ひこばえ通信
2007年12月号(第257号)

10/19〜21 青森県六ヶ所村へ現地職員研修
豊かな大地に何故こんなものが?
井上陽志(近江産地直送センター)

 この一年、よつ葉では原発やエネルギーの学習会や上映会・講演会を行ってきました。憤りや不安、いろんな思いが募る中、遠く離れた所でグズグズ考えているだけでなく、とにかく映画『六ヶ所村ラプソディー』に登場した現地の人たちに会いに行こうと職員の有志で青森まで押しかけてきました。



▲(上)PRセンターからのぞむ再処理工場。(下)映画『六ヶ所村ラプソディー』にも登場する「花とハーブの里」で。前列右から二人目が井上さん。
のどかな風景 威圧する巨大施設

 「使用済み核燃料」の「再処理工場」は自然豊かな青森県六ヶ所村にあります。人口1万2千人ほどの小さな村です。「使用済み核燃料」とは現在日本にある55基の原子力発電所(僕たちの暮らしの中で1/3の電気を賄っています)で使い終えたウランの燃えカス(死の灰)のことです。工場が本格稼動すれば放射能をたくさん海、空に出します。
 六ヶ所村内に田んぼは無く、どこまでも続く平原のなだらかな傾斜地に作られた畑作や、酪農が営まれるのんびりとした所でした。そこに忽然と巨大な再処理工場(約2千6百人が従事している)が佇んでいて、恐ろしいほどの違和感がありました。
 再処理工場や原発(隣の東通村)の近くにはPRセンターがあって誰でも無料で見ることができます。そこでの案内や冊子を読むと「大丈夫ですよ、安心・安全ですよ」としきりに表現しています。その頑丈な施設や確実な処理を安心・安全と言えば言うほど、よっぽど危険なものだろうということが伝わってきます。また、IAEA(国際原子力機関)の人間4人が村内の専用施設で24時間常駐しているとか…。さらに驚いたことには、ウラン濃縮工場の道を挟んだすぐ向かいに小学校を建設していました。

明るく元気に快活に反対を続ける人たち

 現地で反対運動を続けられている人たちはとても元気でした。まだ、声をあげることをあきらめてはいません。そこに自分たちの暮らしがあり、ずっと続いていくからです。反対運動をすればするほど、地域では孤立し自分たちの作る作物はなんとなく敬遠され、売れなくなります。そのジレンマに耐えながらも明るく元気に快活に生きる、あの皆さんの笑顔は忘れられません。
 六ヶ所村を含む下北半島は様々な問題を抱えた今の日本の縮図とも言われています。決して特殊でローカルな問題ではありません。「放射能を出さないでほしい」「再処理工場はいらない」と、はっきり言う人たちのうねりは大きくなり、映画の自主上映会や講演会が各地で行われています。まずは僕たち自身がよく知り考え、嫌だと思ったら意思表示をすることが大切です。暮らしの場所は違っても同じ思いの人はきっとたくさん居て、その気になればつながっていけます。
 無関心、中立は国や推進派にとっては物言わぬ賛成票です。国家プロジェクトのもと、今の暮らしを維持し、電気を使うためには原子力エネルギー・核燃料サイクルしかありませんよと、経済的弱者を追い詰めて負の部分を押し付け、「暴走列車」という名の決められた枠内の危険な未来へと誘導されるのはまっぴらごめんです。


自主上映会のご案内 『六ヶ所村ラプソディー』
使用済み核燃料再処理工場とは? まずは知ることからはじめませんか。

日時:2008年1月14日(月・祝)
   ●第1回上映 10:00〜12:00(開場9:30)
   ●講演 13:00〜14:10(監督:鎌仲ひとみさん)
   ●第2回上映 14:30〜16:30(開場14:10)
場所:東近江市蒲生公民館(あかね文化ホール)

*素材にこだわった食べもの、手作り雑貨、エコ活動などの展示もあります。関西よつ葉連絡会・近江産直センターも出店します。
お問い合わせ:(有)近江産地直送センター(0749-28-7603)