よつばつうしん
2012年12月号(NO.021)


札幌中―・橋本 稔
自分たちの望む世界を語ろう

 札幌の地で、1987年位から水産物の加工、卸を仕事としています。
 私が生まれたのは1951年、北海道の三笠という炭鉱地です。当時は、まだ石炭がエネルギーの主役で、子どもの時はそれなりの活況をみせていました。日常的にガス爆発や炭塵爆発、岩盤事故、簡易エレベーターのラインが切れた落下事故などが発生するためか、家賃、電気、水道、風呂代、石炭代は無料、給与水準は当時としては高かったような気がします。
 炭鉱は財閥系が多く、私の所は住友石炭でした。組織的には職員といわれる管理者、鉱員と呼ばれる一般労働者、人夫と呼ばれる下請け企業に組織される労働者に大別され、そのヒエラルキーは歴然でした。労使対立は激しく、昔炭労、今国労とか自治労と呼ばれるほどで、私もメーデーなどに、三井三池闘争(1959年)に連帯する形で、母親と労働歌を歌いながらデモをした記憶があります。そうした時代背景の中で、戦後最大のコピーと呼ばれる「所得倍増」を唱えた池田内閣(1961〜64年)、原油の輸入自由化(1962年)、東京オリンピック(1964年)、さらには農業基本法が制定されたのが1961年で、それらにより炭鉱労働者を含む一次産業労働人口の二次産業への移行が進み、日本の資本主義の成長期が1960年代初頭から始まったというのは大方の一致する見解かと思います。
 1960年には、あの日米安保条約改定がありました。それが全てのスタートの合図だったのではと思っています。しかし、その中でも1963年に東海村で原子力発電が開始されたことには驚いてしまいました。石炭から石油へ移行するだけでエネルギー革命と呼ばれたなら、それと同時進行で進んだ原子力発電は、火力発電が始まりつつある中では当然発電以外の目的だったという方が妥当かと思われます。
 1982年中曽根内閣が発足しました。私個人としては新自由主義の萌芽はこの時くらいからと思っています。都市生活者の拡大とともに三次産業への人口移入が始まり、そこからバブル期を頂点として三次産業の労働者を中心に中流意識という訳の分からない意識付けが生じ、労働運動の右傾化が始まり、1989年、総評は解体され連合に合流していく。それは労働者の市民化で、自らの日常生活がずっと平和なままだと信じていたと思います。しかし、市場経済を純化させれば当然、拝金主義、格差拡大、一部の金銭的勝利者、将来への絶望、政治の無力化、未婚非婚の増加、少子高齢化、等が生じます。展望の見えない状況では、強きリーダーを求める者と、ユートピア的思想が生まれるといわれますが、それでも、事ここに至っては自分たちの望む世界を声高に語り合い、できることから創っていく、具体的には身近な町会議員、市会議員や国会議員に市民として、原発、TPP、格差社会の話を主張していく、さらには反原発の真意があるなら、電力会社にその旨を消費する立場で主張していくことを提案します。それらのことがより善き未来社会を作ることに役立つかも知れないし、沈黙の共犯者になることを拒否することだと思います。それが、現代社会に生きる人としての責務と信じています。


祝島たより
上関原発建設予定地島民から―(最終回)
びわの葉が豊作です
祝島島民の会・山戸 孝

びわ茶とびわの葉

 秋の日はつるべ落としとは言いますが、この時期は山でうっかり遅くまで仕事をしていると一気に日が落ち冷え込んできます。その山仕事帰りの冷えた体で温かいびわ茶を飲んで一息つくと、本当にホッとします。
 そのびわ茶の原材料のびわの葉、今年は豊作です。びわの木は毎年9月から11月にかけて剪定しますが、祝島のびわ茶はその際に出る葉を主に使っています。そのためこの時期はびわ茶作りのほうも大忙しです。昨年はびわの葉が少なかったためびわ茶の生産量も例年より少なく、また注文もここ数年でかなり増えたため、早い時期に品切れになってしまいました。今年はありがたいことに、びわ茶の作業場ではびわ農家が持ってくるびわの葉が連日山のようになっていて、例年以上にたくさんのびわ茶が作れそうです。
 もともと祝島のびわ茶は、原発問題が起きたころに島の女性たちが原発のお金に頼らないための島づくりの一つとして特産品づくりに取り組む中で生まれました。できるだけおいしく、できるだけ安全なものをと試行錯誤の末にできたこのびわ茶は、今ではびわの実に次いでびわ農家の収入を支える大事な柱の一つに成長しています。また製品の説明書きの中に原発反対運動のことを書いているせいで、過去には取り扱いを断られたこともあったと聞いています。そんなときでも「私たちの思いを汲んでくれないところとは、無理に付き合わなくてもいい」と、島の暮らしと反対運動を切り離さずにきちんとつなげ続けてきた島の人たちの姿勢には頭が下がるばかりです。
 さて、この1年半、島の暮らしや上関原発問題について書かせていただきましたが、祝島のことを少しでも身近に感じるようになっていただけたなら幸いです。そして機会があれば、ぜひ島を実際に訪れていただきたいと思います。文字や映像、ネット上での情報だけでは伝えきれないものはたくさんありますし、逆に私たち島の側が島を訪れた皆様から学ばせていただくことも多いと思います。私もこの連載を続ける中で学ばせていただきました。本当にありがとうございました。


編集委員からの一言

 今年も一年、ご愛読ありがとうございました。という挨拶をして、この一年を振り返ってみようかという頃になって解散・総選挙が決まりました。いつもの年以上にあわただしい年末になりそうです。
 とはいえ、このところの政治動向を見ているとさっぱり投票に行く気がおこりません。09年の「政権交代」以降、よりはっきり見えてきたのは、結局政治を動かしているのは、官僚と財界と米国じゃないかということでした。もともと選挙を通じて国政に民意が反映され るなどと、教科書みたいなことを信じていませんし、権力に近づくことしか眼中にない政治屋が合従連衡の末に、主要な政策の違いすらよくわからない政党が乱立したまま突入する選挙戦に付き合う気になれません。
 選挙期間中の12月8日はジョン・レノンの命日です。16日の投票日には、彼が「イマジン」で歌っているように国家がなくなることを想像しながら昼寝でもしています。目の前で繰り広げられる政治的な茶番劇への抗議の在宅闘争のつもりです。

(編集部・下村俊彦)

 

INFORMATION

12月〜1月
●年末年始スケジュール
年末特別配達は12/29(土)から、
2013年通常配達は1/7(月)スタートです。


12/1(土)〜28(金)
●映画『ポーランド映画祭2012』
戦後ポーランド映画の傑作群一挙上映!
問い合わせ:シネ・ヌーヴォ(06-6582-1416)

12/8(土) 11:00〜16:00
●2012もんじゅを廃炉へ! 全国集会
場所:敦賀市白木海岸・きらめき港館
問い合わせ:0776-25-7784

12/9(日) 14:00〜16:00
●第176回住まいの勉強室
 『電磁波を除去するリフォームの仕方』
場所:いのうえキッチン(高槻市)
問い合わせ:072-671-2284(井上)