新しい畜産の未来を。と放牧・繁殖事業の取り組みに一歩踏み出してから約5年になりました。高知県から生後約7カ月で能勢農場にやってきたあかうしの“さつき”と“みはる”はそれぞれ3産し、立派な放牧・繁殖牛として育ちました。
昔は各農家に牛が居ることが当たり前で、田畑を耕し、重い荷物を運び、牛は一緒に日々を生きる家族だったのです。そうした役目を終え、肉として食べることが最期でした。
今、人々の生活環境は大きく変わりました。見渡す山々は荒廃し、耕作放棄地も増えています。どちらも人間だけの手では追いつけない生産効率を求められるようになり、もともとつながりのあったものはそれぞれ分担され、保たれていたバランスが崩れてしまったことが原因だと思います。
あかうしに学ぶ
そんななか、あかうし2頭がやってきた農場では大きな変化がありました。放牧地を整備するために多くの人が集まり協力してくれ、地域の方が散歩がてら放牧している牛の姿を見に来る、林業を営んでいる方ともつながることができました。また、繁殖牛として育てるためには酪農家とのつながりが欠かせませんでした。そして仔が生まれると仔を見に人が集まる。バラバラになりつつあったものをつないでくれたのは牛だったのです。
また、2頭の繁殖に取り組む中で感じたのは「母は偉大」ということです。哺育事業では下痢や熱、そしてウイルスの蔓延に日々頭を悩ませていました。しかし、母牛と一緒の仔牛にはそんな心配はいりませんでした。仔牛が下痢をしたら母牛がお尻を舐め、寒そうにしていたら寄り添う。それが自然なんだと改めて気づかされました。そうしたときに「哺育や肥育ってなんなのだろう」と空しい気持ちになった自分がいました。それでも限りあるいのち。せめて生きている時間は元気に過ごせるようこれからも大切にしたい。そんな想いで畜産と向き合えるようにもなりました。
「牛は食べるだけの生きものではない」。「生きているだけで十分役割がある」。たくさんの出会いを生んだあかうしの放牧・繁殖事業。まだまだ可能性は広がります。これからもみなさんとつながり、一緒に歩み進めていきたいです。
(能勢農場 高橋 明子)
畜産衰退の波に抗し模索中
(能勢農場 中原 恵一)
旬のイチゴ狩り
20年もたつと…
鶏肉を使ったハム・ソーセージの価格を改定しました。早い話が値上げです。鶏ムネ肉の値上がりが原因です。原料の鶏肉の値上げは、初めてのことではありませんが、上げ幅が企業努力の限界を超えてしまいました。値上げ幅の大部分は、今まで発生していなかった送料が別途上乗せされていることによるものです。送料を甘く見ていた訳ではありませんが、1998年6月にココちゃんウィンナーを発売して以来の値上げになります。
そもそも、よつ葉で鶏肉のハム・ソーセージを作るきっかけとなったのは、豚肉加工製品の値上げにありました。ハム工場設立時に設定した価格は、まず会員価格を決めてから卸値を決めるといった、厳密な原価計算からはかけ離れたもので、発売5年を経過した時点で価格見直しを迫られ、原価計算の結果、大幅な値上げが決まりました。
その時に、交換条件ではありませんが、「豚肉に比べ価格の抑えられた鶏肉を使った商品を発売してほしい」との要望があり、試行錯誤の末、「ココちゃんウィンナー」の発売に至ったわけです。値上げの代わりに作った商品が、今回、値上げとなったわけですが、場合によっては、豚肉より高額な商品になってしまいそうです。「鶏肉を使った安価な商品」という発想自体が通用しない時代になっています。牛>豚>鶏といった序列に支配されている肉屋の頭は、かち割らないといけないようです。
(能勢の里ハム工場 佐藤 雄一)
豚肉スライス加工 頑張ってます!
(能勢食肉センター 井上佑磨)
事務作業も増えたけど、両立するぞ!
(能勢食肉センター 佐田 章平)
今は膝を曲げている時期だ
この言葉は僕がスポーツに真剣に打ち込んでいた学生時代に、幾度となくコーチに言われた言葉で、どんなに真面目に毎日練習をしていても一向にタイムが伸びなくなる、いわゆるスランプという時期が必ずあります。そんな時どうしても気持ちが焦ってしまい、あがいている僕を見て言った言葉でした。
大きく飛ぼうとする前には、膝を曲げ、体をできるだけかがめ、両腕も大きく振りかぶり力を溜めます。そしてその溜めたカ (膝を伸ばし、それに両腕の力をプラスして)で大きく飛ぶことができます。
北近畿産直は、2018年の3月に京都府綾部市に引っ越しをしてきて早いものであっという間に3年目に突入しました。ありがたいことにようやく少しずつではありますが、順調に産直活動ができています。しかし、引っ越してきた初年度は何をしてもうまくいきませんでした。あがいて、もがいて、地面にひざまずいてもだめでした。あまりに何をしてもだめで、何かに崇られていると思い、当時お風呂に入って体を洗う時には、粗塩を体にこすりつけて洗い、仲の良い会員のW.Tさんからもらった魔よけの石だと呼ばれる石を、事務所の玄関に置き、教えてもらった謎の呼吸法も配送の運転中に必ず行いました。が、いわゆるスランプからの脱出はできませんでした。そこで思い出したのが「今は膝を曲げている時期」の言葉でした。
今、よつ葉全体でも、これからどういう方向に向かっていくのかを真剣に話し合い、模索している真っ只中のように感じます。いわゆる膝を曲げて大きく飛ぼうとしている時です。いつでも大きく飛べるように日々、準備を怠らないように、これからも日々の産直活動に取り組んでいきたいと思います。
余談ではありますが、去年の年末そのコーチと飲みに行ったんです。2軒目のスナックで、ベロベロになっているコーチに僕が「スランプの時の状態ってなんでしたっけ?」と開くと、「腰が曲がってる状態や」 と言われたので、僕は無視してカラオケの18番を入力しました。
(北近畿産直センター 吉田 幸司)
魔物は石敢當に当たると砕け散るとされる
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