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2009年11月号(NO.10)
生命運動としての生協活動
韓国・ドゥレ生協生産者会と交流
農業の醍醐味を若い人たちに((有)アグロス胡麻郷)
京大農学部生が来訪―何か刺激になることあったかな?!
生産から加工品まで地域の人々とともに(堀内農園)
生産物には豊かな自然と人の想いがつまっている(山形・東風会)
次の世代につながる農業を農家バンザイ!(萩本農園)
人と自然とのよい出会いを求めて(熊野出会いの里)
過疎の山村を元気に農畜産の取り組み(総合農舎山形村)
環境問題は生き方の問題(マルダイ石鹸本舗)
水問題に関わり続けて(彩生舎)
都市の消費者との交流に意を注ぐ(エコファーム丹波 )
命をつなぐ仕事にほこり≠もって((農)山形おきたま産直センター)
ずっと北海道でガンバッテいます(オフィスアン)

旬・産地にこだわった製品作りを(千葉産直サービス)

「食と農」のことにあれこれ想いをめぐらす
祝島職員研修―自身を省みるひとつの機会島での体験研修
伝えたいこと、変えたいこと―ひとこと言わせろ
編集後記/お知らせ



生命運動としての生協活動
韓国・ドゥレ生協生産者会と交流


▲ドゥレ生産者会との意見交換

 11月上旬、韓国ドウレ生協・生産者会の訪問団のみなさんが、よつ葉を訪れました。2年前に初めて私たちの農場・工場などの生産現場を訪問して以来、交流が続いています。昨年の6月にはよつ葉の生産現場や配達現場の仲間とともにこちらから韓国を訪問しました。こういった形で他団体と交流するのは初めてのケース、一同大いに緊張して出かけたのですが、笑顔の熱烈歓迎にすっかり打ち解けて交流することができました。これまで日本の大きな生協との交流が中心だったそうですが、私たちがお会いしたみなさんは「意外と自分たちと似たところがあるので親しみが湧く」という感想でした。トゥレ生協・生産者会は「経済価値ではなく生命価値」を基本として、2年前に生産者会を法人化し、自立した形で生産と消費の関係を作り直していこうとしています。理不尽な政治や世界経済のうねりの中で翻弄されながらも強く生きていこうとしている人たち、この世界を少しずつでも変えていこうという姿勢には、私たちも大いに共感しました。「これからもぜひ交流を続けていきましょう」という約束を交わし、今年も25名の訪問団を組織してやってきてくれました。
 今年の訪問団は、比較的若い世代や女性が多かったのが特長的でした。例えば、韓牛の肥育をしている李 美子さんのところは、2年前はお母さん本人、今年は息子の李 英錫さんがやってきました。また、訪問団の中には昨年韓国でお会いした全国(韓国)農民連盟のカソリック農民会の李 震善さんも参加されていました。全国カソリック農民会は、日本の植民地時代や軍事政権下での抵抗運動、WTO農業交渉に対する自由化反対の抗議行動など、古くから先進的な活動をしてきた農民組織です。江原道の原州でお会いしたとき、李さんの「神さまから生命の大切さを与かる仕事をしているのが農民です」という言葉は今でも心に残っています。
 2日間の日程という短い時間でしたが、初めて参加した人も多かったので、今回もできるだけ多く私たちの生産現場である農場や工場などを見学してもらいました。また、現在のよつ葉の活動が目指していることについて説明したときは、2年前と同様に訪問団に参加した多くの方から熱心な質問が予定時間を越えて数多く出されました。夜の交流会では、よつ葉の生産現場や配達現場の職員も多数参加して大いに盛り上がりました。言葉の壁はあっても、いい交流になったのではないかと思っています。
 今後は訪問団の行き来だけではなく、農業や食をめぐる情勢、これからのお互いの運動の進め方など突っ込んで議論する場も作っていこう、と約束し彼らを見送りました。再び会える日が楽しみです。(関西よつ葉連絡会 田中 昭彦)


[寄稿]ドゥレ生協の活動の様子を紹介します
 今回の訪問に際して、ドゥレ生協の活動の様子を寄稿してもらいました。(編集部)

 一九六〇年代の朴正熙大統領による軍事独裁時代から一九八〇年代の全斗煥軍事独裁政権まで行われた民主化運動の重要な地域の一つが江原道原州です。民主化運動家の安全な隠れ家でありながら新しい時代への思想の種を提供してくれた地域でした。
 そこで生まれたのが、当時、金芝河氏が農民運動たちによく語った生命運動の思想です。その生命運動は、農民には有機農業の種を、消費者には生協運動の種を与えました。その流れのなかで、韓国最初の生協とも言える『ハンサリム』という組織が誕生し、その後、小さな生協がソウルをはじめその周辺に次々と作られました。
 しかし、小規模では乗り越えられない経営危機に直面し、この危機を乗り越えるため、首都圏で活動していた七つの小さな生協が一九九七年度に作ったのが『生協首都圏連合会』です。その後、二〇〇三年度に、韓国で「物の豊かさより心の安らぎと健康を重視し、環境に優しく生きることこそ、人間の幸せである」というウェルビーイング(well-being)ブームが起こり、そのブームの中、生協首都圏連合会は急成長をとげました。
 しかし急激な規模の拡大とシステム化は生協運動の原点とは何か?という主体的な危機にぶつかり、我々にとっては生協内外の変化に対応せざる得なくなりました。そこで二〇〇四年度に、組合員と『アイデンティティを探る特別委員会』を設け、一年間論議を続け、『地域生命運動』という「生協運動の中で生命思想を復活しよう」とする意志を表現した運動の方向を決めました。
 同時に同年一一月に『ドゥレ生協連合会』という名前に名称を変えました。『ドゥレ』とは、日本の『結い』に相当します。その後、「おおよそ生命とは、前に進んで進歩するものでなく、横に広がって持続し拡張するものであり、進歩しながら拡張するものでなく、拡張しながら進歩するものである」という考え方で展開してきた結果、今年度末には、一五会員生協、六万五千人の組合員、四五〇億ウォンの供給高を達成すると見込んでいます。

▲能勢農場で、ドゥレ生産者会の皆さん。私たちの生産部門の現場を周りながら交流

 現在、韓国は、李明博大統領の政権のもとで、先進国も廃棄しようとする新自由主義経済政策が猛烈に推進されています。ご存知のように、この政策は、市民たちを貪欲な人間に駆り立て、人間と人間、人間と自然の関係性を断絶し、破壊し、それに止まらず、生命まで犠牲にして、限りない人間の経済的欲望に応えようとすることで政権を維持する政策に過ぎない。そして、今回の金融危機はその愚かさを確認した、と言えるでしょう。
 このような時代に、ドゥレ生協は生産と消費を担う市民らの真の自立と連帯を目指し、その基礎を創り上げています。また、その基礎の上で生命との関係性を拡張して行こうとする政策を今後展開して行こうと考えています。つまり我々にとって、今が『地域生命運動』の正念場です。このような時期に、長い期間、生産と消費の一体性を追求してきた関西よつば連絡会との交流は、我々に大きな未来に対する大きなヒントと自信を与え、そして連帯感をきっと与えてくれると思います。
 今回、忙しい中、研修の受け入れありがとうございます。皆様に会える日を楽しみに待っています。((社)ドゥレ生産者会事務局長 鄭燦珪)