ひこばえ通信
2010年2月号(第283号)

めざせ! 半歩先〜命つむぐために〜
第41回:パリ「BENTO」人気の続報

渡辺美穂(フリーライター・西日本新聞社『食卓の向こう側』取材班)

 パリで、日本の弁当箱が流行っている…という前号の話。帰国して調べたところ、もっと詳しく分かりました。
 パリでは、「弁当人気は漫画の影響では」という人がいましたが、ネット上に面白いブログを見つけました。フランス人がフランス語で書いているのですが、内容は全部、日本の漫画やアニメの紹介。しかも、弁当が登場している場面だけを集めているのです。
 学校で友だちと食べる。好きな男の子のために作って手渡す。親の手弁当に涙する…。あらためて見ると、弁当ってよく漫画に登場しますね。 しかも、タコウインナーや卵焼き、おにぎりやから揚げ…と、すごく細かく描かれている。ストーリーを読めば、それぞれ誰かの「思い」が込められていることも伝わる。漫画を読むうち、「BENTOっておいしそう」という気持ちになるのはうなずけます。
 ほかにも、フランス人による日本製弁当箱のネット販売や、手作り弁当を披露するブログなども見つかりました。
この盛り上がりように、素朴な疑問が。「そもそも、フランスに弁当はなかったの?」。  
そこで、NHK語学番組の講師や文化アドバイザーを務めるフランス人、ジェニファー・ジュリアンさん(東京在住)に教えていただきました。
 「日本のように主食とおかずを詰め合わせたものはないですね。でも『ガメル』といって、タッパーにサラダを入れるような簡単なお弁当は昔からあるんですよ」
 ただ、食事を楽しむ文化が根強い国、フランス。数年前まではガメルというと「肉体労働者の昼食」という印象が強く、「ダサイ」と見る人たちも多かったとか。ホワイトカラーの会社員は、会社の食堂やカジュアルレストランで食べるか、サンドイッチを買うのが普通だったようです。
 「でも去年、フランスのニュースで15%の人が職場に弁当持参していると伝えていました。料理学校にもシェフが教える『ガメルクラス』ができたんです。びっくりしました」とジェニファーさん。
 背景には、日本と同じく、不景気による節約志向の高まりもあるとのこと。「家計が厳しくても、フランス人は絶対に食事の質は落とさない。節約しつつおいしく食べるには、手作り弁当が一番いいと気づく人が増えたのでしょう」。
 そんな中、日本の機能的でかわいい弁当箱が輸入され、BENTOがブレイクしたのかもしれません。
ジェニファーさんも、半年前から、夫のために手弁当を作り続けているそうです。「最初は自信なかったけど、また食べたいと言われてうれしくて。見栄えはあまり気にせず、“ジェニファー流”で楽しんで作り続けるつもり」。
BENTOは家族をつなぐ。世界共通のようですね♪