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2010年6月号(第287号)

給食の完全米飯化―川西市が公立小学校などで実施
「ご飯にする」が問題解決の鍵
原生協=北摂・高槻生協五十五年史編纂にあたって
60年以上前、敗戦のなか「協同」を追及した人々の証言
くらしからの政治
野良仕事のひとりごと
北海道から 生産者自己紹介
ぐるーぷ自己紹介
1276座(いちにいななろくざ)
会員のひとりごと/お弁当に華を!〜よつ葉の食材で一工夫〜
おたより掲示板
イタリアワイン生産者交流会に参加して
うまい話まずい話
福祉だより しもつき日記(17)
給食の思い出
連載 めざせ!半歩先 〜命つむぐために〜
ヒー・コー・バー、編集後記



給食の完全米飯化―川西市が公立小学校などで実施
「ご飯にする」が問題解決の鍵

石本紋子(川西産直会員)

 川西市の小学校で給食が完全米飯化されることになりました。お子さんのアレルギーをきっかけに学校給食改善を求める活動に取り組んできた石本さんにとって、幕内秀夫さん講演会での「主食をご飯にすれば、その他の問題は勝手に解決する」という話は「目からウロコ」だったといいます。講演会参加を機に、その後は活動を米飯給食化に絞り込み、一点突破で実施を実現。その経過を報告していただきました。また、完全米飯化実現のために川西市議会で尽力された北上哲仁議員にもコメントをお願いしました。(編集部・下村)





幕内秀夫さん講演会の様子と、
近著『変な給食』(ブックマン社、1400円)
 私が学校給食に関心を持ったのは、子どものアレルギーがきっかけでした。「給食にはどんな食材や食器や洗剤などが使われているのだろう」と疑問に思い、調べてみました。ポストハーベスト農薬が使われた小麦のパン、合成洗剤、プラスチックの食器など気になるものばかりで、早速、学校給食を考える会「おかわり」を友達とつくり活動しました。
 そして、川西市会議員の北上哲仁さんに、協力していただける団体を募っていただき、8項目にわたる申し入れを川西市教育委員会にしました。しかし、その後何一つ変わることなく年月は過ぎ、今後どのようにしていけばいいのか一時は途方にくれていました。

「目からウロコ」の幕内講演

 その頃は、手がかりを求めて食に関する講演会にいろいろ参加していました。そして、たまたま目にした幕内秀夫講演会「丈夫な子どもを作る基本食」のチラシ(神戸)を見てすがる思いで参加しました。
 講演の内容は、「目からウロコ」でした! 幕内さんの提案はとてもシンプル。そして当たり前の実現可能なことでした! 「給食の主食をご飯にする」それだけです。
 幕内さんがおっしゃるには、こうした活動に取り組む人たちは、無理なお願いを市や行政につきつけ、話を難しくしてしまいがちなのだそうです。食材の安全性、食器、洗剤、献立、アレルギー対応など、言いたいことがいろいろあっても要望は米飯週5回だけに絞ることが大事、米飯になれば、その他の問題は勝手に解決するとのことでした。
 たとえば、主食がご飯になることで、添加物は減る。献立は変わる。アレルギー児の食べられるものが増える。自給率があがる。日本の食文化を守る、日本の農業を守る、などなど…。
 また、要望書をつきつけて対立するのではなく、理解者を増やしていけば、重要な人との出会いが必ずある、とのこと。そこで、多くの方に幕内さんのお話を聞いていただき、出会いのきっかけにしたいという思いで、川西市で講演会を開催しました。
 チラシを手に、さまざまな人に講演会への参加をお願いしました。子どもの学校の栄養士さん、調理師さん、子どもの歯医者の先生、その先生を通して歯科医師会、子どもの学校の先生、養護の先生、飛び込みで医師会や教育委員会や教育長、市議会議員、もちろん、よつ葉の会員さん! その後も、とにかく聞いていただきたいという思いで年に数回、近隣都市で講演会を開催、そのたびに広報に駆け回りました。関心を持ってくださった方は、必ず自分の立場でできる支援や協力をしてくださる! そんな思いでした。

多くの人との出会いで実現

 北上さんには最初の講演会から関心をもっていただき、一緒に参加してくださいました。その後の講演会にも惜しみない協力をしてくださり、市議会で何度も米飯給食の重要性を取り上げてくださいました。また、川西市は栄養士さんにも恵まれ、幕内さんのすすめる完全米飯給食を理解してくださり、実現にむけて取り組んでくださいました。さらに歯科医師会の理解も得られ、多大なるご協力をいただけたことで、早々に、週5回の米飯給食が実現出来たのだと思います。いろんな人の力に本当に感謝しています。
 私たちの世代は、毎日がパン給食でした。朝食もパン、昼も給食でパンが当たり前。そのおかげでパンが大好きになりました。すりこまれた味覚だと思います。今から思うと小学生の成長期の6年間に毎日パンを食べるのと、ご飯を食べるのとでは体に与える影響は全く違うと思います。
 現在の子どもには、昔は少なかったアトピー、生活習慣病、肥満、虫歯などが多く見られます。米飯化で昔の食事に近い献立になり、病気が減少すると思います。毎日ご飯を食べて育った子は、大人になってもご飯を好み、食べるのが当たり前になるでしょう。
 毎日の食生活は、給食で身に付くと思います。だから子どもたちが毎日ごはんの給食を、食べることには大きな意義があると思います。それによって、家庭の食事も変わっていくと思うし、子どもたちの現在だけでなく将来の食生活にも影響し、毎日ごはんが当たり前の食生活として子どもたちに伝わっていくことを思うと、この上ない喜びです。これが近隣の市や日本中に広がることを願っています!
 子どもたちの健康だけでなく、すべてのひとの食生活、健康、日本の農業、自給率、環境、も改善されると思います。それらがすべてよくなるための鍵を、米飯給食が握っていると思います。


会員さんの相談から、完全米飯給食実現へ
川西市議会議員 北上哲仁(きたうえあきひと) 

 川西市では今年度二学期から学校(小学校・特別支援学校)給食の完全米飯化が実施されます。兵庫県内の都市部では初めてのことで、「全国的にも珍しい」と新聞でも報道されました。これはよつ葉会員の皆さんや多くの保護者が要望してきた成果だと思います。
 約8年前、小学校の保護者(よつ葉会員)から学校給食の食物アレルギー対応についての相談を受けました。改善を求め、教育委員会への申し入れをしたり、教育長や担当職員との話し合いも行いました。学習会も催しました。取り組みを進めるなかで、給食の主食を米飯にすることが根本的なアレルギー対応であることが分かってきました。ご飯に合う和食の献立は日本人の体質に合っておりアレルギーを起こす食品が比較的少なく、輸入小麦のような残量農薬の心配もないのです。
 私が議員になった頃、川西の米飯給食は週一回で、県内最低の回数でした。私は米飯給食について議会で再三取り上げました。社会全体で食育や食の安全についての関心が高まり、また歯科医師会の先生方も子ども達の健やかな成長のために米飯給食の重要性を熱心に訴えておられました。いろんな要素が後押しになり、徐々に回数が増え、遂に完全米飯給食が実現することになったのです。川西では地元産米を使用することから、地産地消も実現できます。子どもの健康を守り、また地元農業振興や自然環境保全にとっても大きなプラスです。市民の小さな声が運動となり、政治を動かしたのです。
 給食をはじめ子ども達を取り巻く環境には多くの課題がまたまだたくさんあります。皆さんと一緒に、子どもの幸せを第一に考え活動していきたいと思います。