「よつばの学校」一週間産地研修から
―山口県祝島 生産者との絆が希望を拓く よつ葉では、問題意識の世代間継承を目的に「よつばの学校」という職員研修を行っています。第4期目となる今年は、講座学習会として本紙連載でおなじみの河合左千夫さんによる「『食』のはなし〜あなたはあなたの食べたものでできている〜」を4回にわたって開催、また各地の生産者に受け入れをお願いしての一週間産地研修には13名が参加しました。生産・流通・消費を結ぶ仕事に、より実感をもって関われる人が育つことを願って実施されている一週間産地研修参加者の中から、山口県祝島を訪れた寺田さんに感想をお願いしました。受け入れてくださった山戸孝さんは、本紙や『ライフ』で紹介してきているように、島の生活や文化を守りながら、対岸に建設が計画されている上関原発反対運動に取り組んでおられます。お忙しい中での受け入れありがとうございました。2面には高島美登里さんが上関現地情勢について書いてくださっています。あわせてお読みください。(編集部・下村) |
![]() びわ畑(2010年9月撮影) |
寺田華恵(鰍ミこばえ) 祝島までは、大阪から新幹線や定期船を乗り継いで6時間ほど。到着してまず目に入ったのは、透き通った海に並んで浮かぶ漁船、「原発絶対反対」の看板、屋根を重なり合わせるようにひしめく家々と石積みの塀でした。 |
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消費者との交流と島の将来 しかしここ数年、上関原発問題に、また石積みの練塀や棚田、1000年続く島の祭「祝島神舞神事」など島の文化や生活に興味を持って祝島を訪れる人が増える中で、島をただ観光するだけでなく、島でなにか島の人と一緒に作業や仕事をしてみたい、と申し出てくれる人も多くなってきました。
そのため3年ほど前から、まずは島外の友人などを皮切りに、ひじきの刈り取りやびわの葉の収穫といった製品の品質そのものには大きく影響しない作業を、そういった人たちといっしょにすることをはじめました。その結果、予想以上に生産者と消費者に認識や価値観の違いがあることを感じ、同時に、だからこそ作業をともにすることを通じて双方に得るものがあると感じました。 自分が食べている食品がどのような環境で育まれ、どのような工程で作られているか。それだけでなく、その食品を作っているのがどんな人でどのような生き方をしているのか。その背景にはどういった生活や文化があるのか。 生産作業だけでなく、テキストやWebデータだけでは十分伝わらない島の生活そのものを、こうした取り組みを通じて多くの人に体感してもらうことができる。それは島の将来を形作ることにもつながるのではないか、そう考えています。 |