ひこばえ通信
2011年1月号(第294号)

野良仕事のひとりごと
安いのにも訳がある

出羽の里・東風会 庄司小右衛門

 TPPやらFTA・WTO等と並べられると、どこの放送局?って聞きたくなるような羅列ですが、エビ様の事件と相まって何の事やらこんがらがってしまいます。
 事の発端は、高速無料化や八ッ場ダムで、颯爽と出てきた割には何も決められずグジャグジャにした前科のある前原大臣が「生産高が1.5%しかない農業のために98.5%が…」という発言からで、米価運動なんてとうに忘れていた農業団体が押っ取り刀で出てくる始末。またも混乱の張本人となったわけです。
 小泉前首相をまねて今度は農業を抵抗勢力に仕立て上げ、多国間の包括的貿易交渉を農業対工業の国内問題に矮小化したのです。前回みたいに問題の解決もなく、責任も取らず、騒ぎだけ起してドロンではエビ様より役者が上ですね。さて、米に関しては米価は下がり、肥料等生産費は上がるという逆境にあります。そこで注目されているのが低コスト農法です。農水省傘下の農研機構が進めている「家畜し尿の直接散布」が徐々に普及しています。これは牛舎や豚舎から直接し尿を汲んでバキュームカー等で圃場に運び田畑に散布する農法です。畜産業者にとっては排泄物の無害化に係る処理費用が要らず、農家にとってはタダで肥料分が手に入るウイン・ウインの農法です。
 農研機構は、し尿を「液肥」と規定しています。が、私は畜産廃棄物と考えます。安い方が良いと承知の上。なら何も問題はありませんが、知らずに食べた場合価格の恩恵は受けますが、気分の問題はセラピストしか相手にしてくれないでしょうね。似て非なる物に「堆肥」があります。有機農家が使う堆肥は醗酵した物を使います。醗酵熱で寄生虫を殺し、アンモニア等の有害ガスを揮発させ、植物が利用しやすい形に時間と労力をつぎ込んで作り替えします。
 堆肥作りに掛かった経費は生産費に上乗せになるので販売価格が上がります。高いのには理由がありますが、安い物にも液肥という名の畜産廃棄物を使う等の理由がある訳です。「低コスト化」は一人歩きをして、皆さんが期待した方向には進んでいかないということでしょうね。