ひこばえ通信
2011年2月号(第295号)

くらしからの政治
哘清悦((有)みちのく農産)
新幹線開業に喜ぶ青森県民と県外就職する高校生

 青森県で今最も明るい話題は、県民の悲願である新幹線が県都青森市まで延び、昨年12月4日に開業したことである。県内では新幹線の開業効果を産業振興・景気回復に繋げる取り組みが各地で進められている。正月に帰省した人や駅まで送迎した人の多くはその便利さを実感したと思う。
 しかし、地元に就職し地元で暮らすことを願いながら、それが叶わずやむなく県外に就職する高校生のことを考えると喜んでばかりもいられない。彼らの多くはいずれその地で結婚相手を見つけその地で暮らす。その地で消費しその地で納税する。生れた子どもはその地の学校に入学する。青森県の消費と経済力が落ち、人口が減り子どもも減るのは当然だ。
 定住者一人の県外流出による経済的損失は、観光客80〜90人に相当するという記事を新聞で見つけた。この論理と試算結果から、県・市町村が最優先で予算を確保し取り組まなければならない施策が自ずと見えてくるはずだ。青森県は、有効求人倍率・平均所得等の経済指標が、ほぼ全国最下位にあるが、その根本的な原因は、県民の意識(自助努力の欠如・他力本願の姿勢)にあると思う。むつ小川原開発の頓挫・六ヶ所再処理工場の誘致など、その積み重ねによる結果だと思う。国や財界に依存せず、自らの地域の資源を見つめ直し、それらの付加価値を高めるための開発に力を入れてきておれば、自分たち(青森県)の子どもの雇用を自分たちで作り出すだけの実力を備えておけたと思う。失った年月は大きいが、今からでも県民が県・市町村と一丸となり、若年者の雇用創出に取り組むことが大事だと思う。
 そういう私も野辺地駅から家族に見送られ県外就職した経験者だが、「自分の仕事は自分で作る」と決心し、24歳で会社を辞め帰郷した。その後結婚相手にも恵まれ、両親は孫の成長を見ながら楽しく生活している。ささやかな親孝行と観光客100人分相当の地域貢献ができていると思う。私の家から車で5分の距離にある七戸十和田駅は、観光客を迎えるための駅であって、県外就職する高校生を家族で見送るための駅にはしたくないと思っている。