よつばつうしん
2015年10月号(No.055)
うまい話まずい話	やさい村	河合左千夫
(その10)9月23日は久保山愛吉さんの命日です

1954年3月1日、静岡県の焼津港所属のマグロ漁船、第5福竜丸はマーシャル諸島近海において操業中に、アメリカがビキニ環礁で行った水爆実験で発生した死の灰を大量に浴びることになり、船も乗組員も捕獲したマグロも被曝しました。船員23名のうちのひとり、久保山愛吉さんは特に障害がひどく、3月14日に帰国後すぐに入院治療を受けましたが約半年後の9月23日に死亡しました。医師団は死因を「放射能症」と発表しています。
 当時、第5福竜丸はアメリカが実験に伴って指定していた危険水域の外で操業していたにもかかわらず死の灰をあびることになりました。このあたりはマグロの漁場で他にも数百隻の日本漁船が操業していて、合計2万人ぐらいの人々が被曝しました。ただし、高知県の室戸港など焼津港以外の船は風評被害を恐れ、この事実を伏せてしまいました。34年後に、高知県の高校の先生、山下正寿さんが県内の船員に聞き取りをしたり、アメリカの公文書を調べたり、厚生労働省に情報公開を請求するなど独自の調査を行い、被曝の事実を明るみに出しています。調査の結果、当時被曝したと思われる204名のうち61名がガンや白血病で亡くなっています。また2004年までに、久保山さんの他の第5福竜丸乗組員22名のうち12名が肺がんや肝硬変などで死んでいます。
 第5福竜丸は、その時危険を感じて直ちに操業を中止してはえ縄の収容にとりかかったのですが時間がかかり、数時間にわたって死の灰を浴びることになりました。帰ってきた第5福竜丸は30m離れた所でも放射線が検出されるほど汚染され、人家から離れた場所に係留され、人が近づけないように周りには鉄条網が張られました。また、久保山さんは甲板に降り積もった死の灰(いろんな放射性物質にまみれたサンゴ礁の残骸)をなめて確かめたそうです。彼だけが結果的に体内被曝までも受けることになり劇症化したものと思われます。「原水爆による犠牲者は私を最後にしてほしい」と言い残しました。
 久保山さんの死をきっかけに反核運動が盛りあがり、翌1955年に第1回の原水爆禁止世界大会が開かれました。
 一方、アメリカ政府は現在も責任を認めていません。


水俣たより
 「公害の原点」水俣からI
川内原発再稼働が現実のものに
企業組合エコネットみなまた 永野隆文



8.11 ゲート前で再稼働に
抗議する人たち

2015年8月11日早朝、川内原発へ通じる道は1・5キロ手前で封鎖されていたので、抗議に向かう人々は坂道を上り下りしながら歩いてゲート前に集合。ものものしい警戒が続く中、ゲート前を占拠していた反対グループの乗用車や軽トラック5台が撤収したあと、座り込んでの集会が始まりました。
私も、水俣からということで発言を求められ、次のように言いました。「国民の多くは、原子力に頼らない暮らしを望んでいる。しかし、命より経済が優先という一部の人たちが、大きなリスクを国民に背負わせる形で再稼働を強行してきた。あの福島事故は何だったのか。収束予想も困難、故郷を奪われた10万人以上の人々の存在は完全に無視されている。川内原発現地久見崎町には、事故時逃げ切れなかった人30人が収容できる避難シェルターが作られているが、棄民政策そのものだ。国はいったい私たちをどこに連れて行こうとしているのか。水俣病の教訓、被害が発生したときに何がなされなかったのかが完全に忘れ去られている。今日から新しい原子力社会に入るのだが、それでも意思表示はやめない。脱原発社会を実現するまで、頑張ろう」。
日本の反原発運動は、1979年のスリーマイル島原発や86年チェルノブイリ原発など外国の事故をきっかけに、「盛り上がっては停滞」を繰り返してきました。国内でも、大きな事故につながるトラブルもたくさん発生しました。そして、ついに、福島の事故で、安全神話は完全に吹っ飛び、脱原発が世間の常識になったと言っても過言ではありません。
だからこそ、推進側は、必死です。原子力規制委員会は「安全を保障するものではない」と言っているのに政府は、規制委員会が新基準を満たしていると判断すれば安全だと言い、責任の所在のたらいまわしをしてまで再稼働をしました。
私は、福島の原発被害を忘れない、原発なしで暮らしたいという意思表示を続けたいと思います。完全に停止していた日本の原発は、各地で再稼働準備に入りました。  (2015・9・5)



編集委員からの一言


 8月末、安保法案に反対する全国百万人行動に参加しました。国会前では安保法制をめぐる抗議行動で最大の12万人が反対の声をあげ、法案強行採決への人々の危機感が深いことがわかりました。大阪の扇町公園でも2万5千人の集会に。よつ葉スタッフはもちろん、私たちののぼり旗を見つけて「がんばって」と手を振るご夫婦や、小さな子どもさんと一緒に家族でデモの列に参加される会員さんも。「誰の子どもも殺させない」と書いたプラカードが小さな手とお母さんの重なった手の中でしっかりと握られていました。
 自衛隊がアメリカの軍事戦略の中にさらに強く位置づけられる今回の安保法改訂で、日本が知らないアメリカの戦争に巻き込まれ、NGOだけでなく私たちの暮らしや生命が脅かされる危険性が増大します。
 負の連鎖を産み出す戦争に加担するより、隣国とどう友好関係を築くのかに尽力する智慧が、自らをも救うのだと安倍政権は気付くべきだと思います。

(ひこばえ・下村純子)


 

INFORMATION
10/17(土)〜ロードショー
●映画『野火』
大岡昇平の同名小説を塚本晋也監督が映画化
シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416
http://www.cinenouveau.com/ 
11/3(火・祝) 12:00開場 16:30終了
●もんじゅ」も原発もいらない
 戦争いやや! 関西集会
会場:福島区民センター
お問い合わせ:072-843-1904


10/25(日) 10:00〜14:00
●よつ葉マルシェ
会場:旧大津市公会堂(市駐車場に隣接)
   京阪「浜大津」駅より徒歩2分
主催:滋賀共同購入会(075-702-4885)
【訂正とお詫び】
9月号5面のキャプション「梶商店」は「鍛冶商店」の誤りでした。訂正してお詫びします。


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