被災生産者も迎え「水産懇談会」を開催
一次の生産を軸に社会の転換を

被災した漁船 |
4月2日、各地の漁業関係者が集い、漁業の現状と課題について話し合った。
大災害が発生し、非常時下での懇談となりました。議論は災害のこと、原発の最悪の事故と今後当面予想される様々な出来事を考えながらの懇談となりました。
この災害によって、三陸沿岸部の漁業が壊滅的な打撃を受けました。集いには、いのちだけは助かった石巻にあるパプアニューギニア海産の武藤さん、家もナントカ無事であったが港の損壊、漁船の大半が破壊されて漁業環境が失われている宮古の丸友しまかの島香さん夫妻も参加。二人からは、被災地の言葉で言い尽くせぬ状況を語ってもらいながら、再建への強い決意をもらいました。
参加者一同も彼らの再建に支援を惜しまないことを確認しあいました。
最初に議論になったのは、残念ながら、原発事故のことでした。漁業・水産物への影響は今後厳しいものが予想されます。放射能汚染は人々の努力を台無しにし、根こそぎダメージを与えてしまう類の災害です。
私たちの周りにはすばらしい食の生産環境がありました。それを壊し続けてきたのが近年の工業社会の歩み。原発はその最も象徴的な人工物です。危険極まりないものを「目先の便利さ」のために容認してきた付けが回ってきたというべきです。
これ以上の汚染拡大を防いでほしいと願いますが、すでに放出された大量の放射性物質がなくなるわけでもありません。広島・長崎の原爆にはじまり、度重なる核実験、夥しい原発建設と繰り返される原発事故、それらのすべてで放出された放射性物質は積もり積もり次の世代へ引き渡さていくことになります。次の世代は私たち以上の災難を最初から背負わされることになります。
より良い食のあり方を求めて、自身の生き方として生産に励んでいる人々がいます。私たちはそんな人たちと一緒になって活動を作ってきました。水産物も各地の漁業者と連携して事業を進めてきました。今後もそのことは変わりません。そんな思いを込めてつくられたものは、出荷可能な限り私たちは当然食べますし、扱っていきたいと思います。今後、出荷不能を強いられる生産者が出てくる可能性もあります。その時には、新たな形での支援を考えておく必要性があります。
産地の人々と痛みを分かち合うことが出来なければ、私たちの仕事自体が社会的な意味を失うことになります。
原発事故は明白な人災
原発が必要な「経済の成長」など望みません。豊かな恵まれた食の生産環境、海や畑、川、山をもうこれ以上壊すのを止めようと言いたいです。原発事故は明白な人災です。
一次の生産が元気にならなければ良い食のあり方など生まれるはずがありません。この大災害からの「復興」が農業・漁業など一次の産業が再び活力を取り戻す、社会の歩みを転換する、はじめの一歩となることを願うとともに、その方向に私たちは今まで以上に努力していきます。(編集部・鈴木伸明) |