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2008年11月号(第268号)

インフルエンザワクチンって効くの?―予防接種に行く前に
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インフルエンザワクチンって効くの?
予防接種に行く前に

林敬次(はやし小児科・医療問題研究会)

 冬が近づくと、さも当然であるかののようにインフルエンザ予防接種が勧められます。しかし効果への疑問や副作用の不安から学童への集団接種は中止されたのでした。ところがその後も製薬会社や専門家や厚労省は、あの手この手でインフルエンザワクチンの製造量を増やしてきました。その動機が私たちの健康のためだけでないことは言うまでもありません。マスコミも「新型」の不安を煽るばかりで、副作用についてはほとんど取り上げません。そこで接種に批判的な観点からの提起を林敬次さんにお願いし、勧められるままに接種する前に、一人ひとりが自分で学び判断するきっかけにしていただけたらと考えました。(編集部・下村)


症状を減らせるという科学的なデータはない

 インフルエンザを扱うテレビ番組が増えてきて、私たちの診療所にも予防接種の予約電話が多くなりました。私は、インフルエンザ予防接種は効果がないのでしていませんが、いかんせんワクチン会社の力は大きく、当院を受診される患者さんでもある程度の方が他院で予防接種を受けておられます。
 インフルエンザの予防接種は効果がない、などと言いますと、変わった医者だと思われるかも知れません。しかし、世界の医学界で最も信頼できると評価され、製薬会社などと明確に一線を画している、「コクラン共同計画」という研究組織が世界中の研究を集めて調べても同様の結論がでているのです(この計画には私も少し参加しています)。ほとんどの研究はワクチン会社の何らかの息がかかっていると考えられるのですが、インフルエンザ予防接種をした方が良いという結論は出ないのです。


▲おいしく食べて、よく眠り、楽しく過ごす。免疫力UPの基本です。
 にもかかわらず、効いたという研究があるという医学者は多々います。その「効いた」とするからくりの一つを紹介します。みなさんが予防接種に期待されるのはインフルエンザにかかって熱・咳・関節痛などの症状でしんどい目をしたくないからですね。しかし、インフルエンザワクチンの効果を調べる研究のほとんどが、のどにインフルエンザウイルスが少なくなったとか、血の中のインフルエンザウイルス抗体が上昇しにくくなったとかを調べて、「効いた」としているのです。肝心の症状を減らせるという科学的なデータはないのです。私は現在このごまかしを批判する論文を書いているところです。
 それでも、予防接種をすると家族などに移さないから受けたい、とおっしゃる方もおられます。しかし、過去に日本の全学童への集団接種が行われましたが、毎年何千万人にもワクチンをしていたのに学童自体の流行も減らせなかったので、94年に中止したのです。その他にも、高齢者施設で職員にワクチンをしても入所者の発病は減らせなかったとか、接種した人の家族への感染率は減らなかったなどという研究が相次いでいます。移さないことを期待しても無理です。

本当に怖い脳症は不要な薬がひきおこす

 長年続けられてきた、人インフルエンザさえこんな調子ですから、鳥インフルエンザワクチンの、人に対する接種などとんでもない話です。
 まず、鳥インフルエンザは世界中で死亡が確認されているのはたった245人で、インドネシア112人、ベトナム52人、エジプト22人などの「発展途上国」内だけです(08年9月現在)。考えてみてください、これらの国々では、下痢症だけで年間180万人も死亡しているのです。また、人から人へと移ったという確かな証拠はありません。ですから「毒性」は問題にならないくらい低いのです。
 また、今後流行するかも知れないとされている「怖い」インフルエンザと現在の鳥インフルエンザとは全く違うものです。そうでないと人間では流行しないのですから。すると、鳥インフルエンザワクチンはその「怖い」インフルエンザワクチンにまるきり効きません。
 ですから、鳥インフルエンザワクチンは、意味がないことがはっきりしています。しかし、4月25日にはこのワクチンの開発・備蓄促進などを付則とした法律が成立し、まず600人で実験し、さらには1000万人に接種するというのです。
 そこを説明する「へりくつ」は、今回の鳥インフルエンザワクチンは鳥インフルエンザに少し似た「怖い」インフルエンザに対する「基礎免疫を作る」というのです。何万年先に流行するかも知れない怖いインフルエンザのための、当たるかも当たらないかも知れない「基礎免疫」をつけておくというものです。その効果の科学的な裏付けは何もありません。にもかかわらず、日本は鳥インフルエンザワクチンを3000万人分も備蓄しているとのことです。
 インフルエンザは怖い病気ではありません。本当に怖い脳症は不要な薬を使ったために発生したものです。ワクチンをするお金を、安全・新鮮な食材に回した方がよっぽど効果的です。


【林敬次さんプロフィール】
1973年、大阪市立大学医学部卒業後、79年から高槻赤十字病院勤務。小児科部長を経て2007年7月「はやし小児科」を開業。『家庭医学大辞典』(小学館)・『クーヨン』(クレヨンハウス)・『ちいさい・おおきい・つよい・よわい』(ジャパンマシニスト社)などに執筆。

【はやし小児科】
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