ひこばえ通信
2004年12月号(第221号)

野良仕事のひとりごと 長野県でパパイアを
赤石果樹出荷組合 平沢 充人

 「りんごのあんべえはどうだな」
 私の町は、りんご、梨、ブドウ、柿などの果樹の町である。百姓仲間が顔を合わせると、主な品種であるりんごのフジのできばえから話題が拡がる。
 「だめだに。いつもの年よりふたまわりも小さくて、ミツの入りも悪いのな」
 「秋になってもぬくとい(温かい)雨が降るもんで、病気で葉っぱが落ちて、落ちて。虫だって遅くまで活動しとる。来年は農薬の回数を増やさにゃあだに」
 「台風が5回も来て、そのたんび枝と実が擦れて傷になって、売り物になるものがまるで少ねえ」
 「干し柿なんて、もっとだめだに。熟柿になっちまって、採る時に半分はびちゃって(捨てて)、そいで剥く時にまた半分びちゃったのな」
 「昔の干し柿は家の軒下に干して自然乾燥だったけえど、これからはちゃんとした施設を作って、機械で温度と湿度を調節しにゃあ、干し柿は作れんに。まあ、えらい設備投資がいるわな」
 南アルプスの峰々に何度めかの雪がきた。以前は10月なかばには初冠雪があったのだが、今は11月に白くなる。地球温暖化が確実に進行しているのだ。
 「このままいくと、りんごの適地は北海道になって、オレたち長野県はミカンの産地だな」
 「いやいや、マンゴーやパパイアかもしれんぜ」
 地球の温暖化は作る作物が変わるだけでは済まないだろう。病害虫が増え、農薬散布が増え、施設化が進むと電気や化石燃料の使用量も増える。それがまた次の汚染や温暖化を加速させていく。
 長野県でマンゴーやパパイアを、と笑ってはいられない時代である。