よつばつうしん
2013年12月号(NO.033)
生産者紹介

 

甘夏みかんの生産者から
はんのうれん (熊本:かんきつ類・たまねぎ)

甘夏みかん生産者の吉永紘史さん

 1979年、水俣病患者の「自分が毒に冒されたので、農薬は使わない。人様にも農薬を使ったものは提供しない」との思いから「反農薬水俣袋地区生産者連合」が誕生、略して「はんのうれん」といいます。企業組合エコネットみなまたの農水産加工部門です。
 さて、水俣はかんきつ類収穫のシーズンに入りました。10月24日に温州みかんを初出荷、これから5月初めくらいまで、集荷に、出荷にそして時には収穫にと忙しい毎日が続きます。消費者の皆さまには幾種類ものかんきつ類をお届けしていきます。
 ここでこの40年余りの生産者の声の中から甘夏みかん(時期的に少し早いのですが)への思いをご紹介します。
・家からみかん山が近いので、いつでも行って「玉太りであまい甘夏みかんになってくださいね」とミカンの木にお願いしながら話しかけています。今年で80歳になりましたけど、私たちの甘夏を待ってくださる方がいらっしゃいますので、まだまだ頑張れます。
・我が家の甘夏みかんもたくさん実をつけていて、大小さまざまな顔がその時を待っています。収穫の後の選別、出荷、せん定ときつい仕事が続きますが「安全なみかん」作りに誇りを持って頑張ります。自分が農薬のかかったものは食べたくないので「自分で作る作物には農薬は使わない」と決めて実行しています。だから安全性には太鼓判を押せます。クエン酸いっぱいの甘夏みかんを野菜感覚でたくさん食べて元気でお過ごしください。
 原発事故、TPP、日本の農業を取り巻く環境は一層厳しくなってきています。私たちは今、高齢のため廃園危機の農園を何カ所か借り受け、職員で栽培から収穫出荷までの取り組みも開始しています。消費者の皆さんからも元気をいただき、安心で安全でおいしいものをこれからもお届けしたいと思います。 

(永野隆文)

 

原木しいたけ栽培にこだわって
仲しい茸園(兵庫:原木生しいたけ・干しいたけ)

仲さんご夫妻

 私たちが住む兵庫県猪名川町は、南部地域は住宅地になりましたが、北部はまだ豊かな山々に囲まれています。そこで原木しいたけ栽培を始めてから先代より50年以上になります。以前は多くの方がしいたけ栽培をしていましたが、高齢化や担い手不足で少なくなり、また、中国産やおがくずから作る菌床栽培が多くなり、ますます減りました。
 今、しいたけ栽培に適した原木を用意することが大変になっています。20年前後のクヌギやコナラが適しているのですが、山にはスギやヒノキが多く植林されたり、手入れされていない山の木は50年も60年も経っていて、しいたけ原木には適さないのです。昔は山に入って木を切り、炭や風呂焚きや炊事用のシバやマキを作っていて、山が手入れされていました。それが里山と言われていたものです。今では山に入る人も少なくなりましたが、それでも良い木を求めてしいたけ栽培をしています。
 木は畑で菌は種です。畑になる原木が肥えていなければより多くの収穫はありません。そのためにも良い山を探しています。私たちが山に入ることにより、里山保全を担っていくものだと思い、頑張っています。また、最近の天候不順には振り回されます。暖かかったり寒かったり雨が降りすぎたりなかったり、その都度振り回されています。
 休みはいつあるの?と、言われますが、決まったものはありません。多く収穫できて全て出荷できた時が一番うれしいですね。出荷する所がなく販売することができずに、収穫したものが残ってしまうとやる気を無くしてしまうので、だんだん少なくなっている原木しいたけのおいしさをもっともっとPRしていきたいと思っています。   

(仲 守)

山里でくらす農漁村で暮らし

里山に生きる喜び

瀬尾さん夫妻
広島・東城愛農有機野菜の里 瀬尾 賜

 広島と長崎は唯一被爆都市として世界中から注目されている。あの日から70年が来ようとしている今も被爆による白血病の発症が止まらず、被爆者の不安は解消されていない。加えて福島の原発事故となると最早言葉を失う。人の命よりも経済を優先する政治家のなんと多いことか。重い課題を背負ったままの日本人の中の一人に過ぎないのだが・・・「山里に生きる喜び」についてその一端を述べさせていただきます。
 広島県の東北部に位置する東城町は岡山・鳥取・島根県に隣接する中国山脈の懐に村々が点在している典型的な山間僻地です。私が住んでいる所の標高は500mで、冬は零下8〜9度と冷え込み、雪も多い年には30〜40cm積もることもあります。今時こんな寒い不便な所によくも住んでいるものだと思う人も多いかも知れません。
 しかし冬の景色はまた格別で、どちらを見ても絵になるしカメラに納めたくなる。梅雨時期と夏を除けば4月から11月半ばまでは実に快適な季節と言えます。春は若葉、夏は濃い緑に包まれ、やがて見事な紅葉が居ながらにしてどこにいても楽しめる贅沢そのものの環境なのです。平野部に比べ昼と夜の温度差があり過ぎて健康維持が困難と思っている人もいますが、ある程度の健康体であれば何のその。おいしい野菜やお米作りに欠かせないのが日温格差。このような場所にはきれいな水と空気がふんだんにあるので、より質の高い農畜産物の生産が可能となります。それだけではありません。山の木々と語り、野の草とたわむれることができる環境は、子育てにも、また大人の健康寿命の延長にも最適な土地柄であり楽園なのだと思っています。
 先日(10月15〜16日)国の特別天然記念物となっているコウノトリが、我が家の田んぼに10羽も舞い降りて2日間も滞在してくれました。コウノトリは日本だけではなく世界各地で幸運を運んで来るという伝説があります。この田んぼは、30年近く続けている合鴨農法(完全無農薬)なので好物のどじょう・みみず・かえる・その他餌になる虫などがたくさん居るのだと思いますが、それにしても飼育されている兵庫県豊岡市から150q離れた東城町の我が家の田んぼに・・・なのか・・・?「歓喜雀躍」の極みです。


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