ひこばえ通信
2004年8月号(第217号)

野良仕事のひとりごと
直営農場地湧舎にて

アグロス胡麻郷 橋本 昭

暑い。薄らぼけたテレヴィ(電波が充分来ていない)が関東で40℃を超えたことを伝えている。当地もそこそこイッとる。12:15AM、誘惑に負けて冷蔵庫の隅にあった缶ビールに手が伸びる。ウマイ。草刈り機の振動にシビレ気味の体に1本の缶ビールが染みわたり、実に平和な気分がやってくる。真昼の飲事や。緑陰の風が汗を乾かす。一眠り。そして今。
ところで、当地湧舎には7才くらいになる「チョロ」という名の犬がいる。もう1匹の「チョロ子」とか「うめ」とか名前の定まらぬのと2匹いる。チョロは近年放しても遠くへは行かないし、気の合わない人以外には吠えないし、噛みつかないのでほとんど放し飼い状態である。いろいろ教えられるところの多い、かわいい犬である。
 とりわけ凄いのがその出産である。発情がくるたび必ず産むのである。何処からともなく雄の種をもらい受けてくるようである。6〜7産いや10産を超えているかも知れない。季節になると絶対に産むのである。じわじわと腹が大きくなり、もうそろそろかなと思わせた頃、朝、産んだデ〜という感じで報告に来る。この報告はかなり確実である。ちゃんと目でしゃべって報告しよる。はじめは子育てもものものしく、こちらも気を遣ったが、最近では必要なツボはキチンと押さえるが後は悠々たるモノである。子犬が騒いでもその騒ぎ方を聞き分けて、世話する場合と無視して昼寝をむさぼる場合がある。こちらも産後の回復と授乳用栄養源としてサバの水煮の缶詰を与えるという連携プレイでこともなげに育児は進む。
しかし、生まれてきた子犬が問題である。今回は5匹も生まれている。どうやらチョロとチョロ子が共同妊娠・共同出産・共同育児を始めたのである。こんなことありなんでしょうか? 子犬たちは2匹のお母さんのどちらにも出向いて乳を吸っています。どなたか犬に詳しい方教えてください。
胡麻では「土曜市」という名の朝市をやっていて、毎週その催しのチラシが新聞に折り込まれる。そのチラシの中に「地域情報コーナー」というのがあって、その「もらってください」コーナーに掲載してもらって、今までのところ皆引き取ってもらってきた。が、今まではだいたい2〜3匹であった。今回は5匹である。こんなたくさん引き取り手がいてくれはるやろか? 絶体絶命のピンチ。知り合いの人々はちゃんと避妊手術を受けさせ、そんな愚かなことはしない。幾たびかどうして手術をしないのかとも言って頂いた。理由を説明しきらんまま、なぜか手術はしなかった。単にズボラな訳でもない。敢えて言えば「気がすすまんかった」と言うのが近い。チョロたちの発情と出産の正確さと野太さに魅せられているのかも知れない。