2月より新型コロナウイルスの影響が出始め、3月より緊急事態宣言、そして解除後の感染者拡大。感染拡大を抑えながら新型コロナとどう向き合って暮らしていくのか、皆さんそれぞれ考えて生活されていることと思います。普段の生活では全くマスクをしない私でも、常にマスクを持ち歩くようになりました。私の住むのどかな島でも、スーパーに行くにしても、子どもの登下校中でもマスクを着用し、入り口でアルコール殺菌が当たり前になっています。島では誰が感染者第1号になってしまうのか、そんな空気感があります。感染者への誹謗中傷もニュースに取り沙汰されていて、島に帰省したくてもできない雰囲気があり、都会で暮らす友人から『親の病状が気になるけど、他県ナンバーの車があったら睨まれたりしない?』と電話がよくあります。返答に困りますが…。
ニュースもコロナのことばかりで国内外の出来事の報道が小さくなっているように見えます。今年はアメリカ大統領選挙もあり、世界の大転換期です。独断か協調か、極端な舵取りが目立つ世界の政治、先進国にも広がる中国の一帯一路、トランプ政権下で悪化しているパレスチナ問題など、深刻化している世界の大問題も今のコロナの影響による実生活に追われ関心が薄くなっていると感じています。
柑橘と造船と観光の島であるここ生口島でも話題は、自分の仕事にコロナ禍がどう影響してくるかということがメインです。柑橘農家は今シーズンの市場価格や売れ行き、農家への補助金の話題。造船業は海外からの注文がストップしていたり、外国人労働者の出入国できず人手不足になったり、部品が入ってこないなどがあり、影響は1~2年後に出てくるだろう。といった、今は大丈夫だけど…という話が多いです。
「観光業は人が全く来なくなって、アルバイトの人たちは休んでもらう日々でどうなるかと思っていたけど、緊急事態宣言解除後はサイクリストや観光客が戻ってきてホッとしている。でも第2波が来ると思うとゾッとする。補助金を貰っても全然足りないし、GoToキャンペーンで人が動くうちに稼いでおかないと…」と話していました。みんな自分の生活のことだけで精一杯です。
SNSでも販売
セーフティフルーツも3月から飲食店の注文がほとんど止まり、ブラッドオレンジや八朔、レモンが行き先を失くしてしまい貯蔵庫に積み上がったままの状態を見てはため息ばかりでした。関西よつ葉連絡会では、外出自粛で逆に注文が延びているとのことでしたが、それでも売り切れない量の在庫を抱えていました。そこで八朔とレモンのジャムを作る企画が持ち上がり、かなりの量をジャムにして販売してくださいました。それでも在庫は大量にあり、なんとか乗り切らないと本当に大変なことになる状況でした。そんななか、知人から連絡がありfacebookで『ふんばれ!2020』というページを立ち上げているので、コロナで困っている農家を支援する人たちが参加しているから投稿してください。と連絡があり、苦手なSNSを使って販売しました。一般家庭からの注文なので2㎏~5㎏くらいの注文が多く、注文品種も様々だったので出荷伝票・請求書の作成、箱詰め作業はかなり時間を費やしましたが、ブラッドオレンジは1週間で完売することができました。その間に、その投稿サイトを見た広島のラジオ局やテレビ局から取材の依頼があり、これまた苦手なメディア出演をしました。そこでも反響が多く個人の注文がドッと押し寄せました。嬉しい半面、アルバイトの人たちも子供が家にいるので働きに来れない状況で、家族でなんとか乗り切るしかなく、うちの子供たちも毎日作業場で仕事を手伝ったり宿題をしたり、遊んだりしていました。子守りもしながらの作業だったので大変でしたが、注文の際に皆さんから励ましのメッセージを頂いて、本当に元気が出ました。
また、お付き合いのある飲食店からも連絡があり、「お店を開けてもお客さんが来ないので、店の前で食材の販売しています。余っている柑橘から売るので送ってください」と申し出があり、その話が他の飲食店にも拡がって残りの八朔や、在庫のレモンはなくなりました。それでもまだまだ樹にはレモンが残っていて、全てレモン果汁にせざる得ない状況に陥りました。例年なら3t~4tを絞っていたのですが、今年は6.5tもの量を絞ることになり、果汁にするとやはり収入は下がりますが、瓶詰めになるので樹にならせたままにするよりは良いので仕方なく搾汁しました。今はそのレモン果汁もたくさんのご協力により、半分までは売れました。残りは売れるかどうか分からず悪戦苦闘している状況です。
ただ、今回のコロナ禍で様々なことが厳しい世の中になりましたが、今まで支えてくださっている仲間たちとお客さん、そしてそのつながりによる、まだ会ったこともない方たちのご協力によって最悪の事態は免れることができたことを心より感謝しています。コロナのお陰で人と人とのつながりのありがたさを再認識することができました。
(セーフティフルーツ 能勢賢太郎)
トイレは衛生管理の要
食品工場においてトイレは、単なる排泄のためだけの施設ではありません。衛生管理の要であり、HACCP(ハサップ)に基づく衛生管理を徹底させるためのもっとも重要なポイントです。この度、衛生管理の向上を目指しトイレを大改築することになりました。28年前に完成したハム工場には、トイレがありませんでした。
正確に言うとありませんでは済まされないので、あることはありました。けれどもそれはトイレと呼ぶにはあまりに仮設な正真正銘の仮設トイレでした。驚かれるかもしれませんが、仮設トイレでも営業許可が当時の基準では下りたのです。しかし現在それは通用しません。トイレも含めた施設内外の環境が一定の水準を満たしていないと食品工場建設は素人が簡単には手が出せない専門性の高い高度な難しい事業になっています。仮設から現在のトイレに変わり施設としての役割は十分に果たしているのですが、衛生管理の観点からみると不十分さは否めません。そこで今回の大改築に至った訳です。
旧式な和式一発だった便器を、大と小の二基設置しすべて手を触れずに明かりが灯り、音楽こそ鳴りはしませんが水が流れる。と言った衛生管理よりも温かいトイレに座り用を足せるしあわせに浸りたいだけの改築ではないことをお約束します。現在の時点で設計・見積が最終段階に入っています。大きな変更点がなく順調に進めば11月中旬には完成すると思います。一度そんなこんなトイレを見に来ていただければ幸いです。
(ハム工場 佐藤雄一)
新入社員紹介
飼養衛生基準の変更
初秋の季節とはいえ暑い日が続きますが、皆様におかれましてはお元気でお過ごしのことと存じます。近年アジア地域におけるアフリカ豚熱の発生や日本での豚熱の発生が続いております。さらに、訪日外国人旅行者の急増に伴って、国内に病原体が持ち込まれる可能性は高まっている現状において家畜を守るため2020(令和2)年7月から新たな飼養衛生基準に変わりました。
家畜の伝染病は、家畜衛生管理を適切に行えば、その発生を予防できるものが多いため、家畜の所有者が守る必要のある家畜の飼養衛生管理基掌が定められたものです。そこで、農場で行われている飼養衛生基準の取り組みを紹介したいと思います。飼養衛生管理で大切なことは病原体を「持ち込まない」「拡げない」「持ち出さない」ことです。
衛生管理区域を場内に設けました。不要不急の立ち入りを制限するようにするためです。野生動物が場内に進入できないように農場の周辺に電気柵と鉄格子柵を設置しました。また、豚舎の中に小動物が進入できないように防鳥ネットを張りました。
農場外での物品の受け渡しや来場者には防護服の着用、手指の洗浄・消毒などをお願いしています。
病原体は目には見えないものです。場内での感染拡大を拡げないように、畜舎ごとに専用の長靴を設置しました。現在使用している地下水は、殺菌・消毒をした飲用水を使用しています。
出荷や回収で使用する車輌は小まめに消毒を行っています。また、訪問に来る車輌にも消毒を行っています。出荷する家畜の健康状態を常に経過観察をする。農場で使用した作業服も場内で洗濯・乾燥しています。
このように健康な家畜を守る衛生管理を行うことで、食品の安全性の確保のために生産者としての資任と義務であることを認識していきたいと思っております。これからも会員の皆様に安心・安全な豚肉を提供できる様に従業員一同努力していきたいと思います。
(奥口ファーム・奥口 四郎)
農場外周辺の電柵と鉄格子
Copyright © 関西よつ葉連絡会 2005 All Rights Reserved.