日本の畜産の現状はとてつもなくゆがんでいます。飼料の海外依存率の高さはその象徴です。国産で、しかも出所が明らかな飼料のみで肉牛を飼育することは、たいへん難しく、海外の粗飼料や穀物飼料に頼らざるを得ないのが現実です。しかし、私たちはこうした現状を少しでも変えようと、よつ葉の豆腐工場のオカラを粗飼料に加えたり、地域の農家に呼び掛けて田んぼから稲ワラを回収して、粗飼料として与えるなど、飼料の地域内循環を進めています。そして、できるだけ抗生物質などの薬品に頼らず、ストレスを少なくして自然で健康な肉牛を1カ月齢から最終肥育まで一貫して育てています。
長くよつ葉の産直で配達をし、会員さんといろいろお話をするなかで自分が畜産現場について全然知らないことがわかり、いつしか畜産現場への思いが強くなり、7年前に大阪の能勢農場へ移りました。
一般の畜産農家では効率優先で考え、できるだけ早く大きくなるように高カロリーの輸入濃厚飼料を与えます。そのため内臓には負担がかかるので、多くの牛は内臓の病気になっています。逆にエサ代などのコストを抑えるために飼育期間を短くして「若齢」と銘打って出荷するものも増えてきています。
牛それぞれに個性があり、気の強いやつ、弱いやつ、エサをたくさん食べるやつ、食べないやつなどさまざまです。能勢農場では、そういった牛の個性に合わせてエサのやり方や飼育する場所を変えるなど工夫することで、27ヶ月後にはちゃんと出荷できるように手を尽くします。
能勢農場としては手間はかかっても、一頭一頭の個性に向き合って育てることこそが本来だということを伝えていきたい。そして、個体差はあっても、会員の皆さんに満足してもらえる牛肉をお届けできるように、これからも畜産に根気よく向き合っていきたいと思います。
(能勢農場 中原)
能勢食肉センターでは、能勢農場で肥育されたF1牛(黒毛和牛とホルススタインの交雑種)や契約農場で育てられた豚を、枝肉の処理、整形、精肉加工にかかわるすべての工程を行っています。一貫生産だからこそできる、能勢牛の特性を生かした独自の牛肉管理システム(トレーサビリティ)を取り入れています。
1999年、増え続けていたよつ葉会員の皆さんに、畜産現場とつながった牛肉、豚肉を安定して届けるためには、新しい加工場と技術を持った職員が必要不可欠と考え、設立したのが能勢食肉センターです。
2001年に日本で初めてBSE(牛海綿状脳症)の発症が確認され、日本の畜産、食肉業界は再編の嵐に直面することとなりました。2003年には牛の一頭一頭に個体識別番号が付き、牛肉の素材となる牛が追跡できるシステムが「牛肉トレーサビリティ法」として制定されます。それは、能勢農場がよつ葉と共に作り上げてきた畜産から食肉加工の流れを一貫したものとして、消費者にも分かるようにするという点で、カタチとしては制度化されたものでした。しかし、食肉業界の実態は分業がさらに進み、予めロースやバラなど、部位ごとに切り分けられた「部分肉」での流通が普通で、誰がどこで、どんな飼料を与えて育てた牛なのかは見えないままでした。売れる部位、売れにくい部位のバランスを考えると、食肉加工業者は売れる部位だけ仕入れて売るのが合理的なのです。
でも私たちはその逆に、能勢農場に牛の増頭を要請し、能勢農場が育てた牛だけを加工することにこだわる道を選択しました。
この道は、食肉センターだけでは歩むことはできません。仔牛を届ける酪農家、育てる能勢農場、よつ葉の職員、そして何より食べていただく会員の皆さん。時として欠品が生じます。時として牛の個体差が落胆を生むかもしれません。そして価格も。よつ葉の牛肉は、仔牛の誕生から加工まで人でつながった現場作りをめざして、40年かけて育ててきた牛肉です。それが能勢食肉センターの誇りだと思っています。
(能勢食肉センター 津田)
01.
地域の気候・風土・人々の生活とむすびついた畜産を常に求め、地域の農業と一体化した畜産をめざします。
02.
飼料の地域内自給、糞尿の地域内還元をめざし、環境負荷の少ない畜産をめざします。
03.
繁殖・哺育・肥育・屠畜・解体加工・パック詰めの全ての過程で個体識別が可能で、履歴が追跡可能となる畜産・食肉加工シ ステムをめざします。
04.
動物としての家畜に、できる限りストレスがかからない、自然な肥育環境づくりをめざします。
01.
地域の気候・風土・人々の生活とむすびついた畜産を常に求め、地域の農業と一体化した畜産をめざします。
02.
飼料の地域内自給、糞尿の地域内還元をめざし、環境負荷の少ない畜産をめざします。
03.
繁殖・哺育・肥育・屠畜・解体加工・パック詰めの全ての過程で個体識別が可能で、履歴が追跡可能となる畜産・食肉加工シ ステムをめざします。
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