ひこばえ通信
2010年2月号(第283号)

おたより掲示板
大切な場所

M・Sさん(淀川産直会員)

 吹田市の万博公園内にある大阪府立国際児童文学館が12月27日で閉館になりました。
 子どもたちが小さかった頃、公園で遊んでの帰りに、文学館で本を借りて帰るのが週末の楽しみでした。文学館では、お話を聞く会や物語を体験する会も催されていました。
 娘が突然発病し、遠くの病院へ長期入院しなければならなくなったとき、文学館の学芸員の方が、仕事を終えた後、リュックに10冊ほど本を持って病室を訪ねてくれました。周囲の子もいっしょに本を読み聞かせてくれ、子どもたちは大喜びでした。
 次に訪ねてくれるまで本を貸してくださり、何週間後かに、また違う本を10冊持って、訪ねてくださるのでした。本当にありがたかったです。娘が病院から出した一通のハガキ「病気になったので物語体験の会に行けません」で、子どもの孤独や、残念な気持ちをくみとり、訪ねてくださったのです。
 ずいぶん後になって知ったのですが、阪神淡路大震災の時にも避難所の子どもたちに本を持って出かけて行かれたそうです。
 子どもたちが良い本に出逢い、心豊かに静かに過ごせる貴重な場所であったと思います。なくなってしまったことが残念ですが、心より感謝しています。
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多くの人に惜しまれながらの閉館、残念なことでしたね。児童書、マンガなど70万点の資料は東大阪市の大阪府立中央図書館へ移されると報じられています。しかし、資料を管理したり、絵本や紙芝居を子どもに読み聞かせたりしていたスタッフは、大半が解雇されるそうです。そうなるとM・Sさんのように、学芸員の方と心のかよったお付き合いを続けることは難しくなるのでしょうね。閉館は橋下徹知事の財政再建の一環ですが、閉館後の施設をどうするかもきまっておらず、なぜそれほど急ぐ必要があったのか疑問です。同じ大阪府民として、財政が厳しいからこそ、守るべきものは守るという意思表示をきちんとしないと、「大切な場所」を失うことが続くのだろうと考えさせられました。(編集部・下村)