WTOカンクン閣僚会議に抗議! よつ葉訪問団報告
地域の農業は地域のもの

2003年9月

 関西よつ葉連絡会は、一二名の「キューバ(ハバナ)・メキシコ(カンクン)訪問団」を結成し、九月八日から一七日までの一〇日間、「有機農業の視察」と「WTO(世界貿易機関)閣僚会議への抗議」の活動を行いました。キューバ有機農業視察は参加者全員が「キューバ好き」になるほど楽しく有意義なものでしたが、今号ではWTO閣僚会議への現地抗議行動にしぼって報告します。

 キューバでの中身がいっぱいのスケジュールを終えてカンクン(メキシコ)のホテル(ピラミデスカンクン)に着いたのは一二日の夜七時を過ぎていました。
私達がカンクン入りする二日前からWTO閣僚会議は開かれていて、これに抗議をする世界各国から集まった農業団体や個人(市民)・NPOなどの人達が既にデモなどの抗議行動を展開していました。東京や北海道など、日本からも八日から抗議活動をするためにカンクン入りしていた人達もいました。
その中の一部と出発前に連絡をとり合っていたのですが現地ではなかなかうまく連絡がつきません。結局その夜遅く、日本政府(外務省・農水省・経産省)の役人がセントロ(カンクンのダウンタウン)で行った日本人NPO向けのWTO閣僚会議の説明会に参加して、その会議で出会うことが出来て打ち合わせを済ませました。とにかく翌朝九時からセントロで行われる集会とデモに参加することになりました。
 カンクンは新しく開発されたカリブ海に面したメキシコ随一のリゾート地です。細長い島のような地形でその中央を広い道路が貫き、その両側に近代的なホテルがカリブの砂浜に沿ってズラリと立ち並んでいます。その先端で陸地とつながったところにセントロがあります。本来ならホテルから車で約一五分位のところなのですが、先端にある閣僚会議の会場に通じる道路が封鎖されているために一時間余りかかるのです。
また私達がカンクンに到着した時も空港からホテルゾーンに向かう途中、検問のため何度もバスを止められました。ガイドさんの説明によると、何でも前日の集会とデモで、韓国の農民団体の一人が抗議のために自殺するという事件が起きるなどで、警備体制が強化されているとのこと。

関西よつ葉連絡会ここにあり

 翌朝(一三日)は七時半過ぎにホテルを出て、バス(乗り合い)に乗り込みました。予想していた通りバスは途中で何度も検問で止められ車内に乗り込んできた警察官に現地(メキシコ)の人には身分証明を、そして私達外国人にはパスポートの提示を求めます。実に気分の悪い思いをしながら約一時間余りでセントロに到着。そこから私達は集会の行われる公園に歩いて向かいました。
集会は何ヶ所かの公園で行われているようで私達が参加した会場は、女性団体が主に集まっているとのこと。さっそく私達は用意してきた横断幕「地域の農業は地域のもの!くたばれWTO!=英文でも表示する=」を掲げて参加者に訴えました。
 そしてまた、会場の参加者や報道陣に、関西よつ葉連絡会の「声明文(英文)」も配り国際的な(?)アピールを行いました。北海道から参加した農民団体(農民連盟)の人達も「日本の農業(米)を守れ!」の幕や、むしろ旗も押し立てていました。また、日本消費者連盟の旗もありました。しばらくして始まったデモ行進は一万人近くに膨れ上がり、セントロの中央通りに溢れました。
シュプレヒコールや歌、また太鼓あり踊りありと各国各様の行進で盛り上がること約一時間。最後の解散地点の公園(緑地)や道路に残っていた若者達を中心とする元気な参加者は、約二〇〇m先の道路の封鎖地点までさらに行進。フェンスを隔てて阻止線を張っていた機動隊と対峙。先頭の集団は前日の弔い合戦とばかりに韓国の若い農民達が中心。その最前列で指揮をとっていたのが何故かメキシコ(?)の女性。りりしくてなかなかカッコがよかった。フェンスを引き倒すなど一時騒然としたが、最後はこの女性が全員をその場に座り込ませて事無きを得ました。

身をもって知る国際連帯の力

 翌朝(一四日)は亡くなった韓国農民の葬式がセントロの同じ場所(昨日のデモの解散地点)で一一時からありましたのでそれに参列しました。各国の団体や個人が数百人参加していましたが私達も弔意を表すために皆で黙祷をささげました。
 一日目の集会とデモを終えての帰りのバスでハプニングが起きました。ホテルに帰る途中、検問でバスが止められたのですが、今回は何故か警官の態度が悪く(厳しく)乗客全員に身分証明書やパスポートを示させたうえ全員バスから降りろという。そのうちに前に座っていたメキシコ人の初老の婦人が大声で抗議を始め「何故あなた達にそんな権利があるのか、人権侵害だ」と言いながら運転座席のハンドルにしがみついて動かない。バスを降りる者もいましたが、私達も他の人達と一緒に抗議をしました。ところがそうこうしているうちに私達の一人が持っていた横断幕を警官に見つけられて取り上げられたので、私達の一人が素早く奪い返しました。それやこれやでまた警官ともめだしてバス中抗議の声。結局国際的(?)に団結した抗議の声に警官達は折れてバスは出発。私達がホテルのバス停で降りる時には皆握手をし合って喜びました。途中で降ろされることもなく、旗も無事でした。
 二日目の葬式が終わってホテルに帰ってからは、せっかくカンクンに来たのだからとホテルの裏に広がるカリブ海の砂浜に出てシッカリと泳ぐことも皆忘れませんでした。
今回は全員が大した病気やケガもなく帰国でき、閣僚会議もグローバル化の中で苦しむ農民の声を背景にした途上国政府の頑張りで無事(?)決裂し、ホッとしています。

(連絡会事務局長・中川健二)