よつばつうしん
2015年11月号(No.056)
うまい話まずい話	やさい村	河合左千夫
(その11)伊方原発とひとりの女性の死

深夜のラジオが伊方原発の再稼働に向けて、地元の合意が進んだと伝えました。佐田岬半島という日本でもいちばん細長い半島のつけ根に同原発はあり、その先に5000人ほどの人が暮らしています。道路は1本しかなく、放射能が漏れる事故が起きればその人たちは袋小路に閉じ込められます。たったひとつの出口は岬の先端の港だけですが、港が壊れたり海が荒れたりすればそれも使えなくなります。地元の中村愛媛県知事はそれを百も承知で安倍首相が「政府が責任を持って対処する」と発言したことを受けて「再稼働の同意に向け前進した」との考えを示したそうです。ぼくには、この2人は5000人を見殺しにするつもりなんだと聞こえました。
 あれは大学の2回生の時だからもう40年以上前になりますが、松山市の愛媛大学の構内で伊方原発反対全国学生集会が開かれ、数百名の学生が集まりました。まだ原発は作られていない時です。集会後、国鉄で八幡浜まで移動し、そこから建設予定地までデモ行進しました。たった1本の国道を使って。現地では建設に反対する住民の人々が拍手で迎えてくれたのを覚えています。
 学生の運動と住民運動が結びつくことができたのは、「現地闘争小屋」をつくって大学を飛び出して常駐していっしょに運動を続けてきたぼくの友人たちの努力が実ったからです。その中心メンバーだった近藤くんは現地に住みつき、八幡浜の小さな新聞社の記者になり、原発が作られて以降もずっと反対運動を続け、今は再稼働反対に頑張っています。
 当時、地元の反対運動の会長さんは、もう名前を忘れてしまいましたが、痩身で背の高い初老の人でした。ここの運動が強かったのは建設予定地の土地を持っている人たちが反対して、四国電力に売ろうとしなかったからです。会長さんもそのひとりでした。ところが四国電力はあろうことか、会長さんの奥さんを騙してハンコを捺させてしまいました。だまされた事を知った奥さんは自殺してしまいます。ぼくたち学生の前に立った会長さんはそんなことには一切触れず、穏やかに高潔ささえただよわせて挨拶したのを今でも忘れることはありません。友人から奥さんの話を聞いていたぼくは、その穏やかさの底に、強い怒りと悲しみを感じ取りました。
(追記。近藤くんは10月15日に逝去されました。驚いています)


水俣たより
 「公害の原点」水俣からJ
再稼働はこれからラッシュ?!
企業組合エコネットみなまた 永野隆文



原発なしで暮らしたい 水俣の横断幕(2015.7.7)

2015年8月11日、川内原発1号機が再稼働しました。私は、避難計画が喫緊の課題だと考えています。水俣市は、お隣の鹿児島県出水市の避難者6600人余りの受け入れ先であるのでその避難計画、もう一つは、福島事故で全村避難地域になった飯舘村が、原発から40〜50キロで、同距離にある水俣市も避難対象地域になる可能性があることから、水俣市民の避難計画も必要になっているのです。
 まず、出水市の避難計画は、再稼働後もできていません。どんな季節、どんな気象状況、どんな時間に、どうやって避難をしてくるのか。高齢者や障がい者、一人では避難できない人はどうやって、どこに避難するのか。また、被曝検査や、被曝していた場合の除染は、出水市で行うのか、水俣市に来てからやるのか。方法は? 水で流すのか、ふき取るのか。放射能雲の流れの情報はどういう手段で、伝わるのか。そうした疑問が次々に浮かびます。実効性のある計画は、できていないのです。ましてや水俣市は30キロ圏外ですから、水俣市の避難計画が国や熊本県で課題にされることもありません。
 福島原発事故で、原子力の安全神話が崩れ、多くの事を学びました。原子力発電は危険を伴うエネルギーであること、いったん事故が起きると取り返しがつかないこと、避難と言っても、故郷に帰れる避難と、捨てなければならない避難があること、などなど。
 再稼働した今、私たちは常に不安な中で暮らしています。新基準に合格と言いますが、原子力規制委員会の委員長は、「原発が安全だとは申し上げられない」と断言していますので、再び福島のような事故が川内原発で起こらないという保障はないと考えます。避難計画が実現不可能だとしたら、原発に頼らない暮らし方に移行すべきではないでしょうか?
 兵庫県篠山市、福井の高浜や大飯原発から40数キロの距離にありますが、原子力災害計画に向けての提言書を作り、避難計画作りに着手しています。福島事故問題は現在進行中で、その中で再稼働したのですから、それなりの備えがあってしかるべきだと思います。



編集委員からの一言


 最近、よく耳にする「マイナンバー」制度という言葉。社会保障・税番号制度という別名のこの制度は、住民票を持つ国民一人ひとりに番号を割り振り、個人情報を国が管理する制度です。これまで公的機関はそれぞれで情報管理をしていました。マイナンバー制度の導入で、役所間の個人情報のやりとりが効率化し、私たち国民は用意する書類が少なくなるなど便利になるという話ですが、本当のところはよくわかりません。
 ですが、よくわからない中でも「個人情報が漏洩しないか?」という心配をしている人は多いと思います。「社会保障・税・災害対策の3分野で利用」となっていますが、将来的にはどんどん広がっていくのではないかということも心配ですし、預金口座との関連付けの義務化も検討されているとか。そんな何もかも国に管理されるなんてとんでもない話です。来年1月から利用が始まるこの制度について、もっと関心を深めしっかり考えていかないといけないと思います。

(よつば農産・鎌田)


 

INFORMATION
10/31(土)〜ロードショー
●映画『波伝谷に生きる人々』
震災前の南三陸を舞台にしたドキュメンタリー
シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416
http://www.cinenouveau.com/ 
11/23(月・祝) 10:30開場 15:30終了
●東北⇔関西ポジティブ生活文化交流祭
 〜ず〜っと続けてく被災障がい者支援〜
会場:長居公園自由広場(雨天決行)
お問い合わせ:06-6324-7702


11/8(日) 10:00〜14:00
●いきいきごちそう祭
「もういちど考えよう! 食のこと、平和のこと」
場所:原公民館・グラウンド(高槻市)
北摂・高槻生活協同組合 072-688-4878

11/25(水) 10:00〜13:00
●第211回 住まいの勉強室
 『薬膳…食べて元気・食べてキレイ』
場所:いのうえキッチン(井上建築工房事務所内)
講師:中谷美穂氏(養生料理教室いちか)
予約連絡先:072-671-2284(井上)


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