ひこばえ通信
2006年1月号(第234号)

こんなん読みました
連絡会事務局・尹英順

 著者の法頂(ポプチョン)氏は韓国の高名な禅僧にしてベストセラー作家。電気も通信手段もない山奥で単身、生活をされています。
 私が法頂(ポプチョン)和尚(スニム)(和尚=スニム)の随筆集に出会えたのは、4年前、韓国へ語学留学したのがキッカケでした。クラスを担当してくれた先生が、韓国の本を一冊読んでみるなら、この本がいいと薦めてくれたのがスニムのロングベストセラー『無所有』(日本語版 金順姫・訳 東方出版 ¥1,600)でした。
 韓国でスニムの随筆集は年齢、性別、宗派を問わず幅広い層に親しまれ読まれています。その魅力は観念的・抽象的なことは書かず、生活の中で体験したことだけを糸口に、親しい知人に手紙を書くように率直で淡々と優しい文章が読む人の心(魂)に感銘と癒しを与えてくれます。
 私は『無所有』との出会いから、韓国を訪れると必ず自分へのプレゼントとしてスニムの本を1冊買うことに決めています。韓国ではたくさん出ているスニムの本も日本語で読めるのは『無所有』と、この『すべてを捨てて去る』の2冊だけです。
 随筆の主題は、自然、宇宙、社会、教育、音楽など多岐に及びます。とりわけ24才の出家の際に、両親との別れよりも本との未練を絶つ方が辛かったというくらい読書家なので、読んだ本の話、素敵な詩が読む人の世界を一層広げてくれます。
 こんなにも、ひとことひとことが心に響き、心地よい本に出会ったのは初めてです。読み終えるのが、どんなにもったいなかったか!? この本に出会えたことに心から感謝しています。


『すべてを捨てて去る』
法頂/河野進・訳 麗澤大学出版会
\1,600(税別) 2003年12月発刊