互いの信頼を繋ぐ米検査!
9月に2回、10月に2回の計4回、米検査を行ないました。収穫されたお米を出荷するための30㎏入の玄米を一袋ずつ運び込み、並べて封を開け、検査の準備が整います。1度に700~1000本も集めて検査するので、集荷場の駐車場で行います。だから、雨が降ったら大変!! 天気予報とにらめっこしながら、検査を行えるかどうか、ヒヤヒヤしながらその時を待ちます。
おかげさまで3回は晴天に恵まれスムーズに検査を終えることができました。今年は高温が続き、お米にも様々な障害がでましたので、生産者の苦労が窺えます。
「カメムシ」も元気です。検査のためにすくった白い皿には、ポチポチと黒くなっている被害米か現れます。検査したお米の半分以上はあったでしょうか。歩留まりは悪くなりますが、精米すれば食味に大きく関係しないので、カメムシの被害で等級の下がった地場のお米は、ワンランク上の価格で買入れします。ただし、「殺虫剤・殺菌剤は各1回のみ」という基準を満たしたものだけです。「省農薬米」という表示で販売されます。収穫量も一般的な栽培と比べると少なくなりますが、農薬・化学肥料を全く使わずに栽培している農家もいます。ゆえにカメムシ被害には寛大でなければなりません。
お米を買入れ、会員に出荷する立場からすると、手間もかかるし、歩留まりも悪いのですが、農薬を使ってほしくないので、このような基準にしています。
各農家は、袋詰めした玄米を検査場となる野菜出荷場に持ち込みます。野菜の出荷と同様10本程度の少量出荷の方から200本も超える玄米を持ち込む生産者もいます。大口の生産者は軽トラックで3度・4度と運び込むことになります。
ほのぼのとした交流も
お米が出荷場に運び込まれると、皆が協力してトラックから降ろし、並べ、検査できるように袋を開封します。今年は3人の検査員が、一本ずつ黒と白のお皿で米をすくい取り、粒ぞろいの様子、つや、色、ハリなど、さまざまな観点で等級を判断するのです。
検査員は生産者と対面し、田んぼの状況、天候、田植え・稲刈のタイミングなど、きちんと話を聞いたうえで判断し、その内容を生産者にしっかり伝えます。たいへん時間のかかることですが、このやり取りこそが重要だと思っています。
「よつ葉の会員」に美味しいお米を届けるためには、どのように作ればいいのか? その基準を農家にしっかり伝え、一方で、農家から聞いた収穫にたどり着くまでのさまざまな苦労や、田んぼの様子を会員に伝えているよつばの検査官を、農家たちも信頼しています。
等級が決まると、皆で一本ずつ米袋を縛って閉じていきます。その作業の中で、「今年はあかなんだわ~。けど台風が来る前に刈っといてよかったでー」とか、「籾摺り機壊れて出費やったけど、1等とれたから良しというとこか!」など、悲喜こもごもの話も出ます。語らいながら手を動かし、保管倉庫に運び込む大きなトラックに皆で積み込むのですが、「若い兄ちゃん」よりも年季の入った「おっちゃん」の方がホイホイ積んでいくのです。「こんなんは力とちゃうねん!!」と、たのもしいお言葉ににっこり。とりあえず出荷できてやれやれ! みんなの力で終わっていく米検査には、ほのぼのとした余韻がいつもあります。
(北摂協同農場 安原 貴美代)
