2023年『Life300号』「深刻なPFASによる人体汚染」
いま、PFAS(ピーファス)による人体汚染が顕在化し、社会問題になっています。とくに米軍基地からの汚染が地下水を汚染し、それが井戸水や水道水を汚染し、魚介類を汚染し、人体汚染をもたらし問題になっています。しかし、基地にとどまらず半導体工場からの汚染など、範囲は広がっています。PFASとは、有機フッ素化合物の中で、合成洗剤や消火剤、洗剤などに用いられてきた仲間の総称です。撥水性、耐油性や耐薬品性、安定性に優れていることから、多くの工業用や家庭用の製品に使われてきました。
フッ素は、とても活性的ですぐ何かと結合して安定しようとします。そしていったん安定するとほとんど分解しない性格を持っています。PFASもとても安定しており、ほとんど分解されることがありません。
ところがその有害性が分かってきたため、その安定性が裏目になってきたのです。環境中にとどまり続け、巡り巡って人体を汚染し続けるからです。そのため使用すればするほど、環境汚染は深刻化し、それは巡り巡って食品や水道水などを通して人体を汚染します。体の中に入り込むとなかなか排出されず、分解されないため、とても大きな影響をもたらします。デュポンの研究でも腎臓がんや精巣がんなど、米環境保護局の研究でも生殖能力の低下や前立腺がんなどの影響が示されています。いま欧米では規制が進んでいます。しかし、日本では規制がとても遅れているのです。
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- 天笠啓祐さん:
- 環境・食品ジャーナリスト。市民バイオテクノロジー情報室代表。
「遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン」代表