よつばつうしん
2012年12月号(NO.021)

丹波有機農業祭を開催
山名酒造

 当蔵のある丹波市は、もともと有機農業の先進地として全国に知られてきた。そのため、都市部から有機農家になることを目指して移住する人が多い。
 一昨年やってきた男は、有機小麦を栽培しながら反原発運動に取り組む。大飯再稼働の折は、自らの小麦でピザを焼き、バリケードを張る運動家たちに差し入れに通った。
 二人の幼な子を持つシングルマザーがいる。彼女は今年から初めて稲作に挑戦し収穫を果たした。有機栽培ゆえ収量が少なく、採算は合わない様子だが、その味わいは深く今後への期待が膨らむ。そして彼女の作るハーブ石鹸は肌に気持ちがよく、私の愛用品だ。
 辛いこともあった。マクロビオティックを実践する一家の主人が、稲刈りの際 コンバインに手を巻き込まれ、指を飛ばしてしまった。なのに本人は以前より落ち着いて農作業ができるようになったと悠然としたもの。
 トラックの運転手とオフィスガールだった夫婦が、近所で有機ブルーベリー農場を始めて数年になる。今では摘み取り園として大人気。夏は猫の手も借りたいほどの忙しさだ。
 こんな多彩な仲間たちと、先日二日間にわたって有機農業祭を開催した。晴れ渡った秋空の下、各地から同じ志向の生産者やマルシェ、アーティストたちが集まって、会場にはゆるやかで有意義な時間が流れていった。3・11以降、自分たちの生きている空間と時間をもっと慈しみたいという人々のネットワークが、こんな片田舎にも広がっています。

(十一代目蔵元・山名純吾)

改めて 手作り紅茶 を
フリースペース・うぇるびー


袋は今までのものを使います。連絡先等の変更の
シールを貼っています。


袋に100g入れています。


熱で封印する作業

 いつも紅茶をご愛飲いただきありがとうございます。今回取り扱う団体が「無農薬茶の会」から変わりましたので、改めて手作り紅茶のご紹介をします。責任者は以前と変わりなく津田恵子が担当します。

1.新団体「NPO法人フリースペース・うぇるびー」の紹介。
障がいがあってもなかっても普通に暮らせる社会を作るための支援を目的に2004年にNPOを設立しました。自立支援法に基づくサービス、地域支援事業による外出支援、児童福祉法に基づく放課後等デイサービスを提供しています。今後、就労支援B型事業所を開設しようと計画中です。そんなわけで「無農薬茶の会」から紅茶の製造販売を移してもらいました。支援学校の高等部を卒業した子どもたちがお仕事のひとつとして袋詰め作業を担っていければと考えています。

2.今後の計画で、就労支援B型事業所では農業も重要な仕事と位置づけていきます。いずれは紅茶の原料であるお茶の栽培のお手伝いや、紅茶製造にも参加できるよう訓練していきたいと思います。

3.紅茶の味については、お茶に限らず農作物のできばえは地力と気候によると思います。それに加えて生産者の36年間の技術力は私たちの自慢です。私たちの紅茶は一度飲んでいただいたら、その深い香を満喫していただけると思います。朝、優雅にミルクティーを飲んで一日をスタートしてください。  (津田恵子)

同じ目線で「食」を見つめて…
はるこま屋

 2011年3月11日。この国に住む者にとって、忘れられない、忘れてはいけない日になりました。私どもが住む栃木県でも激しく揺れ、工場近くの里山が山津波を起こし、私自身、危うく生き埋めになりそうになりました。地震、津波、原発事故。天災と人災が入り混じり、この国の価値観を大きく揺るがしました。無責任な報道が垂れ流され、根拠のない流言が世間を飛び交っています。
 昨年の稲刈りの光景が忘れられません。収穫の喜びはどこにも無く、どんよりとした重苦しい空気が田んぼを支配していました。農村に生まれ育った者として、この年の作物を否定することはできませんでした。これ以上、農家を傷つけることはしたくなかったし、できなかったのです。幸い、 深刻な事態は免れたようですが、人々の心の中に降り注いだ不安は、簡単には振り払えないようです。
 私どもは味噌の醸造業を営んでおります。良質な原材料、それを生かす技術、そしてうまさを育てるための充分な時間。そのいずれが欠けても私どもが求める味噌にはたどりつけません。そして、原料に優る技術はないのだと、この頃思います。それだけに良質な原材料を作れる環境を守り、育てることも私どもの役割のひとつだと考えております。
 その危険性は生れたときから指摘されていたにもかかわらず、結果的に、目に見えない邪悪で鋭利な棘が私たちの大地と心に降り注ぐことを許してしまいました。悔しくてなりません。一方で、多くの生産者が、特に高い志をもってまじめに「農」や「食」に取り組んできた生産者の方々が、「風評被害」に苦しめられています。こんな理不尽なことがあるでしょうか。
 生産から情報、流通、消費…そこにかかわるすべての方々が、同じ目線で「食」を見つめていけたらと願っています。

(五月女清以智)