よつばつうしん
2011年10月号(NO.007)

 その4

草取りを手伝う近所の中学生
藤井牧人
草取りをしながら考える

 バダゥ月(5番目の月)。タライ平原は今、田んぼの草取りの季節です。水田へ足を運べば、中腰の人、かがんでいる人で水田がにぎやかです。家族総出で草取りに励む田んぼ。数十人雇って、草取りを終わらせる田んぼ。1人黙々と除草剤を散布する田んぼ。それぞれの事情に応じて、草取り作業は様々です。私たち自身も2週間、草取りが続きました。
 草取りをしていると、「どんな品種を植えたのか?」「除草剤は使ったか?」「水回りはどうか?」とあれこれ、周辺の田んぼの人がやって来ては、互いに質問し情報を交換し合います。何気ない会話の中から、そこの地域に適した、米作りが伝えられていくようです。
 また、ひたすら草をむしる相方の母(70歳)が田んぼの中で嬉しそうに言いました。「これ、タニシは食うか?」「このカニ、食うたことあるか?」。聞いて来ては、そのままポケットに入れて持帰ります。 
 そして相方が「ここの田んぼ、稲より草の方が立派!」と昨年と同じことを言い出した頃。「もう来年からは、薬(除草剤)撒けばエエ」と相方の母が言います。草の勢いに手が回らず、最後は隣近所の中高生に手伝いに来てもらいました。草取りが終わる頃、相方が「きっと後ろを振り返ったら、前より勢いよく草がまた伸びて来ているのよ」と冗談を言います。昨年も同じことを聞いたような気がする…。
 ネパールはここ数年、大国からあらゆるモノ・考え方が押しよせるようになりました。時期を同じくして、農薬を散布する風景も多く見かけるようになって来たらしい。これまで皆で草取りしていたのが、個人で草取りができる時代に変化しつつあるようです。変化しつつあるのは草取りだけではありません。道、農業、暮らしそのもの。一見、ほとんど変化がないように見える農村も、ここ数十年の間に大きく変わろうとしています。
 これからどこへ向かうのか? 日々の暮らしの中で考えたい。…一息して、2回目の田んぼの草取りが始まります。


上関原発建設予定地島民から―
上関原発計画中止要求署名 経済産業省に提出
祝島島民の会・山戸 孝

 8月1日、上関原発計画の中止を求める署名の経済産業省への最終提出がありました。署名の総数は100万9527筆となり、100万筆を超えることができたのは本当に一筆一筆の積み重ねでした。
 この署名はこれまでに2回、09年10月と10年5月に提出してきましたが、どちらも対応したのは経産省の課長補佐クラスでした。提出しているまさにそのときにも建設予定地などの海上で地元住民と中国電力が対峙し続ける中で、その状況を訴えても責任のある回答はまったくなく、地元住民の思いや長年にわたる苦しみを汲み取ることのないその姿勢に悔しい思いをしてきました。しかし今回対応したのは、大臣、副大臣に次ぐ立場の政務官でした。福島原発事故の影響も大きいと思いますが、100万を超える多くの方々の声が後押しをしていただいたことは間違いありません。
 署名を提出した祝島島民や地元山口県から来た住民に政務官は、山口県議会からも原発建設に対して厳しい意見が出されていることは認識していることをまず発言しました。そして祝島で私たちが進めようとしている「自然エネルギー100%プロジェクト」のことも念頭に置いてなのか、分散型電源を地域に積極的に導入していくべきだという考えを何度も口にしました。上関原発計画そのものに対してはなかなか言及しようとしませんでしたが、これまでの対応からの変化などから、原発の新規立地は難しいという国の姿勢が透けて見えてきたような気がしました。この署名提出から1カ月もたたないうちに新しい内閣になりましたが、楽観はできないものの、その姿勢は変わらないように思えます。
 上関原発計画が本当に止まる可能性が見えてきたからこそ、計画中止のその先にある、原発に頼らない地域の自立を目指した取り組みをより進めていかなければなりません。8月は特に来島者が多い月でしたが、地域づくりや自然エネルギーに関連する経験を持つ人も多く来られました。これからの祝島や上関町のためにも、そういった人と人とのつながりをより一層大事にしていきたいと思います。


編集委員からの一言

 10月23日(日)神戸で行なう秋のよつ葉交流会の準備に追われています。昨春の交流会にも実行委員として関わっているので、その経験を活かしサクサクと準備を進めていけるハズなのですが、そうはいかない。私だけなのでしょうが、いろいろ抜けている。今になって…、相手に伝えたつもりが伝わっていない…。それでも、何とか前に進められているのは周りのサポートがあるからこそ。頼りない人の周りはしっかりしてくるのかなと思いつつ、たくさんの人たちと一緒に物事を進めていくことの難しさと楽しさを感じています。
 3月11日以降、私たちの暮らし方や食べもののことが今まで以上に問い直されています。今回の交流会では、様々な講演会・シンポジウム・学習会を予定していて、会員の皆さんと一緒になって考えていければと思います。
 何より全国各地から集まる生産者たちは、それぞれ個性的です。熱く濃い人も、サラリと涼しげな人も、よつ葉のスタッフだけと会っているのはもったいない。直接出会ってお話しし、お互い元気になる絶好の機会(それも美味しい食べものを挟みながら)です。会員の皆さんもぜひ参加され、一緒に楽しい交流会にしていきましょう。(よつば農産 深谷真己)