よつばつうしん
2015年7月号(No.052)
うまい話まずい話	やさい村	河合左千夫
(その7)キューリー夫人は白血病で死にました

ぼくたちが子どもだった頃は、世界偉人伝なんていう全集があって、小学校の図書館にも置いてありました。いろんなシリーズがあっていろんな偉人たちがとりあげられていましたが、エジソンとキューリー夫人あたりは定番だったように思います。
 このキューリー夫人というのは放射線の研究をやった人で、その功績によってノーベル賞が授与されました。大変優秀な学者です。放射線はこのちょっと前の1895年にレントゲンというドイツの学者によって偶然発見されました。人間の目には見えませんが、蛍光物質にこれが当たると光を発し、しかも隣の部屋の壁も簡単に通り過ぎることができる「不思議な光」ということでX線と名付けられ、その後多くの学者たちをひきつけました。キューリー夫人もそのひとりです。
 ぼくは偉人伝というのはあまり好きではなくて、と言うか、当時はほとんど本を読まない子どもだったので読んでませんが、ウチのヨメさんは読んだことがあるみたいです。「キューリー夫人てねえ、共働きで子育てもしてすごい人なんだけど、食事はねえほとんど毎食じゃがいもを食べてたみたいよ」と何かの時にしゃべったのをよく覚えています。ここで共働きと言うのは、夫のピエールさんは共同研究者、育てた子どもも母親の業績を継いでノーベル賞学者に。ポーランドやドイツあたりはじゃがいもが主食みたいなものだから、キューリー夫人が手抜きだったのではないと思います。
 キューリー夫人が何を食べていたかということまで伝えられているのに、彼女が白血病で死んでいることはほとんど知られていません。当時は放射線の危険性については全く知られておらず、彼女は放射線を出す不思議な物質を実験着のポケットに入れたまま家に帰ったりしていたそうです。今考えればとんでもないことです。ピエールさんも体がボロボロになって、ある日ふらふらと道に出ていって馬車にはねられ死んでいます。偉人伝の影にこんな悲劇がありました。


水俣たより
 「公害の原点」水俣からF
原発反対の声を上げ続けよう
企業組合エコネットみなまた 永野隆文

川内原発再稼働が、今年の夏に現実のものとなろうとしています。1970年代、原子力は核の平和利用と言われ、夢のエネルギーとして各地で原発建設が進みました。「安全神話だ」と、原発に反対する人たちが指摘をしたのもこのころです。
 以来、多くの原子力事故が世界各地で起こり、日本では、2011年3月、福島原発事故が起きました。今や原子力規制委員会ですら、原子力は安全と明言することはなくなりました。それなのに、実際には、脱原発社会は、徐々に遠のいています。福島の事故では足りないのか? 推進派の人たちは脱原発意識に目覚めるのか? 原発反対運動に40年近くかかわっていますが、答えを出せずにいます。
 私が薩摩川内市で活動していたグループは1979年1月のチラシ「川内はこのままでは放射能のゴミ棄て場にされる」の中で次のように主張しました。
 「死の灰=廃棄物は、現地にため込むだけ〜百万キロワットで年間、広島型原爆の千発分もたまると言われる死の灰は、ドラム缶に詰められ敷地内にため込むだけです。いまだ処理方法は世界のどの国においても解決されていません。このことだけでも原発による文化的生活などあり得ないことが明白です」
 たまり続ける廃棄物の処理方法は、2015年の今でもありません。「原発はトイレなきマンション」と例えられたままです。死の灰を管理するのは、私たちが存在しなくなった後の世代の人たちです。大量生産、消費、廃棄の「豊かな暮らし」を満喫し、湯水のごとく電気を使ってきた私たちは、とんでもない負の遺産を押し付けることになります。こんなんでいいのかなあ、いや、いいはずがない。
 私たちは、あきらめずに反対の意思表示を続けるしかありません。川内原発再稼働反対をアピールしながら、鹿児島市から福岡市の九電本店までリレーデモがありました。311キロを5月16日から12日間かけて歩いたのです。沿道では多くの共感を得ました。全国から、関西からもかけつけました。こんなことの積み重ねできっと原発のない社会が創れることを信じます。



編集委員からの一言


 前号は、歳をとるのは初めてだから慣れていなくてあたりまえ、という話でした。先日、まったくね、と思うことが私にもありました。
 とある衣料品店内でのことです。歩いていると向こうから私よりかなり年長だと思われる男性がやって来ました。一応、敬老精神は持ち合わせているので、道を譲ろうとよけました。するとその人も同じ側に同じだけ寄るではありませんか。
 そう、それは鏡に映った私自身でした。もちろん頭では自分の年齢は分かっています。でも感覚はこの歳になった自分に慣れていないようです。自分であることに気づいてギョッとした瞬間、私はさらによけました。鏡には私のいない世界が映っています。おっさんがいたときよりも、すっきりした印象です。
 私が本当にいなくなったあとの世界。そこでは戦争や原発が好きなおっさんたちもまた消滅していてくれるといいのだが。鏡の奥へと走り去る小さな子どもの後姿を見ながら、そう思いました。

(編集部・下村俊彦)


 

INFORMATION

8/1(土) 19:00〜21:00
●能勢農場の夏祭り
会場:能勢農場 広場(駐車場あり)
参加費:おとな2000円 こども1000円
能勢農場:072-734-1797  

8/2(日) 13:30〜15:30
●第208回 住まいの勉強室
 『夏休み親子木工教室』
場所:高槻市立総合市民交流センター
指導:井上能信+井上高一
(一級建築士、工務店)
予約連絡先:072-671-2284(井上)
〆切:7/15



8/1(土)〜ロードショー
●映画『ソ満国境  15歳の夏』
敗戦とともにソ満国境に
置き去りにされた中学生たち…
シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416
http://www.cinenouveau.com/


●訂正とおわび
6月号1面で料理教室講師としてご紹介した中野さんは阪神産直の会員さんではなく、川西産直の会員さんです。


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