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2010年12月号(第293号)

「よつばの学校」一週間産地研修から―山口県祝島
生産者との絆が希望を拓く
「石けん―おもしろ勉強会」講師・長谷川治さん(太陽油脂株式会社)石けんと暮らそう
くらしからの政治
野良仕事のひとりごと
広島から 生産者自己紹介
ぐるーぷ自己紹介
会員のひとりごと/お弁当に華を!〜よつ葉の食材で一工夫〜
おたより掲示板
京都・桂 胡麻の山田製油産地交流会
うまい話まずい話
福祉だより 医療福祉の現場から(7)
みんなで考えよう昼ごはん
連載 いのちを育み、つないでいくために
ヒー・コー・バー、編集後記



「よつばの学校」一週間産地研修から
―山口県祝島
生産者との絆が希望を拓く

 よつ葉では、問題意識の世代間継承を目的に「よつばの学校」という職員研修を行っています。第4期目となる今年は、講座学習会として本紙連載でおなじみの河合左千夫さんによる「『食』のはなし〜あなたはあなたの食べたものでできている〜」を4回にわたって開催、また各地の生産者に受け入れをお願いしての一週間産地研修には13名が参加しました。生産・流通・消費を結ぶ仕事に、より実感をもって関われる人が育つことを願って実施されている一週間産地研修参加者の中から、山口県祝島を訪れた寺田さんに感想をお願いしました。受け入れてくださった山戸孝さんは、本紙や『ライフ』で紹介してきているように、島の生活や文化を守りながら、対岸に建設が計画されている上関原発反対運動に取り組んでおられます。お忙しい中での受け入れありがとうございました。2面には高島美登里さんが上関現地情勢について書いてくださっています。あわせてお読みください。(編集部・下村)


びわ畑(2010年9月撮影)


上関原発建設予定地・田ノ浦から見た祝島
島の生活は未来へのヒント
寺田華恵(鰍ミこばえ)

 祝島までは、大阪から新幹線や定期船を乗り継いで6時間ほど。到着してまず目に入ったのは、透き通った海に並んで浮かぶ漁船、「原発絶対反対」の看板、屋根を重なり合わせるようにひしめく家々と石積みの塀でした。
 島の朝は早く5時半頃から外に出始め、夕方早めに仕事を終えるのが島の生活リズムです。研修ではびわ畑での草刈りや、干しだこ作りなどを体験。今年はいかなど水産物が不漁だそうですが、一緒に作業をした70代中心のおばちゃんたちは、そんな状況も吹き飛ばすくらいパワフルで、よく喋り笑い声が絶えません。
 島の人と話していると「ここでは飢えることだけはない」「魚は買ったことがない」という声をよく聞きます。厳しい島の生活環境の中で「おすそわけ」文化が今も強く根付いているからです。私がいる間も、漁師さんからはその日獲れたタイやハゲなどのお魚、お向かいさんからは、おはぎやおかずなど、あちこちから食べものがやってきます。そしてもちろんこちらもお返しをします。
 山戸さんは「原発問題は、原発そのものに賛成か反対かということだけでなく、生きる価値観の問題だ」と話していました。先祖から引き継いできた島で自然とともに暮らし、そしてまた次の世代に繋ごうと、いのちを懸けて反対運動に取り組む人々。その姿に、100年、1000年先に続くいのちを見据えて「さあ、あなたは今どうするの?」と問われているような気がしました。祝島には、未来を作るためのヒントが盛りだくさんです。

 

消費者との交流と島の将来
山戸 孝(祝島島民の会)

 消費者の方に生産の現場を体験してもらうという取り組みは、以前から取り入れているところも多いと思いますが、祝島ではそういったことはされていませんでした。
 しかしここ数年、上関原発問題に、また石積みの練塀や棚田、1000年続く島の祭「祝島神舞神事」など島の文化や生活に興味を持って祝島を訪れる人が増える中で、島をただ観光するだけでなく、島でなにか島の人と一緒に作業や仕事をしてみたい、と申し出てくれる人も多くなってきました。

たこを捌く山戸さん

 そのため3年ほど前から、まずは島外の友人などを皮切りに、ひじきの刈り取りやびわの葉の収穫といった製品の品質そのものには大きく影響しない作業を、そういった人たちといっしょにすることをはじめました。その結果、予想以上に生産者と消費者に認識や価値観の違いがあることを感じ、同時に、だからこそ作業をともにすることを通じて双方に得るものがあると感じました。
 自分が食べている食品がどのような環境で育まれ、どのような工程で作られているか。それだけでなく、その食品を作っているのがどんな人でどのような生き方をしているのか。その背景にはどういった生活や文化があるのか。
 生産作業だけでなく、テキストやWebデータだけでは十分伝わらない島の生活そのものを、こうした取り組みを通じて多くの人に体感してもらうことができる。それは島の将来を形作ることにもつながるのではないか、そう考えています。