ひこばえ通信
2010年12月号(第293号)

広島から 生産者自己紹介
恵まれた環境での米作りに誇りと自信
広島東城野菜の里・瀬尾 賜


瀬尾さんご夫妻

 東城町は広島県東北部に位置しています。標高は川下の低い所で300m、上流の北部は500〜600mで幾つか支流があり、中国山脈の最深部となります。冬の寒さはことのほか厳しく、こんな所に辛抱強く住んで居るものだ、と外来者なら誰もが思ってしまうような山深い高冷地です。ところが「住めば都」、天は概ね平等なのだと私は思っています。四季を彩る美しい大パノラマの中の主役が自分で森の木々と語り、野の草とたわむれる。そんなすばらしい暮らしが田舎にはあるからです。
 さて最近TPP(環太平洋経済連携協定)への参加是非がいきなり浮上し大問題となってきました。日本の食料基地である北海道をはじめJAも本気で参加阻止の方向です。片や財界や輸出産業側から見れば、この際TPP参加は当然のことと声を大にします。『経済発展か…食料自給率の向上が大切なのか、時の政府はどんな知恵を出してくれるのか?』いずれにしても無関心でいるわけにはゆきません。
 まえおきが長くなりました。東城の米作りについて、今も昔も変わらない好条件を紹介します。なんと言っても昼と夜の気温差が大きいことです。梅雨が明けると、この地方も日中の気温は沿岸部とあまり差はなく猛暑が続きますが、夕方から気温は下がり、夜になると25度前後まで下がってくれます。この日温格差が大きいほど動物をはじめ植物に好い影響を及ぼします。お米やお野菜も同様です。栄養分の蓄積が良く必然的に味のよい作物ができます。
 高冷地のもう一つの好条件は「水と空気がきれいで美味しい作物ができる」こと。何でもないことのようですが、動物植物問わず健康に育つためには大切な要素だと思っています。平野部に比べると病虫の発生が極めて少なく、農薬使用量が総体的に少なくてよい、従って安全で味の良いお米が生産できることは何にも代え難い好条件です。
 広島県は消費県なので関西の大消費地には全く宣伝していないし、量的にもほとんど出回っていません。ところが東城町では2集落でよつば農産向けの生産が30年近くも続いています。この2集落はいずれも東城川(支流含む)の上流で、これより川上には今も昔も人は住んでおらず、猪と小動物や小鳥たちの楽園です。こうした別天地で減農薬をはじめ完全無農薬栽培(合鴫農法含む)の農家が20戸以上あります。我が家でも合鴨農法と出会って20年になりました。
さてTPPに戻りますが「経済が優先か〜生命の尊厳が大切なのか」、あくまでも私たちは後者最優先です。恵まれた環境で米作りができることに誇りと自信を持ち、生きることに喜びを感じながらその輪を広げるべく今後も頑張ります。