よつばつうしん
2015年9月号(No.054)
視点論点

「よつばの学校」について
鈴木伸明(「よつばの学校」運営委員会代表)
 
 ●「よつばの学校」再開の意図
 よつ葉の研修活動の一環として、「よつばの学校」を再開しました。
 よつ葉の仕事も始めてから、40年余りが経過しています。仕事を始めた第一世代はみな60歳を超える年になりました。いつまでも、一線で仕事をやっていくことも適わなくなり、次にバトンを渡していく必要がある時期です。そんな必要から、5年前に始めた研修ですが、思うように進まず、度々休止状態となるのですが、大事な事柄なので、再度試みているものです。
 次を担う若い人の大半が1970年以降、よつ葉の仕事を始めた頃、の生まれです。1970年代は私たちの社会がさまざまな局面で大きく変わった時期でした。その前と後とでは落差が大きく、後に生まれた人たちには前の時代との関連で今を考えることが、実感を伴なわないため、なかなか困難なことのようです。
 しかし、これからの時代は今までの延長というわけにはいかない、大きな社会変化が起きつつある。もっと過去に学び、その変化を認識し、考える力を磨かないと意味ある仕事を作れないとの思いを強くしています。私たち、よつ葉の第一世代が経験したこと、考えたことを若い人たちに伝える努力を継続することで、次の世代の人たちに新たな気付きがあれば、と願いながら進めています。

●70年代に始まる「資本の危機」にどう対応するか
 まず、私たちが仕事を始めた1970年代とはどんな時代であったか?という問いから始めました。私たちの仕事が成立した時代の社会の様相、社会的な条件はなんであったのか?をよく考え理解してもらうためです。食のあり方を大きく変えた時期でもあるわけで、その時代変化の要因を、他の社会的な出来事との関連で考え理解する努力をしてほしいと考えたからです。

第2回公開講座より。講師:平澤充人さん(6/21)
 その時代の雰囲気を少しでも感じてもらう手立てになればと有吉佐和子さんが書いた『複合汚染』も参考図書としました。私たちがあらためて読んでも新しい発見がある本です。
 大まかに考えると、戦争で荒廃した社会の「復興」が工業的な進展によって、農業漁業などの一次産業分野を犠牲にして、図られました。そんな社会形成が、高度成長期を経て完成したのが1970年代ということになります。世界的な大きな変化もその時代に起きています。工業的な社会進展はその時がピークとなった、ともいえる時代です。その後の一時期(1990年代位まで?)は高度成長後の余韻の成せるもの、といった感がありますが、「一億総中流」、実際はそんなことはありませんが、などともいわれ、「消費社会」が謳歌される状況が続きました。消費者運動も活発化した時代です。
 その後の時代は「低成長時代」といわれ、その特徴は、工業に変わって、流通業〈商業〉、金融分野の浮き沈みの激しい変化が顕著になりました。情報通信技術がその手段を提供したものでしょうが、残念なことは、その分野がいくら活発なものになっても、淘汰が活発になるだけで、社会全体を豊かにし、人々を「幸せ」にするものではなく、むしろその反対です。競争相手を蹴落とし、増えることのないパイを奪い合う、というようにしか作用しないことです。
 金融バブルが、かつてない頻度で、繰り返し発生するようになります。「成長を要求する資本」は膨れるばかりで、その行き場はどんどん細って行く、ということで、展望のない「金融バブル」を繰り返す、ということなのでしょう。今の「アベノミクス」とやらも、そんな流れの果てにあります。宴はいつまでも続けられない。「資本の危機」はその度合いをますます深めてきている、と考えた方が、毎日発生するさまざまな出来事を理解し易い。
 「資本危機の克服」その最悪なものが、かつては、大恐慌であったり、その果ての愚かな戦争でした。これから起こることがどんなものかわかりませんが、楽観的な観測に基づいて、先のことを考えるわけにはいきません。

●時代の変わり目に、これからを考える学びの力を

全職員対象の「関西よつ葉連絡会の歴史から学ぶ」
講座で(8/14)
 そんな時代の変り目に今があるのだと考えています。
 私たちが仕事を続けていく社会環境も当然様変わりしていくことになります。先に書きましたが、「今までの延長とはいかない」のです。
 過去に学び、今を考え、これからを予測する力を磨く。食を通して、今までとは異なる暮らし方を考える。土との関わり、自然との関わりを生活の中にもっと取り戻す。生産者と消費者の関係をもっとお互いに近しいものに変えていく、共に生きていく関係のあり方を求めていく。モノのやり取りの方法ももっと異なる形があるのではないか。などなど。
 自分なりの社会認識、時代認識を深める中で芽生えてくる課題を明確にし、その課題を実現していくことが仕事作りになります。そんな「学び」に力を注いでもらいたい、と次を担う若い人たちを鼓舞激励する「よつばの学校」です。
 「よつばの学校」では、全職員向けの「関西よつ葉連絡会の歴史から学ぶ」講座と、各社責任者講座を毎月実施。会員さんへも呼びかけての公開講座を2カ月に1度ほどのペースで実施しています。10月号では8月22日に開催した徳野貞雄さんの公開講座の要旨を紹介します。次回の公開講座は10月開講の予定です。あらためてご案内いたしますので、ぜひご参加ください。

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