ひこばえ通信
2005年8月号(第229号)

ぐるーぷ自己紹介 のんぼ・亀岡
《京都府亀岡市》

不耕起自然農法で〈農とビオトープ〉の両立を目指す



▲(上)田植え風景。
(下)本梅小学校3年生自然観察教室

 『のんぼ・亀岡』は、12年前に綾部市で生まれた『のんぼ』から、自然農法と籾を受け継いで2004年に発足し、2年目に入りました。『のんぼ』とは野原と田んぼのことで、不耕起自然農法による人と自然の共生をめざしています。また、農を楽しみつつ、人との出会いを大切に、酒を酌み交わす「のんべの集まり」でもあることに由来した緩やかなつながりです。
 2年で1.6反、5枚の畑を棚田に戻し、うち小さな1枚が池になっています。田んぼは一部を乾田二毛作の実験場および自然農法の畑とし、残りは1年を通じて湛水しています。今とんぼが次々に産卵に訪れ、また羽化して飛び立っていきますし、何万というオタマジャクシや水生昆虫、めだか、タナゴなどの魚も暮らしています。
 無農薬の畑は、試行の段階ですが、種(たね)の自家採取による継続栽培を目標としています。それは(1)会員に無農薬の野菜を提供するためだけでなく、(2)花粉の送粉者である蜂や蝶・蛾、甲虫などの生物に多様な環境を提供する。(3)巨大穀物商社が種の独占を通して世界の農を支配しようとするグローバル化に抗して自前の種を保存、継承していく運動に加わることなど、目標は高く、経験と技術を蓄えているところです。

ほ場整備が生物を追い詰めている

 私たちの会の案内には、「姿を消していく生き物、荒れていく野山と放置される田畑、それは同時に、私たちが本来の生き方を見失っていくことでもありました。自然に親しみ、楽しみつつ学ぶことが出来れば、という思いが形になり、榎さんのご好意により畑をお借りして30年ぶりに復田し、《農とビオトープが両立する場所》を設けることが出来ました」と記しています。
 いま亀岡の川東地区では、大規模に進行する圃(ほ)場整備によって進められる水路の三面コンクリート化と暗渠化によりおびただしい水生生物が行き場を失い、次々消滅しています。過去何度か救出作業を行い、逃れてきた生き物の避難所ともなっています。
 のんぼの実験場『もみじ田』がある河原谷は、小さな谷あいながら自然度が高く、避難してきた生物を含めて数多くの希少生物がいます。ビオトープといえば、市街地の一角にユンボで穴を掘り、青い塩ビシートを敷いて池を作ることと思われる昨今ですが、失われる自然の復元を基本とするかぎり、あくまで自然の一角に自然素材で設けることが望まれます。潜在植生を重視し、水系を越えないことを原則として遺伝子のかく乱を防ぎながら、命あふれる空間を棚田において生み出していきたいと思っています。 
 昨年、京都府から「みどりの機会づくり事業」として認証と補助を受け、地元・本梅(ほんめ)小学校の授業で自然観察のフイールドとしての利用が始まり、会員が講師を務めつつ、子どもたちとともに自然から学んでいます。

里山復元で野生生物との共存が夢

▲林道に現れた野うさぎ

 イノシシ・鹿・野ウサギなどの食害も受けますが、ほとんどの山はスギ・ヒノキの単相林で、多くは間伐されることなく放置され、林床に光がささず植生も単純かつ貧弱です。えさを求めてさまよう野生生物が哀れです。いつか、豊かな複合林に戻した里山と田んぼを水系とともに一体で運営し、野生動物との恒久的な共存を可能にするのが私たちの夢です。
この試みが各地に広がって谷あいがいのちに満ち、賑わいを取り戻していくことを願っています。
会は《自由参加を原則に、ルールは最小限》がモットーで、現在の登録会員は21名です。
(代表世話人・児玉正人)


のんぼ・亀岡
会費:年1000円
連絡先:TEL0771-24-8913(児玉)