ひこばえ通信
2006年1月号(第234号)

スキー場跡の自然回復運動
比良八雲ヶ原の自然を次世代へ

 皆さん、比良スキー場へ行かれたことはありますか? 琵琶湖の西に位置し 湖畔から1000mの急斜面でそびえる比良山地は、滋賀県のみならず関西の多くの登山者、スキーヤー、自然を愛する人たちが訪れる山域です。
この比良山地の核心部、コヤマノ岳と北比良峠の間に約50年前に開設された「比良スキー場」が採算悪化のため閉鎖されたのが一昨年3月。事業体である京阪は、地権者との契約で諸施設を完全に撤去し、50年前の原状に回復することを約束しています。

自然を愛する人が集いアピールを採択

 このスキー場が建設されるとき、広大な自然林が切り崩されただけでなく、関西では数少ない高層湿原である「八雲ヶ原」のほぼ半分が埋め立てられました。湿原を回復させるためには埋め立てに使った土を慎重に取り除き、工事期間全体を通じて周辺自然環境に悪影響を及ぼさないよう細心の配慮が必要です。
 また、その後長期にわたり跡地に人と動物が共生できるブナなど在来種の自然植生が再生できるよう保全管理が求められます。
 今年4月から1年半かけて行われる撤去・復元工事の内容は「比良スキー場廃止にかかわる関係機関協議会」において非公開で進められ、今のところ跡地の自然復元の有るべき姿も公表されていません。本当に比良の自然は復元されるのか……。
 昨秋、全国から駆けつけた登山愛好家、地元の人々、自然保護団体など広汎な自然を愛する人たち約200人が八雲ヒュッテ前に集い、協議会・事業者・工事者・大津市・志賀町・県に対する要望を「比良八雲ヶ原アピール」として採択しました。人と動物が共生できる美しい比良八雲ヶ原の自然を次世代へ残したいという熱い思いが伝わってくる集会でした。
 このような運動が多くの人の関心を集め自然回復の過程が見守られていくように願わずにはいられません。
(編集委員・村上美和子)