よつ葉つうしん

2015年12月号(No.057)

 
TPP反対!!

あらためて「反対」の立場を明らかにしておきたいと思います。これは「自由貿易協定」ですらなく、アメリカン・スタンダードのグローバル化であり、私たちの暮らしのあらゆる分野を市場原理に組み込む、経済的強者のためのルール作りです。私たちは人々の暮らしより利潤が優先される社会を望みません。この協定が発効されることのないよう取り組み続けると同時に、国境を越えて利潤をむさぼるシステムに対抗する力を足下(地域)からつけていく関係づくりを、ともにすすめていきましょう。 (7面に関連記事)


TPP交渉大筋合意を受けて
おきたま興農舎 小林 亮

地域の農と暮らしを守ろう

 本年10月5日、5年にわたる交渉の末、環太平洋経済連携協定(TPP)は大筋合意に至った。
 農業を含む分野横断事項は、知的財産、環境、労働、医療など、自由競争を旨としたルール形成を核に、21分野に及ぶ包括的交渉が秘密裏に進められた。その先に見据えるアジア太平洋自由貿易圏構想に向けて、暗夜航路へと踏み出すこととなったのである。
 農産物に限っても81%が関税撤廃。その加工品の大半が自由化の波を被ることになる。まるでオウムのように『TPP断固反対』を叫び、ポスターを農村の片隅まで貼りまくり、その公約を基に政権を奪取した事実すら知らん顔。今度は守るのではなく『攻めの農業』に舵を切り『強い農業を構築』するのだとノタマウ。車の輸出関税5%を得るために25年もの期間を許容し、引換えに米7万8400tを特別枠として即時関税撤廃するとした。水田面積にして1万5千ha、俵数換算で約145万俵。当置賜地方3市5町内の生産量をゆうに超えることになる。
 事あるごとに美しい国、日本の文化を誇り、民主主義を語り、国民の生命、財産を守り抜く覚悟を示し、御親切なことに国民の幸福追求権などと突然持ち出す始末だ。憲法の精神を本気で守る意思を持つとは到底思えぬ御仁の発言だから驚くばかり―。秘密保護法で報道の自由を奪い、外交や官邸の秘密は闇に隠すあざとさ、狡猾さは他に類を見ない。強い経済も周辺事態の危険性も、自らの取りまきを太らせ、権力にしがみつくための周到な準備としか映らない。
 他者に寄り添い地域に根ざす社会にほどほど≠ノ生きてきたこの国は、普通の人たちによって、まずは我が町の自治体から着実に建て直しを実現する他ない―。
 主権在民の理念を問い直し、農業も地場産業も商店も共存できる自治のあり様を主権者として地歩を固める剣が峰にあることを切ないほどに感ずるのだ。
・勤労者平均所得の350人分を一人の経営者が取得し
・テロを生み出す極貧と飢えと差別を放置、助長し
・周辺事態の危機を煽り、軍備増強を画す一方、基本食料の自給策すら定まらない
・株高誘導に貧者の年金をジャブジャブつぎ込む野放図さ
 もう我慢も限界だ。グローバリゼーションの衣をまとった強者独裁の新自由主義とやらよサラバ!

 
問われる よつ葉の真価
能勢農場 寺本陽一郎

TPP交渉が難航していたころ、甘利TPP担当相が「公約厳守といっても、米1粒も譲るなというのには無理がある」と公言していましたが、TPPの全容が明らかになる中で「それでもこれは譲りすぎでは?」と多くの国民が感じたに違いありません。
 特に第一次産業に従事している生産者にとっては、ほとんどの生産物の関税が下がるか撤廃され、市場競争にさらされるのは明白です。でも、もっと問題なのは「非関税障壁」までもが撤廃されようとしていることだと感じています。遺伝子組み換え食品や輸入肉、添加物などの表示義務や輸入規制は、戦後の高度経済成長の時代から現在に至る中で、公害や食品添加物の問題についての消費者の粘り強い反対運動を通して消費者自ら勝ち取ってきたものです。それらが「日本の基準は高すぎる」と訴えられれば、見直しや撤廃をよぎなくされるということです。結果消費者は、選択や知る権利などが奪われ、ますます食の環境が荒廃していく事態になりかねません。
 新聞などでは生産の環境劣化が連日取り上げられていますが、消費者への影響はどうでしょう。「安くなる」ということばかり強調されますが、この協定を批准すれば輸入品が増えるだけではなく、食の安全にかかわる規制緩和も押し付けられます。よつ葉がこれまで発信してきた「生産―流通―消費の関係を通して、人と人がつながっていくことによってこそ食の安全・安心も担保されていく」その真価が試される時代に入ったと感じます。


人間らしい暮らしがTPPを跳ね返す
よつば農産 山口 協
 テレビや新聞では「TPP大筋合意」との報道がなされ、あたかも決着済みかのような風潮がまかり通っていますが、未だ国会での批准もされていません。
 そもそも協定文書が公表されたのは20日も後のこと(しかも英語)。それなのに政府はいち早く関連対策の策定をすすめ、補正予算の確保まで口にしています。とんだ猿芝居と言わざるをえません。第一次産品の関税問題を除けば、知的財産や特許、金融サービスや投資、医療や食品の安全基準など20以上に及ぶ分野の内容は、まったく曖昧なままです。
 そもそもTPPはグローバル企業の活動にとって障壁となる規制や制度を可能な限り撤廃することを基本方針としています。いわば、国という枠組みをとっぱらって、地球規模で強い者がより強くなり、弱い者は滅びるに任せようとするものです。憲法さえ骨抜きにしてアメリカにすり寄る政府が、口先では「聖域を守る」などと言いながら、そんな気はさらさらないことなど、分かり切っていたはずです。
 もちろん、これからも私たちは主権者として、政府に「TPP交渉から撤退せよ!」と求め続けるべきでしょう。しかし、さらに必要なのは、仮にTPPが発効したとしても負けないだけの根拠を持つことです。それは特別なことではありません。日々生活している地域に根を下ろし、お互いの暮らしを支え合う生産・加工、流通、消費の関係を拡げ、深めていくことです。人間らしい暮らしの復権こそ、TPPを跳ね返す力となるのです。

ページトップへ