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2010年7月号(第288号)

この夏「台所デビュー」してみませんか?
台所で育つ子どもたち
国鉄闘争解決とこれからの「ecoおといねっぷ」
くらしからの政治
野良仕事のひとりごと
山形から 生産者自己紹介
会員レポート/お店巡り <ブラッセリーアンフィニ>
会員のひとりごと/お弁当に華を!
おたより掲示板
赤地鶏(小坂さん)生産者交流会
うまい話まずい話
福祉だより
みんなで考えよう昼ごはん
めざせ! 半歩先〜命つむぐために〜
ヒー・コー・バー、編集後記



この夏「台所デビュー」してみませんか?
台所で育つ子どもたち

石井由紀子(淀川産直会員)

 4月号8面の連載で、渡辺美穂さんが「食」と「農」の間にある「台所仕事」の重要性と、子ども時代に「台所デビュー」することの大切さについて書いてくれました。5月号では、その記事を読んで実践報告を寄せてくれた淀川産直会員・石井さんと村上さんの活動を紹介してくださいました。その頃、編集部でも7月号は「夏休みに台所デビュー」というテーマでいこうとしていたため、石井さんに原稿をお願いすることになりました。石井さんたちの活動は未就学児対象ですが、小・中学生のお父さん・お母さんにも参考にしていただける内容だと思います。この夏、子どもさんといっしょに台所仕事を楽しんでみませんか。(編集部・下村)


こどもキッチン
〜未就学児のための親子料理教室〜


パンづくり

*日頃の教室の様子*
 「こどもキッチン」は2歳〜6歳までのこどもがお料理をする教室です。大阪府茨木市で開催しています。遠くは隣の府県から電車や車で参加してくださる方もいらっしゃいます。
 「おはようございます」。教室がオープンすると次々とこどもたちが教室に入ってきます。異年齢のこどもたちが、大好きなお母さんやお父さんと一緒に来てくださいます。
 「いつもなら(ものの)取り合いとかの争いがでてくるのに、集中していたためかとてもゆったりした空間だったのが素敵でした」とは3歳男の子・お母さんのアンケート回答です。このご意見に代表されるように、こどもは環境を整えて真摯に接すると「ゆったりした空間」で「集中」して台所作業を楽しみます。また自分で料理をすることは、食べものへの興味も開花させます。

 「教室の日をさかいに、きのこ好きになってしまい、しめじ、なめこ、しいたけばかり食べています。しめじがあれば、しめじと一緒にちょっと苦手な食材でも口にしてしまいますよ。」これは2歳男の子・お母さんからのその後のレポートです。
 教室では「こどもサイズ」の「本物」の道具を揃えています。水などをこぼしたときに使う雑巾や台ふきもこどもの手に届くところに置き、それぞれの使い方もお伝えしますので、いざという場面でこどもたちはあわてずに落ち着いて対処しています。
 お茶は、のどが渇いたこどもが、自分でコップに注いで飲めるように配置しています。「お母さんに頼らずに自分でできた」という自信は「お茶を飲む」というささいなことにも存在しています。 
 「お母さんの紅茶入れてあげるね〜!」と満面の笑みのこども、「お父さんのピザまん、ここだよ!」とお父さんを席に案内するこども、「お母さんのお弁当はこっちね!」と誇らしげなこども。料理の完成とともに訪れる、こどもがキラキラとまぶしく輝く瞬間です。
 「自分でできた」「愛する人のために役立てた」という事実がこどもを力づけます。こうしたこどもの本当の姿に出会うと「こどもは大人が手を貸さなければ何もできない弱い存在」といったこれまでのこども観が一変します。


いわし(4歳)

できたっ!

*こどもが早いうちに台所仕事に親しむことの大切さ*
 自分で食材を扱い料理をすることは、いつも食べるお食事を違う観点で見る機会です。食べものは「命」から出来ていることを知り、ありがたくいただくことの意味にも自然と触れることができます。
 小さいこどもの台所仕事のもう一つの側面をみてみましょう。
 人間として最初の運動のきざしは何かをつかもうとすることから始まるそうです。あけたり閉めたり、出したり入れたり。歩き始める前にもう手を使い、道具を使うことを練習しています。水をあけ移す。注ぐ。ぞうきんを絞る。物をもってバランスをとりながら歩く。包丁で切る、火を扱う。なんでもボタン一つで済んでしまうくらい便利になりすぎた今でもなお、台所仕事には人間が人間であるために必要な「動き」がたくさん詰まっています。
 一つひとつの「動き」を獲得するたびに、こどもは今までできなかったことができるようになります。「こうしたい」と思ったことを思い通りにでき、自分が自分の人生の主人公になることを、こどもは心の奥底から望んでいます。自立への道を歩んでいるのです。
 たくさんの大切なことを秘めているこどもの台所仕事。まだ言葉もおぼつかない小さいうちだからこそ、一見大変そうに見えて、実はとても楽しかったりするものだなと、自分のこどもが思春期に差し掛かった今、実感しています。
 こどもの台所仕事は「絶対にやらねばならない義務」ではありません。お家の人にとって無理ない感じで「気軽に試してみよう!」くらいがちょうどいい。お母さん、お父さん、この夏、「こどもの台所仕事デビュー」をしてみませんか?


 「こどもは台所仕事に興味があるけれど、どうしたらいいか分からない」。参加者の疑問に主催者や他の参加者の経験をシェアしたり、皆で考えたりする時間もこどもキッチンでは大切にしています。ネット上にも情報共有の場があります。ぜひ覗いてみてくださいね。
(こどもキッチン@ミクシィ http://mixi.jp/view_community.pl?id=4001832 
こどもキッチン@blog http://blog.kodomo-kitchen.com/
●次回開催予定は8月4日(水)、22日(日)
 開催時間、場所、参加費等、詳細は下記にお問い合わせください。
 info@kodomo−kitchen.com(石井)まで