Vol.5 平野製麺所「うずしおの華」
麺そのものの味わいを追求
「手延べ」とは読んで字のごとく、麺生地を引き伸ばすことで、麺を作り上げる技法を言い、極細の素麺はその技術の結晶です。しかし、素麺業界は機械化が進み、「手延べ素麺」と名乗っていても市販のほとんどは機械で作られています(もちろん「手延べ」と名乗れる、基準は守られています)。その中で平野製麺所は、本来、手延べを名乗るのに必要な「小引き」「門干し」「付けハタによる乾燥」を全て手作業で行っている数少ないメーカーです。
まず、じっくり練り上げた麺生地を数段階に分けて引き伸ばしていきます。その際、その日の気温や湿度などで変化する麺の状態を見極めながら、長年の皮膚感覚で最適な加減に調整して引き伸ばします。また、その都度、適度な熟成時間を設けることもポイントで、延べ3日かけて仕上げます。
その平野製麺所の中でも究極を目指したのが「手延べ素麺うずしおの華」。風味豊かな国産小麦、地元・鳴門の釜炊塩、日本で一社しか作っていないとされる圧搾抽出の米油を使用。国産小麦がもつ旨みと甘み。そしてモチモチした食感を最大限に引き出しています。
通常、素麺はつゆに漬けて食べるものですが、茹で上がりを冷水でさっと引き締め、まずはそのままで食べてみてください。麺そのものの味わいが感じられると思います。あえてやや太めに仕上げてあるので、しっかりした弾力も楽しめます。また、この素麺の本領が発揮されるのは温かい出汁でいただく煮麺(にゅうめん)です。市販品より伸びにくいので、最後までおいしくいただけます。夏以外のシーズンでも十分楽しめる素麺です。
手作業でていねいに
延ばしていく
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