バックナンバーはこちらから。

2010年7月号(NO.14)
人とつながる 森と海とつながる
課題の膨らむ五年目の大豆くらぶ
身近な海のことをもっと考えていきたい
連載・農への橋渡し
自分の髪質改善から生まれたヘナ/食が工業の都合で大きく変わり歪められていった
山間地での仕事づくりとともに新しい生活価値観の創造を/七代続けてきた蓮根栽培
本当に大切なものを育てていく  そんな仕事をしていきたい/わさび栽培と村おこし
地元農家との土づくり・草づくり/原発立地に揺れた能登の地で
インドネシアの村おこしと日本の福祉をつなぐ/大地と人がつくりだすもの
まっとうなものがまっとうに評価される関係を/個性豊かな仲間とともに山野の恵みをモノ作りにつなげる
大阪湾とその恵みの今昔
時変われば様変わる。やがては無用の長物となるやもしれぬ成田空港
韓国訪問団参加者募集/編集後記



人とつながる 森と海とつながる
課題の膨らむ五年目の大豆くらぶ

 日本の食文化の中心的作物だった大豆を自分たちでまず育てて、豆腐・味噌・醤油に加工してもらう大豆くらぶの取り組みも5年目になりました。3年前から大豆づくりを会員の皆さんにも呼びかけ、毎年種大豆をお渡しするのにあわせて講演会を行っています。今年は茨城県の有機農業家、魚住道郎さんを講師に招いて、6月5日に開催しました。
 有機農業に踏み込むキッカケが水俣病だったという魚住さん。戦後日本の食糧増産政策を支えてきたビニール資材や化成肥料が、製造する過程の杜撰な処理の結果とはいえ、それを使うことで間接的に水俣病を引き起こしていたことに衝撃を受けました。そこから、目先の食糧増産を謳う近代農業を超えるものとして有機農業が正しいのかを問い続けて40年。こんな楽しく面白いことはないと熱く語り、「腐植」(土壌有機物)という言葉をキーワードに、話は多岐にわたりました。
 落葉広葉樹の森の豊かさ、有機栽培の田畑の豊かさが海の豊かさにつながるという、魚住さんがこだわる生態系のバランスを永続的に崩さない農業のあり方では、害虫や病気も排除すべきものではなく、畑や作物の状態を現すサインとして受け止めて対策を講じていきます。


▲魚住道郎さん
 そんな有機農業が成り立っていくためには、ひとつの河川の流域内で自給自足が完結する関係性を作り上げることが必要になります。そのひとつの形が魚住さんの提唱する“自給農縁(園)”の取り組みです。
 消費者が生産者との共同で自分の農園を持つという考え方で、ただ単にモノのやりとり、売買(好きなものだけ買う)や所有関係ではありません。いわば第二の実家を農家にして、お客としてではなく畑仕事を手伝い、そこの畑で出来たものを引き受け、最大限生命を無駄にせず食べ尽くすという、消費者側にとって意識改革を迫られるものなのです。
 一方、農家には消費者と直接つながることで、より身近に消費者の食卓の一年間をイメージしながら作付を考えるので、単一品種大量栽培ではなく必然的に有機の少量多品目栽培を指向することになるというものです。
 会員さんだけでなく、参加したよつば農業塾塾生たちや新規就農の方にも熱い思いが伝わる講演会になりました。(よつば農産 深谷真己)

▲魚住さん講演会

▲質問するよつば農業塾生

講演会に参加して
農と縁を結びたい
そんな強い想いを抱かせる講演会でした

▲参加者の皆さん

 先日、大豆くらぶの講演会に参加した。わが家で大豆を植えるのは無理かと思いつつも、魚住さんに惹かれて初めての場所へ出かけて行ったのだった。
 魚住さんの講演は興味深く、スピーディーで大変おもしろく、納得した。改めて私のやるべき事が明確になった。それは「堆肥づくり」だ。そして堆肥づくりこそが、今後のあり方を指し示すものだった。生ゴミを出す私達の責任とでも言える事で、街路樹の落ち葉さえ有効な資源になるのだ。
 魚住さんは現在、木製の堆肥框を使った『腐植』をワクワクしながら作っているようだ。それこそが地球を救う一大プロジェクトだと燃えているのだ。土にいい物は、山にも木にも、もちろん田や畑にも、さらには土中の動植物、川から海へ流れる水にも、魚や貝、海藻にもいいのだ。文句なしに良い。有機農業とは無農薬で、堆肥由来の『腐植』を使った、生きものの全ての命を潤す事なのだ。原発由来の「フショク」とはまったく正反対の『腐植』。
 土がほとんどない家に住む私は、これからちょくちょく農場へ出かけていこうと思う。農家と「縁」をつないで、やがては私もその縁で農業もやってみよう。さらには、今、できている事をさらに広げて「水を汚さない」、「空気も汚さない」「考えて買い物をする」「より少ない物で生活する」「ゴミは分別する」そして「ゴミは少なく」「悪い物は使わない」。
 当たり前の事なのですが、地球に降る雨はどこかから降ってくるのではなく、私達が使った水がやがて空へ上がり、雲となって再び地上に雨となって下りてくるのです。同じ水なのです。「毒」を流さず、できるだけきれいにして返しましょう。(西京都共同購入会会員 中村美佐子)