芦浜原発予定地の海上で
阪口和郎さん(右)の説明を聞く |
11月15日〜16日に芦浜産直出荷組合に行ってきました。昨年は阪口さんの体調不良もあり行けなかったので念願の訪問でした。
阪口さん夫妻に笑顔で迎えていただき、早速屋上の干し場を見学しました。干し場では温かい日差しの中、息子さんの明志君が正月用の祝いするめを干していました。そこで阪口さんから「蜂が食べて穴を開けることがある」と聞きました。蜂がイカ食べるの?って思いましたが、本当に食べて穴が開き出荷できなくなるそうです。蜂おそるべし…。
そして芦浜産直がある錦町と海が一望できる高台で綺麗な景色を見せていただいた後、かつては芦浜原発の建設候補地だった場所を2カ所案内していただきました。2カ所とも現在は候補地になっておらず、公園やスポーツ施設などになっていました。
そして花かつおの節を作っている「浜甚」さんへ。花かつおは浜甚さんで節を作って芦浜産直で削っています。工場に入ると節のいい匂いがしていました。ここで水揚げされたかつおやさばを熱湯で茹でて乾燥させます。なんといっても驚いたのは乾燥の工程です。浜甚さんではガスなどを使わず「薪」で乾燥させていました。しかも一度ではなく二度、三度と乾燥させます。これは薪のほうが木の香りもあり、風味がいい節になるからだそうですが、非常に手間暇がかけられていて頭が下がりました。
そして2日目はセリの見学をさせていただいた後、芦浜原発の候補地の見学に行きました。候補地まで歩いていく予定でしたが、急遽阪口さんが船をだしてくれるということで、お言葉に甘え船で数十分。候補地は非常にきれいなところでした。この場所だけ自然保護区から外されていて、中部電力はまだ原発建設を諦めていないということです。その後、芦浜産直に戻り実際に花かつおを削るところと釜炊きひじきの釜を見せてもらい、お昼は朝せり落とした魚のさしみとバーベキュー! 本当に贅沢すぎる2日間でした。
今回初めて行きましたが、阪口さん一家の人柄が干物やひじきに出ているような気がしました。芦浜原発建設計画の発表から数十年、今でも芦浜産直の干物やひじきの袋には「芦浜原発反対」の文字があります。これはただ単に印刷されているのではなく、ひとつひとつに阪口さんたちの強い決意がこめられ、手に取った都会の消費者へ訴えかけているのだと思います。
僕は原発に対するすべてに反対ですが、単純にあの豊かな自然が原発によって無くなるのは嫌です。芦浜産直の魚などを食べるときに、阪口さん一家のやさしい顔と豊かな自然を思い浮かべ、そして「芦浜原発反対」の文字にこめられた思いを感じながら食べなければと思いました。 (阪和産直・久米公介)
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