2019年『life』120号 「農薬に汚染された輸入小麦とパン」

小麦粉の
農薬残留検査の結果が出ましたので、紹介します。検査した農薬は
除草剤のグリホサートで、検査を依頼したのは「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」です。この農薬は、遺伝子組み換え作物の9割近くに使用されており、加えて、収穫前に撒いて作物を枯らし、収穫しやすくするプレハーベスト農薬にも使用され、年々食品への残留が増えています。小麦はとくにプレハーベスト農薬での使用量が増えている穀物です。全部で14検体検査しましたが、輸入小麦粉は程度の差こそあれ、ほとんどから検出されました。
特にパンによく使われている
強力粉の汚染が目立ちます。これらは米国北部とカナダで生産された小麦から作られています。また、その強力粉でも全粒粉ほど汚染されていることが示されました。胚芽や表皮に農薬が残りやすいからです。逆に
国産の小麦からは検出されず、
海外産でも有機であれば検出されませんでした。
米国やカナダでは、グリホサートの使用量が増えたことから、農家の健康が脅かされると同時に、食品への残留量が増え、健康被害が消費者にも広がっています。
発がん性があり、加えて
妊娠や出産への影響、
子どもなどへの神経障害等も報告されています。日本でもパン食が増えており、とくに子どもたちへの影響が懸念されます。国産小麦にはプレハーベスト農薬は使われていません。国産でも、できたら農薬を使っていないか、可能な限り抑えた小麦を使ったパンやうどんなどを食べるようにしたいものです。

- 前の記事へ
- 次の記事へ
- 天笠啓祐さん:
- 環境・食品ジャーナリスト。市民バイオテクノロジー情報室代表。
「遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン」代表