ひこばえ通信
2010年2月号(第283号)

共済だより
医療福祉の現場から(5)
障害者自立支援法の「見直し」について

横江邦彦(光愛病院)

 昨年は「チェンジ」が話題になり、流行語大賞も「政権交代」だったそうで、どちらも今年以降がどうなっていくかで評価されるわけですし、数年後に、「あの年が分岐点だったよなあ」と振り返ることができるようにしたいものです。
 チェンジといえば、今年は、障害者自立支援法の見直しの年です。この法律は2005年、小泉政権時、郵政民営化に続く、「後期高齢者医療制度」や「医療観察法」などと同じ強行採決組の法律であり、「持続可能な社会保障制度」という掛け声のもと、介護保険との統合を視野に入れてプラン化された経緯を持っています。多くの障がい者の反対の中で採決ということもあり、施行後3年目での見直しが付帯決議されていました。
 この見直しに対して、障がい者側から「見直しではなく廃止」が主張されていました。民主党政権の中でも厚生労働大臣自ら昨年9月に廃止を明言しています。一昨年来、当事者団体からは「障害者総合福祉サービス法(仮称)」が提案され、当事者団体主催でのタウンミーティングが昨年から各地でおこなわれています。
 この障害者総合福祉サービス法はDPI(障害者インターナショナル)日本会議が障害者自立支援法に替わるものとして「障害当事者の視点に立った障害者の自立と社会参加を実現する法制度」について、研究と検討を重かさねて2008年にまとめたもので、厚生労働省にも提案されています。
 この実践の意義は大きいと思います。それは、これまでの請願や陳情、抗議行動という形での政治参加だけではないぞと。官僚任せで法律が作られ、それに反対するという運動ではなく、「自分たちの法律は自分たちで作る」という実践がなされていることです。法律の実現や実施には、財源の問題など様々な阻害要因がでてくるでしょうが、法律の理念や目的や骨子などの観点は“残っていく”ことになると思います。
 政府は、12月8日に「障がい者制度改革推進本部」の設置を閣議決定しました。また、推進本部の下部組織として「障がい者制度改革推進委員会」を立ち上げる予定です。
 後期高齢者医療制度や介護保険見直し、「地方分権」など、今後予定されている政治改革に対して、「私たち抜きに、私たちのことを決めるな」「私たちのことは、私たちが考え、決める」という運動や、その成果が与える影響はすくなくありません。事業者ではなく、当事者が直接、声を上げることが一番効果があります。
 成立以後、どんどん使いにくくなっていくばかりの介護保険制度や医療保険制度の見直しにつなげていくことができるようにしていきたいと思います。