よつばつうしん
2013年3月号(NO.024)



イタリア生産者交流会に参加して

ぎゅっと詰まったイタリアの味

バルサミコ酢& オリーブオイル

キャヴァローリさん(左)と松嶋健さん(右)

 バルサミコ酢は甘酸っぱい風味が好きで、一時よく使っていたけれど、いつの間にか使わなくなってしまった。オリーブオイルは身近にありすぎて、じっくり味わっていない。そういえば、長年付き合いながら、どんなところで、どんな人が、どうやってつくっているかも実は知らないなあ…私にとってこのふたつの調味料はそんな謎めいたものでした。
 イタリア・モデナからお越しのバルサミコ酢生産者のロレンツィさんは、その製造方法や歴史をおはなししてくださいました。原料となる葡萄は有機栽培で自らの手で栽培していて、収穫も手摘みなのだそうです。バルサミコ酢の作り方には3通りほどあることや、11世紀からつくられている伝統的な醸造酢で、モデナとレッジョ・エミリア地区で造られたものだけがバルサミコ酢と呼ばれる、ということなどは初めて知りました。
 キャヴァローリさんは、イタリア中央部のピアネッラで、4代目というオリーブオイル生産者です。有機栽培で6種類のオリーブをつくっていて、畑には樹齢100年を超える木もあるそう。良いオリーブオイルってなんだろう?をテーマに、種類や作り方をおはなししてくださいました。
 オリーブオイルの種類は品質や酸度などで8つに分類されているけれど、人工的に調整できる数値もあり、大量生産やコスト削減のために実態はさまざま。本当に上等でおいしいものなのか、その見極めはこの8つの分類だけではわからないものなのですね。
 ロレンツィさんとキャヴァローリさんの丁寧なおはなしぶりと言葉を通して、バルサミコ酢とオリーブオイルが身近になりました。これからはもっとちゃんと味わわないと、と思いました。
 そして時間と経済効果を考えても本当に手間ひまをかけて造られているバルサミコ酢やオリーブオイルには、おいしさとともに、イタリアのそれぞれの地方で培われた食の文化と誇りがぎゅっと詰まっていることも伝わってきました。
 二人のおはなしのあとには試飲を兼ねた参加者交流会がありました。ロレンツィさんのつくったロレンツィ・ロゼで乾杯。パンやサラダでバルサミコ酢とオリーブオイルに舌鼓。コンディメント・バルサミコ・ビアンコという、白いバルサミコのフレッシュな風味にはまり、この日以来、我が家では日々食卓にのぼっています。
 初めてお会いする会員同士で『ライフ』誌のおいしいものの情報交換も楽しかったです。最後までおいしいものでいっぱいの1日になりました。どうもありがとうございました。

(川西会員・中野由貴)

 

手作りみそ教室(よつば農産主催)
これなら毎年挑戦できるかも


参加者の皆さん(上)と東川さん(下)、
1月26日、よつ葉ビルにて

 3才と7才の娘と3人で味噌づくり講習会に参加しました。味噌づくりは面倒というイメージがありましたが、一番時間のかかる大豆の準備をしていただいたのでとてもかんたんに感じられ、これなら毎年挑戦できるかも?という気持ちになれました。
 子どもたちは大豆をつぶしたり、お得意の泥だんごのように味噌をつくって大喜びの途中、塩切り麹をそのまま食べてみて顔をしかめたり、手に塩がいっぱいついて痒い痒いと大騒ぎしていましたが、その分とても印象深い味噌づくりになったと思います。
 私自身も以前自分で作った時に困った、カビがはえた時の対処法や甘めの味噌にするには麹を増やせば、など、聞きたかったことが全部聞けて、とても実のある講習会でした。そして何より、最後に頂いた塩おにぎりと味噌汁、甘酒のおいしかったこと。子どもともども、お味噌のできあがりを首を長くして楽しみにしています。

(大阪会員・東川敏美)


読書クラブ会員―わたしのオススメ

『市民皆農』
〜食と農のこれまで・これから〜
山下惣一・中島 正【著】
2012年7月 創森社 B6 276ページ 1,680円(税込)
『ライフ』120号でご注文ください(注文番号63517)
評者:T.Y(阪神会員)
オススメ本の推薦&書評執筆者随時募集中!

 この書は「農民の幸せとは何か?」を追い求めてきた、老農百姓ジサマお二人の往復書簡です。お二人の実践から生まれた手作りの完熟堆肥とも言うべき理論「農魂」を、これからの時代に自立した農民を目指す人たちのために役立てて欲しいと始められたそうです。
 私は、農業といえども小さな農地にそれぞれが縛られるのではなく、会社のようにそこに農場があり小作のように働ければ年中休みも無い百姓暮らしよりいいし就農もし易いのではと思っていたのですが、どうもそれでは作る楽しみや生きがいは育たないようです。山下惣一さんは九州北部で実家の農業を継がれ百姓歴60年、今年76歳になられます。百姓になるくだりが壮絶で、軍隊帰りのお父さんのスパルタ教育、「百姓の子に学問はさせるな」という風潮、高校(農業高校)進学が許されず二度の家出を決行。その時に見た都会の風景と農村での暮らしのギャップに、ここから逃げるのではなく村での暮らしを変えていかなければと、百姓として生きる覚悟を決められます。一方、中島正さんは岐阜県飛騨地方の山村で小農を営まれ、「自然卵養鶏」の教祖としても知られる方で92歳の今も現役、筋金入りのお百姓さんです。
 少年時代の中島さんは、一本の苗を植えるでなく、一滴の汗を流すでもなく、米が転がり込んでくる地主とは一体何ぞや?と疑問を持ちます。以後彼は常に「搾る側」と「搾られる側」とに分け、決して「搾る側」に付くことなく、自然に依存する以外は何ものにも依存しない「縄文百姓」の自給農を貫いてこられた方です。「自分の食い扶持は自分で賄う」。これは文字通り皆が小農、自給農となり、自分の生命を守る食べ物は自分で育てよという意味です。そして現実に「TPP」や「原発問題」、現代の失業率など、どれをとっても農業回帰の時代になると予測されています。百姓志願の方必読の一冊です。