File.9 醤油と遺伝子組み換え(GM)表示
表示義務のある「大豆製品から」→表示義務のない「油関連食品・添加物へ」移るGM
最近、醤油の表示を見ていると、以前はなかった「遺伝子組み換え大豆不使用」という表示が目立ちます。醤油は遺伝子組み換えの表示義務がないため、これまではほとんどが遺伝子組み換え大豆が用いられてきました。そのため消費者からの批判があり、業界が指針を作り、遺伝子組み換えでない大豆を用いるようにして、わざわざ表示を行っているようです。
醤油には「加工脱脂大豆」という、搾油した後の大豆が多く用いられています。大豆油のほとんどが遺伝子組み換え大豆を用いているため、わざわざ遺伝子組み換えでない脱脂大豆を苦労して取り寄せているようです。しかし一方で、おせんべいなど加工食品に用いられる醤油は、遺伝子組み換え大豆から作られたものと考えて間違いありません。
また遺伝子組み換えの問題はそれだけではありません。醤油の典型的な原材料は「脱脂加工大豆、小麦、食塩、アルコール」で、中には糖類やカラメル色素を用いたものもあります。糖類では、異性化糖(果糖・ブドウ糖・液糖など)が大半ですが、人工甘味料が用いられているものもあります。アルコールの一部、異性化糖、カラメル色素は、トウモロコシを原料としており、遺伝子組み換え原料ですが、その旨が表示されていません。
現在、大豆の自給率はわずか6%で、大半が米国・ブラジル・アルゼンチンの遺伝子組み換え大豆栽培国からやってきます。そのため国内で流通している大豆の85%は遺伝子組み換え大豆です。現在、豆腐、納豆、味噌、豆乳といった表示義務のある大豆製品に加えて、上記のように大半の醤油でも遺伝子組み換え大豆は使われなくなりました。
ではどこに使われているのでしょうか。主に食用油、サラダ油、マヨネーズ、マーガリンといった表示義務がない油関連食品に使われています。それ以外には加工食品に用いる醤油のほかに、植物たんぱく、たんぱく加水分解物といったたんぱく質関連食材にも使われています。食品添加物としては、乳化剤(大豆レシチン)、ビタミンEなどにも使われています。
輸入大豆に依存する限り遺伝子組み換え大豆を食べざるを得ないのです。
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- 天笠啓祐さん:
- 環境・食品ジャーナリスト。市民バイオテクノロジー情報室代表。
「遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン」代表