ひこばえ通信
2009年12月号(第281号)


哘 清悦((有)みちのく農産)
雇用問題と高額報酬の代償

 不景気による農産物の価格低迷と肥料や資材の高騰は、地域農業の担い手である専業農家の経営をさらに厳しくしている。青森県は有効求人倍率が全国最下位になることが多いが、雇用問題もさらに深刻化している。せめて自分の町の失業者だけでも救いたいという思いから、国の「農の雇用事業」や、県の「農業サポーター整備事業」等を活用して12名を短期雇用した。当社では60万円の予算を用意し、農作業を半額で請け負う「会員農家支援キャンペーン」を約1ヶ月間行ったが、それによって農業サポーター(失業者)の仕事を確保することができ、会員農家からはとても感謝された。
 六ヶ所再処理工場が、ガラス固化でトラブルが続発し止まっていることもあり、今年度は本業と雇用対策に専念できた。しかし不思議に思うのは、工場が止まり修理ばかりしていて、売上収入がほとんどない日本原燃が倒産しないことである。国民が直接日本原燃にお金を支払っている訳ではないので意識されないが、日本原燃の再処理事業を支えているのは国民のお金である。不本意ではあるが、私が支払った税金と電気料金の一部も日本原燃の経営を支えている。
 電気工事業を営む夫と息子を持つある女性が、夫が日本原燃から請け負う仕事は被爆の心配がないかと私に相談しに来たことがあった。古い軽自動車に乗っていたその女性の夫に今春久しぶりに会ったが、その時は新車のベンツに乗っていた。職安に行くと日本原燃の高額な月給が一際目を引く。「危険」の代償として支払われるお金の流れがここにある。
 消費者保護基本法の「消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保されること」の理念と、独占禁止法の目的の一つである「独占的状態の規制」に照らして考えた場合、消費者が電力会社を選択できるようにしなければならないし、それが本当の電力自由化だと思っている。民主党は政権交代を果たしたが原子力政策は自民党と変わっていない。民主党の政策を決定する力を持った政治家に、このお金の流れを変えると困る人がいるような気がしてならない。