関西の水を知る 水に学ぶ

讃岐田訓(神戸大学)

■第8回:阪神優勝間違いなし 心配なのは・・・・・

 苦節十八年! 阪神タイガースがいま、優勝に向かってばく進しています。ぼくは、これまで半世紀、もの心ついたときから、熱烈な阪神ファンであります。
 1985年、21年ぶりの優勝をめでたく決めた夜、ぼくは帰宅途中の梅田の歩道橋上で、いっぱいの人々の中に混じって、スクラムを組み、六甲おろしを歌いつづけました。
 ちょうどそのころ、何百人もの熱狂的ファンが、道頓堀の橋の上から、つぎつぎと飛び込んでいたのです。

川底ざらえの済んだ道頓堀川ですが

 今年の阪神タイガース、優勝は間違いないでしょう。とすると、心配なのは道頓堀川の汚さです。太田房江・大阪府知事も早ばやと優勝を確信して、この川の大掃除を大阪市と共同で行うことを提案し、大阪市都市環境局はこのたび、川底ざらえを行いました。テレビの映像では、川底はぞっとするほど汚いものでした。自転車など、いろんなものが、真っ黒のヘドロにまみれて上がってきました。
 なぜ、この川の川底はこれほど汚れてしまうのでしょうか。

雨天時が問題合流式の下水道

 道頓堀川の水はほとんどが寝屋川から東横堀川を経て流れてきます。そして、木津川か尻無川を通って大阪港に流れ出ます。水質をみると、晴天時ではそれほど悪くなく、有機物汚染の指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)は、ここ20年ぐらい、3ppm程度で推移し、環境水質基準の5ppmを充分クリアーしています。
 じつは、雨天時が問題なんです。たかだか一時間に2〜3ミリ程度の降雨(小雨)で、水質が急激に悪化します。ひどい場合、晴天時の100倍ぐらい悪化します。
 大阪市の下水道は97%が合流式です。つまり、し尿などの汚水と、雨水がともに下水管に入ります。ちなみに、神戸市のように、汚水と雨水を別々に流すシステムを分流式といいます。
 合流式では、晴天のときは、下水処理場で充分に受け入れ可能なんですが、降雨時には、雨水も大量に流入し、処理場からあふれ出てしまうのです。そこで、大阪市は下水管の途中に、過剰分の吐き出し口(放流口)を設けて、し尿と雨水の混合物を未処理のまま、多数の市内河川に放流しているのです。大阪市都市環境局によると、道頓堀川と、その上流の東横堀川には、なんと市全体のほぼ4分の1、28ヶ所もの放流口が集中しており、年に70回前後も放流しているそうです。

飛び込むなら覚悟して

 国や自治体は、昨年のサッカーワールドカップや、今年三月の「第三回世界水フォーラム」の関西での開催があり、大阪の象徴、道頓堀川の河川敷に遊歩道建設などをすすめて来ました。しかし、目に見えない水面下の汚染対策はこれからなんです。
 トラキチ諸君! 覚悟して飛び込みたまえ。そして、せめて移動式の簡易シャワーを設置してもらおう。それに、ご近所の銭湯のご主人! 拒まずに、入れてやってください。そしてぼくは、せめて阪神優勝の当日と前日だけでも、雨が降らないよう祈念して、てるてる坊主をつるすことにします。

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