よつばつうしん
2016年9月号(No.066)
うまい話まずい話	やさい村	河合左千夫
(その21)長崎型原爆ともんじゅとナトリウム

小さな記事でしたが、高速増殖原型炉「もんじゅ」で、使用済み燃料プールの汚れを知らせる警報が鳴ったのに5カ月間も根本的な対策(フィルター交換)がとられず、プールの清掃、再度の警報を繰り返していたことがわかったと報じられました。報告を受けた原子力規制委員会のあの田中委員長もさすがに「想像を絶する」と厳しく批判したそうです。「もんじゅ」は火災事故以後運転はされていないのですが、冷却用に使われる大量のナトリウムとプルトニウムを含む使用済み燃料というふたつの厄介なものの管理のために生かされ続け、金喰い虫になっています。
 71年前の8月6日に広島にウラン型原爆、9日に長崎にプルトニウム型原爆が落とされました。核分裂するウラン235はウラン全体の0.7%しかありません。これを巨大な遠心分離機で濃縮をして核分裂が起きやすい状態にすれば原爆ができます。日本を降伏させるだけならこの原爆だけでよかったのだと思うのですが、わざわざ原子炉というものをつくってウラン235をゆっくりと核分裂させてプルトニウムを作り出し、もうひとつの原爆を作りました。自然界には存在しない物質で、しかもとんでもない破壊的エネルギーをもっているものを冥界から呼び出してしまったわけです。「もんじゅ」はそれを燃料に使おうというわけです。
 40年以上前、まだ学生だった頃、大学の理学部の研究室からナトリウムが何10グラムか紛失した、あるいは盗まれたということで大騒ぎになりました。当時は水俣病の原因物質の水銀すら研究室では使い放題のタレ流しだった時代に、ナトリウムは厳重に管理されていたようです。金属なのに液状で水と反応すると発火する危険物なのですが、文系男子には実物を目にすることすらできませんでした。その後「もんじゅ」で冷却剤としてナトリウムを何10トンと使うと聞いて、そんなものがつくれるわけないと思いました。今になればこちらの直感の方が当たっていたと思います。
 田中委員長は「もんじゅ」を管理している日本原子力開発機構について、今回の不祥事以前から解体して別組織を作るか廃炉にするかというきびしい指摘をしています。ところが政府はほったらかしです。田中サンが「働かしていい」という時にはよく指示に従ってくれるのですが、「働かすな」と言ってもそっぽを向かれてしまうようです。


沖縄たより
 基地の島からH
はざま
美しい海と赤土の間で
伊豆味果樹生産組合  上原 幸安  


この欄に拙文を寄稿させていただいて早9カ月。沖縄本島北部の柑橘農家のあれこれをお伝えしようとお引き受けしたものの、振り返ってみると次々と突き付けられる重苦しい課題の連続になってしまいました。
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設や米軍北部訓練場内のヘリパッド建設の強行など軍事基地をめぐる問題は相変わらず息つく暇もありませんが、あえて今回はひと息。皆さまにお届けさせていただいているタンカン栽培では一切除草剤を使っていないという、一農家のつぶやきといいますか宣伝めいた自慢話です。
 私が住んでいる本部半島は「美(ちゅ)ら海水族館」のある海洋博記念公園で知られていますが、内陸の山間部はおいしい柑橘類の産地として沖縄でもつとに有名です。
 しかし台風や大雨の際に山間部から流れ出した赤土で海岸線の景観は一変してしまうことがあります。私もその原因の一人でした。
 15年ほど前に漁民の友人から、農家は海の汚染と漁業衰退の元凶だと詰られて以来、考えを改めて除草剤を使うのをやめました。除草剤を使うと表土がむき出しになって赤土が流出しやすくなるからです。
 亜熱帯の沖縄は草木が葉っぱを畳む冬場がないため草刈り機による作業ではひと回りしないうちに草ぼうぼう。私のタンカン園では今年すでに5回も草刈りをしましたが、ひと月足らずでひざ丈まで伸びた雑草を見ると、5〜6時間ほどでできる除草剤の誘惑に負けそうになることもあります。


でも挫けません。環境保全だけでなく、皆さまをはじめ子や孫たちに安全で郷里の豊かな自然に育まれたオンリーワンの味を楽しんでもらいたいからです。
 ことしのタンカンは、年はじめの記録的な寒波で少し開花が遅れましたが、今のところ実太りは例年並みです。畑への足どりもランランラン……。
 ですが、今年は台風の発生が極端に少なく、かえって不気味な感じがします。挽回しようと短期集中の襲来になるのか、個数ではなくエネルギーとばかりにスーパー台風を見舞うのか、農家の不安は尽きません。



編集委員からの一言


 先日、広島、長崎に原爆が落とされた8月6日、9日を迎えました。そして、「3・11」の福島原発事故を経験し、3度の原子力、核による被害を経験しました。原発事故以降は「脱原発」に進んでいくものだと期待しましたが、今や国政選挙でも原発推進勢力が勝ち、熊本地震以降の九州電力の対応を見ていても不安を感じます。地震の後も稼働し続ける川内原発は、公約に原発停止を掲げる知事に代わっても、のらりくらりと運転を続けます。原子力ムラと言われる力は、まやかしの安全神話をまた新たに作ろうとしています。
 小学生の頃、修学旅行で行った広島の原爆ドームの前で、被爆者の方から体験談を聴かせていただいたことを思い出しました。その時感じたのはまさに恐怖というものでした。核爆発による直接的な被害、放射能汚染による被害、子ども心に本当に恐ろしく思いました。都合よく編集された情報が溢れる世の中ですが、核の恐ろしさを忘れないようにしなければと思います。

(パラダイス&ランチ・高木俊太郎)

 

INFORMATION
9/3(土)〜
●映画『河内山宗俊』『北の三人』ほか
追悼 永遠の女優・原節子
シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416
http://www.cinenouveau.com/
9/19(祝・月) 14:00〜15:30
●第221回 住まいの勉強室
 『防災センターで体験しよう』

場所:大阪市立あべの防災センター
解説:防災センター職員
予約連絡先:072-671-2284(井上)
9/11(日) 14:00〜16:00
●「よつばの学校」公開講座
発酵食品と食卓〜醤油編
場所:ハービスプラザ5F会議室
講師:植松勝久さん(ヤマヒサ)
お問い合わせ:072-630-5610

10/1(土) 12:40〜
●「もんじゅ」も原発もいらない!
 戦争いやや! 2016関西集会
会場:エルおおさかホール
連絡先:072-843-1904 0

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