と労力が必要になってくると思いました。それでも目標に向かって一つずつ取り組んでおられました。自分が今の仕事に取り組んでいるとき、そこまで先のことは考えられておりません。自分が今取り組んでいる仕事は何がきっかけで取り組むようになったのか改めて考えてなおすこと。半年先、1年先、最後には10年先を見据えるようになることを目的として努めていきたいと思います。
(能勢農場 井上高仁)