関西の水を知る 水に学ぶ

讃岐田訓(神戸大学)

■第5回 朝一番の水道水は飲まないで!

 このキャッチコピー、水道局の広報で見た人ありますか。ほとんどの人はないと思います。このよびかけ、じつは市民が鉛中毒にかかるのを避けるための、きわめて重要な警告なんです。ところが、ほとんどの自治体は、市民がパニックになることを恐れて、ほんとのところを広報していないのが実情です。
 鉛は体内で蓄積されますと、おもに神経系が冒されます。慢性中毒です。自律神経系が障害をうけると、激しい腹痛をひき起こすことがあり、鉛せん痛とよばれています。強度の便秘になることもあります。運動神経がやられると、しびれなどがはじまり、手足の筋肉が激しく痛むようになり、ついには無筋力症にいたります。中枢神経を冒されますと、初期には頭痛、めまい、不眠が起こり、重症になると、こころが錯乱状態におちいったり、てんかん様発作から昏睡にいたるといわれています。胎児や乳幼児の場合、知能障害をひき起こすことが知られています。
 朝一番の水は鉛濃度が高い場合があるのです。水道本管から住宅への引き込み管に鉛管が以前から使われてきました。ここから溶け出してきます。水道水はわずかに酸性ですので、金属を溶かします。たとえば、前夜の11時に蛇口を閉め、翌朝6時に蛇口を開いたとすると、延々と7時間にわたって、鉛管から鉛を溶かし出していることになります。朝一番の水は鉛のコンクジュースのようになっているわけです。

まだ使われている鉛の引き込み管

 WHO(世界保健機構)はこどもの安全性を基準に考え、飲料水の水質指針を0.01mg/L以下と定めています。わが国では、10年前の1993年12月までは非常に甘い基準で、0.1mg/L以下でしたが、そのとき以後、0.05mg/Lに強化し、今年度の4月からはWHOと同じ0.01mg/L以下としました。
 旧厚生省は鉛対策として、10ヶ年計画をたて、各家庭での鉛管とりかえ費用に対して、低金利融資をおこなってきましたが、なにしろ数十万円もかかる工事が普通なので、とりかえは遅々として進みませんでした。
 1999年現在、まだ鉛管を使用している家庭は852万世帯もあります。そして、これらの家庭の一部を対象にして、朝一番の水の鉛濃度をはかったところ、今年度からの水質基準、0.01mg/Lを越えていたところが38%もあり、基準の10倍を越えたものが3%もあったそうです。
 みなさん、まずは自分ところの引き込み管の材質を水道局に問い合わせましょう。そして、さしあたっては、朝一番の水は飲まないようにしましょう。

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