よつばつうしん
2014年7月号(NO.040)
生産者紹介

ガーデンパナの歩み

ガーデンパナ [沖縄県石垣島:チャンプルの素、オニオンソルト、ハーブミックス ]

今から28年前の夏、私は2000キロ離れた東京から石垣島に越してきました。当時の石垣島は、現在のようなリゾート地とはほど遠い静かな南の島でした。ハイビスカス、ブーゲンビリアの花が咲き乱れ、青い空と、青い海、そして聳えるような雲の峰…。頭の中が真っ白になるような衝撃的な景色でした。
 「あかぱな」という言葉を知ったのも、移り住んで間もなくのことです。
 これは「赤い花」という意味で、ハイビスカスのことを言うのだそうです。方言では花をパナと発音すると聞き、この言葉の優しい響きが気に入りました。そして、自分にとって第二の人生をかけるにふさわしい名前として、「パナ」を選びました。
 「ガーデン」は石垣島を表しています。皆さんが石垣島を車で走るとき、道を曲がるごとに美しい景色が開けて行くのを見ることができます。沖縄随一の山であるオモト岳を置く石垣島そのものが、一つの大きな箱庭のような島なのです。
 当初、私はあまりの食生活の違いにとまどい、終の棲家と決めたこの島で自分に合う調味料を作ろうと思い立ちました。幸い我が家の畑には、月桃や島唐辛子、レモングラス、島葱、ウコン、桑などがあり、塩も東京で使っていたものより、ずっとおいしいのです。
 幼い頃体が弱かったので、母は私のためにドクダミや、枇杷の葉、桑の葉、おおばこなどで薬草茶を作ってくれました。母の手仕事の記憶は、私の調味料作りの原点となっています。そうやって、「チャンプルの素」や「ハーブミックス」のような調味料が生み出されました。
 最近では、ハーブが皆さんの生活を少しでも潤してくれることを願って、ハーブティなどに力を入れ、新しいガーデンパナを創り出しています。また昨年には、名蔵湾やハーブ園を望むティルームを開店しました。本当の沖縄の魅力は何なのか…? 産みの苦しみを楽しみながら、頑張っていきたいと思っています。    

(遠山知子)

 


一足の靴に想いを込めて

徳武産業 [香川県さぬき市:あしさぽシューズ ]


地域での清掃活動

弊社の靴をご購入いただくと、社員が手書きした「まごころはがき」が靴箱の中に入っています。一足の靴に想いを込めることで、無機質な靴が想いを伝える有機的なものへと変わっていきます。
 製造現場では、毎月末の作業終了後に、機械にお神酒をお奉りして、「今月もよく頑張ってくれました。来月もよろしく」と言葉をかけます。休まず働く機械は大切な仕事のパートナー。感謝を伝えることで、気持ちよく仕事をしてくれます。
 正月と期の始まりには、地元の神社に全社員でお参りをして感謝の気持ちを表します。また、私たちは、地域への奉仕活動を通じて感謝の精神が芽生えると考えております。社屋の周辺道路は、毎朝、清掃します。近隣の介護施設、会堂、公園の清掃は、毎月、定期的に行います。
 企業がそこに存在するということは、地域の皆様にとって負担となることがあります。例えば、大型トラックが頻繁に出入りし、よくない環境を作ってしまう場合もあります。地域の皆様とともにそこで存在していくためには、真摯に地域へ心を寄せ、かかわりあうことが大切だと考えております。
 そこで、地域の皆様へ「お世話になっております」の気持ちを込めて、清掃活動をさせていただくことで、社員一人ひとりの心が地域と密着し、成長していけるものと感じています。また、弊社のものづくりにも新たな命が吹き込まれることでしょう。

(蓮井真由美)

 


「健康な未来を子どもたちに手渡す」
はら山のお菓子造りの基本です

菓房はら山 [埼玉県さいたま市:小倉どら焼き、有機案山子餅]

食の工業化、効率化により片隅に追いやられた昔からの食べものに、先人の知恵や本当のおいしさが詰め込まれています。
 一つの食の伝統が無くなるということは、動植物の種が絶滅するのと同じことと思います。
 無論食べものはおいしさが大前提になっています。日々進化していく食べものの「見かけのおいしさ」「危ない便利さ」を見極めなければならないと思います。
 和菓子に欠かせない色彩は合成着色料が主流ですが、はら山では有機野菜や果実を煮る、絞るなどした物理的抽出物で着色しております。
 生菓子を着色する際に、手に付いた合成着色料がお風呂に入っても落ちないのに気づいたとき疑問を持ち、許可されている着色料も危ないと感じました。
 それを手始めに和菓子に使われるいろいろな添加物(保湿剤、pH調整剤、酸化防止剤等)を見直し排除する菓子作りをするようになりました。
 また、各種薬剤を用いない飼育方法の平飼卵。有機米、有機小豆、有機白隠元、国内産小麦粉などを主原料に各種添加物を排した和菓子作りをしています。
 私の愉しみは、豆、お米等の原材料の生産をお願いしている農家さんの畑を訪問することです。その度に元気と勇気をもらって帰ってきます。自然を相手に真摯に取り組まれた生産物に、加工の段階で余分な物を添加せず、おいしさと安全をお届するのが私の使命と思っております。

(西田英俊)

 


宮内さんのじゃが芋

生産者連合デコポン [千葉県:じゃが芋・人参・とうもろこし ]


木々に囲まれた宮内さんの畑

千葉県成田市を中心に10市町村・約60名の生産者集団・生産者連合デコポンです。今回は、毎年夏にお届けしているじゃが芋の生産者、千葉県多古町の宮内さんをご紹介します。
 宮内さんは、デコポンの生産者の中でも最も高齢です。露地栽培のみの昔ながらの農家さんであり、有機栽培のベテランでもあります。自家採種を基本として、じゃが芋以外にもラッキョウ、ミニカボチャ、芽キャベツや変わった葉物野菜も多く、宮内さんしか作っていない品目がデコポンの商品の中には多数あります。
 露地栽培ということは旬のお野菜だけを作っているわけで、昨今1年中同じ野菜が店頭に並び、野菜の旬を知らない子どもたち(大人も増えているようです)が、ここに来ると野菜の旬を体感することができます。
 宮内さんの農場は、まわりを木々に囲まれて鳥のさえずりしか聞こえない静かなところにあり、青々とした葉が茂る中、ちょっと前ならじゃが芋の白い花がちらほら見られるなんとも心地よいところです。
 今年のじゃが芋の出来栄えは「3、4月に雨が少なくて心配していたが、なかなかの出来だ」とほんとうに嬉しそうでした。宮内さんのおいしいじゃが芋をつくる秘訣は、いい芽を出すこと。1月終わり頃の天気のよい時に、じゃが芋を外に出して陽にあてて芽を出させます。そのときに出てきた大きなしっかりとした芽を残して土に植えます。その芽が成長をして、葉を広げ栄養を吸収して土中の芋を成長させます。何事も最初が肝心なのです。
 宮内さんのじゃが芋料理のお気に入りは肉じゃが。やっぱり、一番味がよくわかるからだそうです。肉じゃが以外のどんな料理でもおいしいじゃが芋を、多くの方に味わっていただければ幸いです。    

(長谷川市朗)

 


富士のすそ野でマッシュルーム栽培

長谷川農産 [静岡県:マッシュルーム ]

祖父の代からキャベツ専業農家。家族5人で8ha分を生産していましたが、家族経営の限界を感じ、自分の目指す農業を探すため、農業先進国オランダを訪問しました。
 訪問先であるマッシュルーム農家を紹介され、そこで食べたマッシュルームの大きさと、おいしさに驚きました。「これを日本に広めよう!!」と栽培設備・技術を本場オランダより導入。そして富士山のすそ野、富士市にマッシュルーム栽培施設ができたのです。
 施設は6つの栽培室に分かれコンピューターが環境管理し、培地は大型機械で充填します。機材の使い方・栽培管理の指導はオランダ人栽培技術者のフランクからうけました。その当時は、麦わらも馬糞も少なく、菌床作りに手を焼きました。いろいろ模索した結果、菌床をオランダから直輸入することにしました。長谷川用にブレンドされた菌床、富士市の環境に適した栽培方法。そしてなにより、富士山の伏流水で育つマッシュルーム。試行錯誤を繰り返し、無農薬・無漂白・安全で本場ヨーロッパに負けない高品質なマッシュルームが誕生したのです。
 コリコリした歯ごたえの後に旨みが口の中に広がるホワイト、香り・コクの深いブラウン。しかし、日本の市場では無漂白マッシュルームの変色と、大き過ぎるマッシュルームはなかなか受け入れてもらえず、レストランやホテルへサンプルを持って直接出向き、慣れない飛び込みの営業をしました。味には絶対の自信があったので必ずわかってもらえると信じて…。
 今では紹介していただけるようになり、イベントや展示会などにも積極的に参加し、本場の味を広めようと努力しております。マッシュルームへの思い入れや、今まで築いてきた人とのつながりを大切に、これからも『おいしい』 マッシュルームを栽培していきたいと思っています。

(長谷川智陽)

 



山里で暮らす農漁村でくらす
田んぼに写る夕焼け
門脇織物 青山修子


青山さん

兵庫県の北播磨にある多可町は敬老の日の発祥地。そして名紙・杉原紙と先染め織物・播州織の産地でもあります。昔ながらの懐かしい里山の風景や暮らしがまだまだ残っています。
 この地域はまた酒米で有名な山田錦の発祥地でもあり、5月の田植え時期から秋の稲刈りまで、田んぼが見せるさまざまな情景は心を和ませてくれます。
 田植え前の水が張られた田んぼに写る山や夕焼けの美しさは圧巻です。私の夫(オーストリア人)が2回目に日本へ来たときに、この田んぼを見て一言「いつからこんなにたくさんの池ができたの?」。
 この時期になると、本当にこんなにたくさんの田んぼがあったんだと気づかされるぐらいに、いたるところが池のように様変わり。稲が大きくなるにつれて、また景色も色も変化していき、この地域の住民はみんな稲の成長を見て季節を感じます。
 お米を買うという習慣もなく、お米は家にあるもの。そして子どものころからずっと言われてきたことは、ご飯一粒も残してはいけないということ。やはり米つくりの大変さ、一粒のお米の大切さを知っているからこその言葉です。
 この地域ではまだまだ大家族が多く、おじいちゃんやおばあちゃんと遊んでいる子どもたちを良く見かけます。学校では学べないこと、教科書には書いてないことなど、暮らす中で当たり前だけどとても大切なことを学べる里山での暮らし。便利なものがたくさん出回る中で、昔からの伝統や風習が守られているのは本当にうれしいと思っています。

 

 

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