よつばつうしん
2016年6月号(No.063)
うまい話まずい話	やさい村	河合左千夫
(その18)熊本地震と川内原発

今日もラジオから熊本の地震のニュースが流れています。これは「余震」なのでしょうがなかなか収まりません。
 4月14日、マグニチュード(M)6.5の大きな地震が熊本地方を襲い、熊本市や隣の益城町で震度7を観測しました。阪神淡路大震災以降、気象庁は震度の表示方法を改めましたが、それでも7は最大のものです。この時点ではこれが「本震」で、その後何度も起きる地震を余震とみなして、地震学の常道に従って「震度6弱程度」の「大きな余震」に注意するように呼びかけました。
 16日1時25分「本震」から約28時間後、M7.3のさらに大きな地震が起きました。6.5と7.3の差は0.8ですが、エネルギーは約16倍、しかもどちらも震源の深さは同じ地下10qですから、地表での揺れは同じ震度7でも前よりもずっと大変だったと思います。震度8以上を想定していないわけですからしかたありません。気象庁はこちらを「本震」とし、14日の「本震」を「前震」と名付けました。まあまあ長いこと生きてきましたが、こんな言葉を聞くのは初めてですし、そもそも「前震」だとわかっていれば「これは単なる前ぶれです。もっと大きなのがやって来ます」と注意することができるのですから、想定外の事態に仕方なく選ばれた命名でしょう。
 本当の「本震」から間もない16日午前3時40分に始まった記者会見で青木元、地震津波監視課長は各社記者の度重なる質問に対して「今後については予想できない」と何度も答えたそうです。つまり、まだ「本震」ではなくて、これを「前震」と呼び直さなければならないような「本震」が起きるかもしれないからです。翌17日に臨時で開かれた政府の地震調査委員会でも「今後どう推移するかは何とも言えない」との結論になりました。気象庁だけではなく地震学の専門家たちも、さらに大きいのが来るのか、他の活断層へと広がることもあるのか「わからない」と言いました。
 18日、原子力規制委員会は臨時委員会を開き、熊本地震のすぐ近くで、しかも現時点でわが国ではただひとつ稼働中の川内原発1・2号機(前回書きましたが、せめて1機だけにしてほしい)の状況報告を受けて田中俊一委員長は記者会見で「現状は全て想定内。今の川内原発で想定外の事故が起きるとは判断していない」と発表しました。さらに「科学的根拠がなければ、国民や政治家が止めてほしいと言ってもそうするつもりはない」とも言いました。
 それだったら田中委員長にお聞きしたいのですが、想定外の事故は起きないとする「科学的根拠」はどこにあるのでしょう。


沖縄たより
 基地の島からE
何処にが流りーら くぬうちなー
伊豆味果樹生産組合  上原 幸安  


1958年、沖縄から甲子園に戦後初めて出場した球児たちが地元に持ち帰った甲子園の土が、港で没収されて海に捨てられました。当時、沖縄はアメリカの施政権下にあり、日本本土、つまり外国から土を持ち込むことはできなかったからです。あれから58年―今度は逆に、本土から沖縄への土砂や石材などの搬入が県条例で規制されることになりました。
 名護市辺野古の新基地建設では、東京ドーム17個分の土砂で沿岸部が埋め立てられることになっています。このうち岩を砕いた岩ズリの半分程度が県外から持ち込まれます。このため「あらゆる手段での新基地阻止」を掲げる沖縄県の翁長知事を側面支援しようと、沖縄県議会の与党が提案して去年7月に成立させました。
 アルゼンチンアリやセアカゴケグモなど特定外来生物が土砂に紛れて侵入するのを防ぎ沖縄の自然環境を保全するのが目的です。特定外来生物の混入が確認できれば知事が搬入中止を勧告でき、従わない事業者名は公表されます。勧告に強制力はありませんが工事の進捗を遅らせることが期待されています。ただ、県議会の勢力分野によって条例の存廃や運用が大きく左右されるだけに、6月に行われる沖縄県議会議員選挙がにわかに熱を帯びてきています。―甲子園の土が持ち込めずに海に捨てられたときは、高校球児の心を踏みにじった現実が大きな反響を巻き起こして沖縄の日本への復帰を求める運動が一気に盛り上がりました。―今度は土砂を入れたくない取り組みが功を奏すのか、基地建設を推し進める勢力が多数を占めて条例は廃止に追い込まれるのか。
 それにしても…持ち込みたいときはダメ。持ち込ませたくないときは、ありとあらゆる手を使って持ち込もうとする。ネットでみた嘆き節のような一節が頭をよぎりました。


故郷の土砂を
戦争に使わせないために



♪大和の世んでぃ 思(う)むたしが
  アメリカ世やなまちじち
  何処にが流りーら くぬうちなー

大意(日本復帰して大和世になったと思ったことだが、アメリカ世(基地の島)はまだ続いている。沖縄はどこへ流れるのだろう)。



編集委員からの一言


 20年ほど前、岩国の錦帯橋を訪れた時、木造5連のアーチに思わず見とれました。しかし実際渡ってみると、急な登りに、向こう側は見えず、登り終え、下ればまた向こう側の見えない上り坂、全景の美しさを忘れそう。「まるで、人生のようだ」と若造の戯言。
 我が家の近くにも古い木造の長い橋があります。増水の度に橋板が流されるので通称「流れ橋」。10年ほど前、ぼやで橋の真ん中にぽっかりと焼き穴が開きました。ボーっとしてると真っ逆さまです。「やっぱり橋は人生のようだ」と再確認。ところで、今のこの国は、向こう岸の見えない一本の長い吊り橋を大勢の行列でわたっているようなものでしょうか。ロープも橋板も悲鳴を上げてミシミシ、ベキベキ…行こか、戻ろか、散らばろか、辺りの人と顔を見合わせ、「さぁ、どうする?」。夏には参院選が控えています。あなたはどんな橋を望みますか? 時にランランと、時にトボトボと、それでもやっぱり軽やかに渡っていきたいです。

(京滋産直・光久健太郎)

 

INFORMATION
6/4(土)〜
●映画『不思議なクニの憲法』
憲法には「私はどう生きるべきか」が
書いてある
シアターセブン 06-4862-7733
大阪市淀川区十三本町16-7
サンポートシティ5F
6/19(日) 13:30〜15:30
●第218回 住まいの勉強室
『建築なんでも相談』

場所:いのうえキッチン
解説:井上能信(一級建築士)
予約連絡先:072-671-2284(井上)6/6締切
6/12(日) 14:00〜16:00
●「よつばの学校」公開講座
季節とともに暮らす〜旬を大切にした
暮らし方
場所:茨木市福祉文化会館202号室
講師:中西里美さん(別院協同農場)
お問い合わせ:072-630-5610



6/25(土)〜7月8日(金)
●【特集上映】映画と憲法
九条(くじょう)で九条(きゅうじょう)を考える
シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416
http://www.cinenouveau.com/

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